また同じ夢
* * *
ロボは泳ぐのではなく、泉の底を走行していた。
進みながら水を吸い、澄んだ水を吐きながら進む。
濁った水はゆっくり時間をかけてきれいになっていった。
キョウはまた同じ夢を見ていると思った。
前の夢と違うのは、場所だった。
ここはルウの地の中央にある神殿。
キョウ自身はこの場に来たことはないのだが、前回の夢でこの場所に来ていた。
しかし夢の記憶を引きずってるなんて。
最高位と呼ばれる神の化身とされる者たちが、この神殿にいるはずなのだが……
キョウは進んでみた。
神殿の周りには誰もいない。そのかわり環境維持ロボが数体いる。
環境維持ロボは前面に水晶がついている。皆、透明な水晶のロボだった。
その中に一体、鈍色の水晶のロボがいた。
鈍色の水晶のロボは、キョウを目にすると水晶を輝かせた。
なんだか嬉しいみたいだ。直感だがキョウにはそれがわかった。
――お? 新入りか!?
鈍色のロボがキョウに近づいてきた。
――聞いてないぞ、新入りなんて。
キョウは首を捻る。
もっとも環境維持ロボには首らしき部位はない。
この場合、首を捻るとはもちろん比喩表現だ。
――俺はグレス。よろしくな。名前は?
キョウは答えようと思ったが、そもそも喋れないわけで、このロボットがしているようなテレパシーのようなことはキョウにはできない。
――おーい!? 聞こえてるか?
鈍色のロボことグレスはアームを伸ばしてきた。
――それとも喋れないのか? 慣れてないのか?
アームはキョウの体をがんがん叩いてきた。
――ひょっとしてロボが故障してるのか。修理につれてってやる。
グレスは、キョウ(今はロボ)の体をつかみ、走り出した。
グレスはすごい力とスピードだった。
本当にあっという間に、ロボは目的の場所にたどり着いたのだった。