と思いきや夢だった
ここに誰か最高位がいるかと思ったが、誰もいなかった。
神殿の周りをぐるっと一周してみる。やはり誰もいない。
再び泉に潜り、元の地へ戻る。
泉のそばに広場がある。
そこで兵士たちが訓練をしていた。
兵士二人が模造の剣で斬りあいをしていた。
そのそばで休憩がてら、斬りあいする兵士を見ていた女がいた。
髪をかきあげる仕草に心惹かれる。
女も兵士のようだ。ロボットはその女のことを覚えていた。
彼女は剣の達人だ。
華麗な剣さばきを何度も目にした。
しばらく、その女兵士を見ていた。そして彼女の名前を思い出した。
彼女の名前を呼ぶ。
――ファウ!
* * *
そこで、はっとキョウは気づいた。
キョウは家にいた。
今日は六番隊こと、ご近所の子どもたちに勉強を教えていた。
「キョウ兄ちゃん?」
子どもたちが心配そうに顔を覗き込んでいた。
「寝てたの?」
「あ? あぁ」
キョウはひたいを押さえ、頭を振る。
居眠りしてしまっていたのだろうか。
眠っていたにしては、妙に疲れてる。
変な夢のせいか。
キョウが起きたのにほっとしたのか、子どもの一人が質問してくる。
「全部で100個の種を30センチ間隔で蒔くためには畑にどれだけの広さが必要なの?」
「えーと……?」
頭が上手く回らない。
キョウが教えてるのは読み書き計算など。
普段ならそのぐらいの計算はすぐできたはずだが、なぜかそんな簡単なはずの計算が考えられなくなっていた。
キョウはなんとか答えを導き出す。
子どもに説明したが上手く伝わったのかどうか怪しい。
すると別の子どもが「もうお昼だよ。今日はおしまいにしよう」
子どもたちは各家庭で昼食をとる。その後は遊んだり親の手伝いをしたり様々だ。
「あぁ、そうだな」
キョウが頷くと、子どもたちは勉強道具をしまい各々帰って行った。
子どもたちが帰った後、キョウも昼にしようと思ったが疲れてる割にお腹は空いてない、寧ろ満腹に近い感覚だった。
――充電してたから?
いやいや、夢の中の出来事だし。
キョウはその後、しばらくぼんやりしていた。