生まれ変わったらアンドロイドだった?
そうして、やはりこのロボは自分のものなんだと思い至った。
「そうだったんだ。かわいいからつれて行こうと思ったのに」
残念そうにつぶやいたのは、栗色の髪の青年。
その姿に、キョウは、あっ!と小さく叫んだ。
だが、キョウよりも大ききな声で青年が、あっと叫んだ。
「パースの運命の相手だ!」
予想外のことを言われ、キョウは戸惑う。
何か誤解されてるような気もする。
「僕はシヴァ。きみのことは聞いてるよ、キョウ・テセティア」
シヴァは、キョウにロボを渡した。
「この子ね、前に僕に体をすりすり寄せてきててね。とってもかわいいから貰っってっちゃおうと思ったんだ。持ち主がいるんならダメだね」
前にキョウがロボになっていた時に、このシヴァの体からギシギシきしむ音がした。
その音が気のせいじゃないか、よく聞こうとして体がすりすりさせるような振る舞いになったのだ。
人間の耳では、そのギシギシという音は聞こえない。
「どのロボか見分けがつくの?」
と、キョウ。
普通は環境維持ロボはみんな同じに見えるのだが。
「うん、まあね、なんとなくだけど」
そういえば、この青年は数日前に故郷に帰ったはずではなかっただろうか。
どうしてここにいるんだろう?
「実は僕ね、アンドロイドなんだ」
シヴァはにやりと笑った。
「かつては魔力の強い人間だったんだけどね、肉体が死んでしまったから、こうやって機械の体を手に入れたんだ」
いきなりのカミングアウトに、キョウは言葉が出なかった。
「本当は、今、きみの体を奪っちゃおうかなんて考えてるんだけど、パースの運命の相手だから辞めておくよ」
結構怖いことを言われているのだが、なぜかキョウはシヴァが悪いやつではないと思った。
「まあ、こんな話、普通は信じないよね?」
キョウはどう返事すべきか困った。
「そのうち、また遊びに来るよ」
そう言い残し、シヴァは砂漠へと立ち去った。
キョウは、エネルギーが切れそうなロボを持ち、ルウの地中央へ方へと運ぶのだった。
月色の砂漠第四話~帰ってきた行商と壊れかけのアンドロイド~ 完




