早朝の訪問
* * *
キョウは、環境維持ロボの気配を探る。
おこがましいかもしれないが、あれは自分専用のロボのように思えた。
ロボは今、リゾの家周辺にいた。
キョウはそこへ意識を飛ばす。
ロボになったキョウがやりたかったこと。
泉の浄化である。
ルウの民にとって、水は貴重だ。泉の水が生活水として使われている。
昨晩、キョウはその大事な水の中で溺れ、泥だらけにしてしまったのだ。
キョウは、泉に入ると浄化作業に取り掛かった。
泉の真ん中の方には進まず、すぐに陸に戻れる位置で作業した。
そもそも泥というものは、水をそんなに汚すものでもなかったらしい。
作業は思ったより早く終わった。
泉から上がり、家のほうを見てみる。
家は二件あった。
どちらかがリゾの家で、もう一つはレンの家なんだろう。
リゾはまだ寝てるに違いない。
キョウはなるべく静かに立ち去るのだった。
* * *
数日後――
キョウは何気なく、環境維持ロボの気配を探ってみた。
ロボは意外なところにあった。
自分の家の近く、ルウの地の外に出てしまったようだ。
エネルギーが切れかけ、今にも止まりそうだった。
そちらに意識を飛ばし、ロボをルウの地内に戻そうとしたが……
もうロボには動くだけのエネルギーは残ってなかった。
それなら、とキョウは直接ロボを拾いに行く。
*
そこはもうほぼ砂漠だった。
この辺にあるはずと見渡してみる。足跡があり、その先に歩いて行く後ろ姿があった。
キョウはその人物に問いかける。
「すみません。この辺でロボットを見ませ……」
振り返った青年の腕の中に、環境維持ロボがあった。
「あ! それ、うちの」
思わず指さしそう口走ってしまった。




