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欲する

 思えば、自分が環境維持ロボに宿っている時、キョウに魔力を注がれてたもんだと少し懐かしいような気持ちがこみあげて来る。


 透明だった水晶が光り輝く。

 それは金色に輝いていた。





     * * *


 キョウはぼんやりリゾの顔を見ていた。


 初めて会った時はファウを誘拐した恐怖の大男という嫌なイメージしかない。

 次に会ったのは三日雨を降らせてぼろぼろになった姿、その時はレンの魂にでもとりつかれたかのように救いたいという気持ちがあった。

 そして、今は……



 自分が小さなロボットになってるせいかすごく大きく感じる。

 それでいて最初に会った時のような恐怖はない。レンの影響かもしれないし、そうではないかもしれない。

 リゾは不思議そうに、心配そうに、キョウのことを覗き込んでいた。


 すごく優しいまなざしだった。


――こんな表情もするんだ……

 とキョウは思った。

 もっと、いろんなリゾの顔を見たいと思った。



 リゾに魔力を注がれ、キョウは幸せな気分になった。

 暖かくて、満たされていくような気持ち、快楽すらも感じる。



――もっと欲しい

 もっともっと……

 リゾの魔力をもっと注がれたら…… 魂を手に入れたら、もっと幸せな気持ちになれる………



 そこではっとなる。

 かつて、自分はそれで死にかけたのだ。



「……お前、キョウか?」

 つぶやきながらも、リゾは半信半疑だ。

「偶然か? 帰れなくなったのか?」


 リゾは大きな腕で抱きしめるようにロボを持つ。そのまま更に強い魔力を注ぐ。

 キョウは満たされた気持ちになる。

 そしてこの気持ちをもっとずっと味わいたいと思った。


「気持ちを落ち着かせて。自分のあるべき場所に帰るんだ……」




     * * *


 気づくと、キョウはロボットではなくいつもの自分の体に戻っていた。

 誰かに抱きしめられていた。これはリゾの手?


 相手を確認し、その名前を呼んだ。

「パース」


「大丈夫か? 怖い夢でも見てたのか?」


 夢じゃなくて現実だ。間違いない。

 体が土の中に飲まれ動けなくなるなんて二度と経験したくない。


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