恋がしたい
「それに人込みが苦手ってのもあるけど」
「そうですか」
クスナは祈祷に使った簡易の祭壇を折り畳む。
次の祈祷すべき泉へと向かう。
「そういう導師も市場に行かなくてよかったの?」
「ええ、私も人込みが苦手な方で……」
「あー、しっかし、カノジョ欲しいなー」
ダーリャは唐突に自分の願望を述べた。
「ファウにカレシができて、俺もカノジョが欲しい」
ダーリャは願望を言い続ける。
「だったら、市場に行ったほうがよかったんじゃないですか? 人がいっぱいいる所にいけば出会いもあるでしょうし」
と、クスナ。
「そういうもんかなー? スタイルのいい女性がタイプだけど……?」
「そうだったんですね」
「ミン・ラテーシアなんか巨乳でタイプなんだけど、導師は巨乳好き?」
「まあ、嫌いではないですよ」
「だよなー」
やっぱりかー、うんうん、と深く一人で納得したようなダーリャ。
数秒、沈黙の後、ダーリャはあれ?という顔付きになった。
「……導師って男が好きなんじゃなかったっけ?」
それを聞かれて、クスナはしまった!という顔付きになった。
「え? いや、まあ、話を合わせただけですよ。次の泉に行きましょう」
クスナはさっさと歩く。
ダーリャもそれに続く。
砂漠に囲まれたルウの地では水が貴重であり、ルウの地の中に点在する泉を祈祷していた。
祈祷の際には護衛がつくことになっており、今日はダーリャが護衛についていた。
二人は次の泉目指して、歩いて行った。
* * *
夕方――
キョウの家にパースがラーメン持ってきてくれた。
そういえば食べるの久々で、キョウはついてるなと思いながら、パースとラーメンを食べた。
丁度食べ終わった頃、ミンが訪ねてきた。
ミンは散歩の途中に寄っただけのようで特に用事はなかったらしい。
ミンが来た時に、パースは眠り込んでしまった。
なんか妙な偶然が起きてるな、ぐらいにキョウは思っていた。
パースをベッドに寝せて、食器を片付ける。
テーブルについて、ぼーっとしていた。