生まれ変わったらロボットだった?
にごった水の中を進んでいく。
水を吸い込み、吐きだす。
泉の中は澄んでいく。
それが仕事。
ここ最近、雨が降り続いた雨のおかげで泉の水はにごっていた。
それはそれでやりがいがある。
泉の水がきれいになると、ロボットは陸に上がる。
泉のそばに女神像が設置されていて、そこに手を添える。いや手ではなくアームだ。
アームの中心に接続端子があり、女神像の下部にも同じような形の溝がある。人の目には刻印のようにも見えるだろう。
泉の清浄作業を終えたロボはそこで充電をしていた。
ロボットは女神像の顔の部分を見た。
ここに住む人々が崇める女神ルウがモチーフになった像だ。
かつての自分は、手を組んで度々お祈りしてたような気がする。
その時のことは思い出せなかったが、両方の手ならぬアームを合わせお祈りする。
ロボットは中央の方へ進んで行く。
ルウの地中央には、大きな泉がある。
その泉の中に小さな島があって、そこの神殿に最高位たちが住んでいるという話だ。
ロボットは最高位を見てみたい気持ちがあった。
人間だった時は、むやみに泉に入ってはいけないという決まりがあった。
だがロボになった今は、むしろ泉に入って水を浄化させるのが仕事なのだ。
なんのためらいもなく、泉の中に入る。
泳げないが問題ない。泉の底をキャタビラの足で進んで行く。
何体かのロボとすれ違った。
さっき、自分がしてたように泉の浄化作業をしているのだ。
ふと見上げると、泉の底からでも空が見渡せるぐらい水は澄んでいた。
* * *
島にたどり着く。
神殿はあった。
泉の前に必ず一つはあるはずの女神像はなく、神殿の壁に充電できる刻印があった。
ロボットはそこで充電して一息ついた。




