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落ちこぼれ召喚士と召喚された落ちこぼれ ~最強の俺をめぐる男女の争い~  作者: 三口 三大
第一章 召喚された落ちこぼれ vs 戦闘エリート
12/26

11 湖畔にて

 昼食の時間になって、アリスに呼び出される。


「何か、変わったことはあった?」

「とくに何も」

「そっか。そう言えば、ヨハンは学校に来てた?」


 アリスは首を横に振った。


「まぁ、昨日の今日で、学校に来ないか」


 ショルダが、ちゃんと約束を守ってくれていればいいが。


「今日はね。外でご飯を食べようと思うんだ」

「なるほど。良い天気だしな」


 俺はアリスについて行った。その道中、やはりアリスは皆の注目の的になっていた。しかし慣れたのか、アリスに嫌がる素振りは見えない。むしろ、堂々としているように見えた。


「吹っ切れたの?」

「え?」

「朝は、自分の才能に怯えていたじゃん」

「まぁね。でも、校長先生と話して、少し自分に自信が持てた」

「ふぅん」

「私って、やっぱりすごいんだなって」


 いつもの天狗発言とは異なり、アリスの微笑みが眩しく見えた。校長先生との会話が、アリスの心情に強く影響を与えたことが伺える。アリスはこの短時間で成長したのかもしれない。


「サトル君も、私に召喚されたことを誇りに思うと良いよ!」


 ……気のせいだった。一瞬で鼻が伸びた。でもまぁ、俺がここにいられるのも、アリスのおかげだから、感謝はすべきかもしれない。


「ありがとうございます。ご主人様」


 アリスは胸を張って満面の笑みを浮かべるのだった。


 湖の湖畔に、芝生の生えた広場があった。車座になって昼食を楽しむグループもいたし、木陰でいちゃついているカップルもいる。


「ここは、場違いなのでは?」

「どうして?」

「人が多いけど、気にならないの?」

「うん。だって、私はもう一人じゃないし。それに、サトル君も一緒にいて恥ずかしくない姿になったからね」

「俺のこと、恥ずかしいとか思ってたのかよ……」


 でも、まぁ、そう思うのも納得だ。俺自身、だらしないと思っていたから。


「好青年になっただろ?」

「えっ、あぁ、うん」


 アリスは戸惑いながら頷く。


「それ、からかってるんだよね?」

「うーん。まぁ、サトル君が好青年かはともかく、早くご飯を食べよう!」

「……はいよ」


 これ以上言ったら、俺がナルシストみたいになっちゃうから、俺はそれ以上、何も言わないことにした。


 アリスがベンチに座る。俺もその隣に座る。アリスは昨日と同じように、サンドイッチを取り出して、俺にも一つ、渡した。包みを破って食べる。昨日と同じ味付けだったが、昨日よりもおいしく感じた。


「おいしいな」

「へへっ、そうでしょ」

「こうやって、外で食べるのも悪くないな」

「そうだね。そう言えば、サトル君は一個で足りるの?」

「足りると言えば、足りるし、足りないと言えば、足りないかな」

「ふぅん。なら、もう一個あるからあげるよ」

「アリスは食べなくていいのか?」

「うん」と答えるが、物足りなそうな顔をしている。

「でも、一個は多いから、半分だけでいいかな」

「いいの?」

「ああ」

「わかった」


 心地よい風に吹かれながら、食事を進める。


 ふと、近くにいたグループの会話が断片的に聞こえた。そのグループの中に、魔術専攻の生徒がいるらしく、次の試験が難しくて、合格できるかわからないといった感じの話をしていた。


「この学校ってさ、召喚術以外に、どんな専攻があるの?」

「召喚術の他には、黒魔術と白魔術。あとは、魔法武術と魔法道具術かな」

「へぇ。色々あるんだね」

「うん。と言っても、どの専攻でも、他の専攻の基礎的な部分は習うんだけどね」

「アリスは、どうして、召喚術を選んだの?」

「それは……」


 アリスが言葉に詰まる。難しいことを聞いてしまったのか?


「ごめん。話したくないなら、べつに、話さなくても大丈夫だよ?」

「うんうん。そうじゃないの」


 アリスはまじまじと俺を見つめた。愛らしい顔つきに、照れてしまい、俺は顔をそらす。


「笑わないで聞いてくれる?」

「もちろん」

「……使い魔なら、私の友達になってくれるかなって」


 寂しすぎるだろ。と、つっこみたくなる衝動を抑え、俺は唇を結ぶ。どんな理由であれ、彼女を馬鹿にしたり、笑ったりするのは失礼だと思った。馬鹿にしたり、笑うつもりは、そもそもないけれど。


「ごめん。変だよね。こんな理由……」

「いや、変じゃないよ。俺もその気持ちわかるし」

「本当?」

「ああ。言ったろ? 俺も一人でいることが多かったって。だから、アリスの気持ちはよくわかるよ」

「そうなんだ。へへっ、良かった」

「でも、そっか。アリスは使い魔と友達になりたかったのか」

「うん」

「なら俺は、アリスの友達というわけだな」

「うーん。それは、まだかな」

「まだなんだ」

「うん。だって、召喚してから、まだ一日しか経っていないんだよ?」

「確かにな」

「だから、これから一緒の時間を過ごして、徐々に友達になっていけたらいいな、って思う」

「そうか。それもそうだな。なら、改めて、これからよろしくな、アリス」

「こちらこそ、よろしくね。サトル君」


 頬を少し染め、はにかむ彼女を見て、彼女が望む使い魔になれるよう、頑張ろうと思った。

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