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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【花は散り、重ねて芽生えるその2】

不足な説明分もありますが見てくださると嬉しいです。

 日が静まりかけたある日の夕方に、美咲の前へクラスメイトが姿を現す。


 自分が虐めにあってることを理解できていなかった、そうつい先程まで。


 朝声をかけてきた様子とは真逆の表情でそのクラスメイトは鋭い目つきで美咲の方を見る。


「みんながやったの、これ?」


 恐る恐ると聞いた。心の中では胸の鼓動が収まらないほど不安がつまっていた。正直心の整理もできておらず、正直本当の事を聞くのが嫌だったのだ。今すぐ逃げ出したいくらいに。


「ふん、今更気付くだなんて富豪人ってひょっとして飲み込みが悪いの?」


「そんな……こと」


「どうせとんだお嬢様だ、だからそういう思考の回転に切り替えることもできないんでしょ?」


「凡人を甘く見るなよ、この金持ちが! 私達はねあなたのような人を見るとねイラッとするのよ」


すごい剣幕をあげながら、美咲の方一点に周りのクラスメイトは視線を射っていた。


その癇声が後を絶たないほどに響き、美咲の精神は急迫な状態となり、次第に俯いた状態になると両手を耳に当てて音を塞いだ。


そう聞くに絶えないほど精神が追い詰められた状態になっていたのだ。


体の震えが止まらず涙も頬を伝い、下へ下へと雨のようにこぼれ落ちた。


「ちゃんと聞いてよ、美咲ちゃんさ〜 それじゃなにも聞こえない聞こえないよ」


だがそれでも彼女達は決してやめなかった。まるで道端にいる捨て犬をひたすら蹴りまくる者のようだった。


美咲を見下し、クラスメイト達はちょっかいを出しては脅す。周りも後に続き、同じように美咲目がけて脅す……その繰り返しで。


「私は……ただ」


 誰も助けに来てくれなかった。それはおろか味方もいなければ、まともに話してくれる相手1人とていなかったのだ。


「はははははははっ!」


 侮辱する高笑いが何重も連なった声となって耳に響く。


 悲しみや怒り、そして悔しさ、それが美咲の心を錯乱させてその制御していた感情がついに破裂してしまう。


「………………」


 急に顔を上げた。だが美咲の表情はまるで感情を捨てた人形のように無表情だった。どこに視線を向けているのか分からない感じだった。


 すると先ほどまで物笑いしていたクラスメイトの笑い声が一瞬で静まりかえる。


「なんなの、その顔……っ。気味悪いんですけど」


 周りは軽く怯えたせいか一歩引き後退りをする。


「………………」


 無意識に手を前に出す。そして何か命令をするように、ひらひらと払うような動作を手でする。


「もうなんなのよ。いいわ、みんないくわよ…………ってなにこれ?」


 クラスメイトがその場を後にしようと扉の後ろを振り返った。だがそこには生き生きと動いた蔦が扉を縛り付けるように覆い、それが何重にも重なっていた。


 だがそれだけではなかった。下にも蔦が教室中に伸びていた。


 じわりじわりと伸びていく。教室中を侵食するかのごとくその根が伸びる速さは1分もかからなかった。


 気づけば辺り一面ジャングルのように蔦がはい巡らされていた。


 その中の太い蔦が、クラスメイト達の前に立つと何かしら仕掛けるつもりか、ものを突き刺す様な体制を取り、重心を少し曲げていた。


 美咲が次に手を握ると。


 グサッグサッ!


「ぐはっ」


 1人、非常な速さで向かってきた蔦は体を串刺して、一瞬で殺してしまった。


 美咲の背後からはまた今度は無数の蔦がクラスメイト達を襲い串刺しにする。


「あなた……本当に人間?」


「…………」


「答えなさいよ!」


 相手の言葉に応じず、その最後に残ったクラスメイトの首を八つ裂きに切り裂いた。


「この……化け物め」


 血が噴出し、教室中を生々しい血が散乱する凄惨な場所へと変わり果てていた。


 見渡す限り、鮮血な赤……赤……赤という残酷な景色が広がっている。


 することが済んだかのように蔦は美咲の方へと集まっていき消えた。


「…………っ! なにこれ」


 美咲はようやく意識を取り戻した。だがその目の前に広がる光景は目を逸らしたくなる絵面である。突き刺されて死んだ人、頭部を切断された人と様々だった。


 いずれも無残な死を遂げている。


「うぅっ」


 思わず手を口に当て、目を遠ざける。だがしかし周りには血の背景が教室中を凄惨に染め上げている。


「だれがこんなことを……」


 自分がやったという自覚は一切なかった、なぜならその間意識が飛んでいたのだから。


「とりあえず……先生に……先生に言わないと」






























 朦朧としながら走りながら職員室に向かう。血を垂らしながら。


「はあ……はあ」


 だが体はもう既に疲弊仕切っているせいか、途中でうつ伏せの状態で倒れ込み、そのまま再び意識を失う。


「あれは華崎さん? あんなところでどうして倒れ込んでいるのかしら」


 偶然にも通りかかった担任の教師が倒れた美咲を見つける。


「血まみれじゃない、一体何があったの」


 恐る恐る足跡を辿って行き、教室の扉を開けその教師が入ると。


「なんなのこれ……みんな死んでいる? し……知らせないと!」


 周りが凄惨な光景を目の当たりにしてしまいすぐさま職員室に駆け込み、その情報は学校中に一晩で広まった。


































「ここは?」


 美咲が次気づくとそこは保健室のベッドの上だった。


 状況を把握するために、一回りキョロキョロと目を回す。


 周りには先生と父、母が心配そうな顔つきで立っていた。


「美咲ッ」


 美咲の母はすかさず泣きながら抱き寄せる。


「母様? それに先生に父様まで…………。私」


「今は何も考えなくていいのよ……あなたが生きてくれて本当によかった」


「母様ごめんなさい」


「美咲さん、落ち着いたら2人でちょっと話そう」


 美咲はうんと頷いた。











教師には自分の身に何が起こったのか順を追って打ち明けた。


虐めに遭ったクラスメイトに一方的に攻撃を受けたことを。


その点に関しては教師も頷いてくれたが。


「それで誰が殺したの。華崎さん?」


やった自覚もなく美咲は首を横に振る。


「私は……分かりません」


したかもしれないし、していなかったかもしれない。いずれにせよ意識の飛んでいた美咲にとっては不得要領である。だがあの場で常に立っていたのは美咲である。


なので殺した人物は1人に絞られる。


「あなたがやったのでしょ?」


「そんな私は意識を失って……」


「関係ありません、あなたが殺したという事実は確かです。あの場で最終的にあなたが」


「やめてください……聞きたくない」


教師は助けるどころか、徐々に疑いの視線を美咲に向けてきた。決して安堵するような表情はひとつもせず。


「重罪ですよ、殺人者(マダラー)はともかくあなたはまだ小学生、高額な金額を支払わなければ、あなたは牢行きです。できませんよね、そんなこと」


だがそんな美咲に両親が現れる。目の前に大量の金銭を添えて。


「娘を責めるはよしてもらおうか。これで勘弁したら二度とこんなこと言わないでもらおうか」


説得する父親の姿に美咲は涙を流す。


「父様……」


鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした教師は仕方なく頷き言う。「……いいでしょうですが条件があります」と。

















この世界では基本的に人を殺しても無罪である。例え殺しても事故扱いとして処理するのが(おきて)である。


だがそれは誰もがそのルールに適用されるのかと言うと、そうでは無い。


それは飽くまで殺人者同士に限った話であり、それ以外の者が殺害行為などを犯すと軽罪となる。死刑とまではいかないが、法に反する行いである。


小学生などの児童生徒は基本的にこれが固く禁じられており、賠償金でも払わない限りは収容所へと送られてしまう。


案の定美咲の家は財産も十分というほどにあったので金を支払い美咲を無罪にしたのだ。


しかし教師はそれに上乗せで条件を乗せてきたそれは……。















暫く間学校に来ないよう謹慎処分を行ってきたのだ。








それから美咲は半年の間、姿を消すこととなった。










「分かりました。半年ですね」


「…………」


なにもお互い会話を交わさずその場を後にした。


だが何よりも美咲は車の中で嗚咽していた。


「うぅ……。どうしてこんなことに」


「美咲今はなにも考えなくていいんですよ。あなたは今“悪夢”でも見ているんですよ」


「えっ?」


「次あなたが目覚める時には、きっと素晴らしく優しい世界が待っていますよ」


美咲の母は、美咲を膝枕しながら優しく彼女の頭を撫でた。優しくその白銀の艶髪を何度も。


横になりながら儚げな表情をした美咲は母に問う。 


「友達またできるかな……」


「えぇ……貴女が望めばそれは全部実現しますよ」


 それは微かな願いだった。あれだけ人を殺めた自分にこれから先友達といえる人は現れてくれるのかと。


 不安で心は積もるだけであったが、それでも母の言うことを信じてみることにした。


 だがあれだけいつも明るい表情を振る舞っていた美咲も今はただの光を亡失したもはや抜け殻のような様子だった。


「………………」


「今は余計なことを考えるのはやめなさい」


「でも――――」


 美咲の父は心配そうな表情で運転している。既に疲弊しきっているのにも関わらず無理して運転しているのだ。


 悲しんでいるそんな顔をしてもらいたくないそんな様子が表情で感じ取れた。


 それに応じるかのよう小さな声で呟く。


「分かったよ……お願いね父様」


「………………」


 宵の口、少女は安らかに目を閉じる。緩慢に瞼を。


 母のいうとおり今はちょっとした悪い夢を見ているんだと、心の底でずっと現実を避けるように自分に言い聞かせた。


「母様……父様……」




































読了ありがとうございました。萌え神です。恐怖をどう表現するか戸惑いましたが、最低限の情報は書いたつもりです。

串刺しにして殺したりと凄惨な描写ですね。そこがまた恐怖を味わえるというかなんというか。

あと1、2話続くと思いますが簡潔的にまとめられればいいと思っています。

応援よろしくお願いします。

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