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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【向かうべき先】

誤字や不十分な説明も含まれるかも知れません。

悲しむ美咲に対して蒼衣がとった行動とは、最後まで見てくださると嬉しいです。

夜が明け、薄明の空が辺り一面に広がる。


だが、こんなに空は綺麗なのに私達の気分は、中々晴れなかった。だってあんなに辛いことあったんだから。


 特に彼女――――――美咲の方が一番の大打撃だろう。


「美咲」


潤った瞳から涙を流す美咲にそっと私は、彼女の肩に手のひらをのせて声をかけた。


「蒼衣……」


私と視線が合うと、心の哀愁が溢れたせいか私を抱きしめてきた。


それに応じるかのように私は優しく抱き寄せる。


何も言わなかった。そう美咲が泣き終わるまでは。


「なんで人はすぐ死んじゃうのよ……」


悲しんでいるのは私だけではない。礼名だって心の奥底では悲しんでいると思う。


声を振り立て、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ。


それが私の耳を伝い、心が痛むような声だった。


暫く時間が経つと、美咲はようやく泣き止んでくれたが、それでもまだ悲しみを抑えきれてはいない感じだ。


「美咲」


「何……」


「人ってさ、生きていれば辛いこと1つや2つ必ずあると思うんだ。それでもね捨ててはいけないものがあるんだよ」


「捨てたらいけないものって?」


「それはね、生き続けていく為の希望だよ」


「そうか……そうよね、……ううん、それにここで立ち止まっていたら綾ちゃんに申し訳ないしね」


「私も傍にいることを忘れないでくださいね」


「礼名ちゃんごめんね、でも私あなた達のお陰でようやく新しい一歩に踏み出せそうだわ。ちゃんと前を向いてね……」


「美咲さん綾さんが守ってくれたその命、くれぐれも大切にしてくださいね」


「もちろんそのつもりよ」


 お互い気持ちが晴れたのか悲しみを打ち消すかのように、みんなでにこっと笑う。


 どうやら美咲はひとまず悲しみを乗り越えることはできたようだ。


 私にも他人を落ち着かせる"説得力"があるらしい。まあ政希さんほどではないと思うけど。


 あまり自覚はないのだが、その点に関しては今は触れないことにしておく。


「それでは行きましょうか、帰らないと政希さんがうるさいですよ……蒼衣さん」


 ウインクされながらそう言われても困るんだけど。……まあいいか。


 こんな時間帯だ、私と礼名がいないと知ったら騒ぎそうな感じがする。


「みんなちょっと待ってくれるかしら。綾ちゃんの遺体を埋めてあげたいんだけど」


 そしてみんなで手分けして綾さんの亡骸を探し出した後見つける。そんなに時間はかからなかったが、彼女の姿は見るに堪えない姿に変わり果てていた。


 全身ボロボロで、頭部の半分はなくなっており中がむき出し状態だった。


「綾ちゃん」


 人の死後ってこのようになるだなんて思いもしなかったが、これが人の"死"なのだろう。


 綾さんは最期の最期まで美咲を守ろうとした。それは決して無駄な行動ではない。


 それほど彼女のことを信じて、そして望みを全て託したのだ。


 すると美咲は片膝を立て、彼女の頬にそっと手を当てる。


 当然だがもう息はない。残念そうな美咲のその顔はとても血を吐く思いの様子だった。それでも彼女は綾さんに語りかける。


「……………………」


「……………………」


「……………………」

































「綾ちゃんありがとう、ゆっくり休んでね」
































 

 近くの森に綾さんを埋める。墓石もみんなで一緒に協力して立てる。


 作るのは大変だったが、綾さんの為と思いみんなは必死にやってくれた。


 もちろんこの私も必死でね。


 お墓が完成すると一同に整列する。


「お別れね、綾ちゃん。私なら大丈夫生きていく自信はあるから」


「綾さん……もっと早く会っていれば、友達になれたかも知れませんね…………いいえいなくとも私達はずっと友達であり最高の仲間です……」


 礼名の瞳から涙がこぼれ落ちた。


「綾さん短い間でしたが、楽しかったですよ」


 そうあなたがいなかったら、ここに美咲が並ぶことはなかったかも知れない。


「これから私達には死を伴うできごとにいくつも直面するかも知れない……それでも前を向いてみんなと協力して立ち向かっていきます、あなたの分まで」


 こっちまで泣けてきた。やっぱりみんな気持ちは一緒なんだ。


 でも泣き続けてたらやっぱり綾さんに申し訳ない、だから私は……私達は歩きます。みんなといつか笑い合える未来に続く道へと。


 それぞれ最後の言葉で言い終わる。


 弔意を表して私達3人は、手を合わせ終わると速やかにその場を立ち去る。名残惜しくはあるものの。


























 その綾さんのお墓には、数本のヘリクリサムが横に置かれていた。














































 新東京都の駅周辺まで帰ってきた。すっかり朝で大勢の人が歩き回る様子が見てとれた。


「久しぶりね、ここの街並みは。さて私からこれからどうするべきかしら」


「私達はかえ…………って蒼衣さん?」


 礼名の方に手のひらを見せて、喋るのを止めさせた。


「ごめん礼名、先帰ってて。政希さんには『買い物するから遅くなる』って行ってもらえるかな?」


「…………分かりましたよ、理由はなんとなく理解しました。それではお先に失礼します」


 立ち去って行く礼名。うん、口に出さなくても分かるよね。これは美咲にとって大切なことなんだから。


 席をあけてくれたこと後で感謝しないと。


「なんのつもり?」


「美咲、行かないと行けない場所あるんじゃないの」


「…………分かっているわよ、あなたもついてきてくれるのね。それじゃ行きましょうか」


 浮かない顔つきをみせて、駅から私達は美咲の家である『華崎邸』へ足を運ぶことにした。あそこは美咲にとって一番最初に行くべき場所だと思ったから。


「行こう、美咲」


「うん……」


 いつもの強そうな威勢はなく、物静かな様子を見せていた。 

読了ありがとうございます萌え神です。

3人が去るときにちらっとでてきたヘリクリサムという花、これは花言葉で、永遠の思い出、思い出、記憶の意味があるそうです。綾と美咲にとって2人が過ごした僅かな日々は大切な記憶、思い出です。なのでこの花を添え「思い出を大切にするね」という意味合いが込められているんですよ。(この為に花言葉調べました)

それでは皆さんありがとうございました。また次回もお楽しみにしていただけると嬉しいです。

では失礼します。


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