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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【少女は、亡き友のために戦う】

なんとか間に合いました。こんばんは萌え神です。戦闘描写に詰まるところがありましたが、頑張って戦闘描写してみました。お気に召さなかったら申し訳ございません。

美咲が死んでしまった綾のために、仲間と共にアビレッタを倒そうと試みます。

死と生それぞれは隣り合わせ。だからこそその間につなぎ止める何かがある、そんな感じもあったりします。

それではどうぞ。最後までお楽しみください。


「くっ隙がない!」


 アビレッタの扱うイグラーンは、バトルフォームになったと同時に格段に能力が上昇していた。


 遠距離戦に特化したバトルスタイルが失った代わりに遠距離、中距離のパワー型になっている。


 瓦礫の攻撃に加えて、瓦礫でできた翼は強大な引力で、相手を圧倒する。


“潰される”という痛みよりもこの痛みは苦痛という表現の方が明確だろうか。


一撃一撃が非常に強打なのである。


「ふんっ」


 ドンッ!


 軽く振り払い、美咲を振り払った。


急落下する隕石の如く、地を吹き飛ばしながら相手を叩き落とす。


「やるわね、でもその程度じゃ私は倒せないわよ」


そう強気に様子を見せるが、僅かながら荒い息が聞こえる。


痩せ我慢だろうか。相手に弱気を見せないためにあえて、荒い息を小さく出しているのか。


ただ言えることは敵に情けをかけない素振(そぶ)りなのだろう。


「戦闘スタイルも先ほどと比べると、比較にならないくらい強くなっています。」


「さっきのは単なる小手調べだ! 安心しろ、私が早々に仲間の元へ送ってやろう」


 瓦礫の翼は礼名を覆い直撃する。


「…………」


「礼名ッ」


 そのまま叩きつけられ地面へと落下し、血を流しながら横たわる。


「まずは主幹を潰した。大本潰せば後はお前達だけだ」


 だが礼名は再び何もなかったかのように立ち上がる。


「なにッ」


「生憎、私はその程度の攻撃慣れていましてね。血を流したくらいでは死にませんよ」


 と不意をついて、3発ほどアビレッタ目がけて狙撃する。地上と上空との距離はそこそこあるが礼名にとっては朝飯前、いくら距離が離れていようが正確に狙い撃ちできるだろう。


 私でさえあの距離は、攻撃するのが非常に困難なのだが。


 解き放った弾は甚だしい勢いで相手の方へと上昇していき。


「ふん、そんな柔な攻撃なんぞ」


 だがその攻撃はそのまま受け止め、一瞬打ち消したかのように……不発に終わった……そう感じていたのだが。


「……? あれは」


 礼名が撃ち込んだ箇所を、よくみると黒くて小さな針が、翼の中に食い込んでいた。


 すぐに折れそうな鋭い針なのだが。


 あの針になにかヒントがある。そう勝利の布石に繋がる、何かのヒントが。


 それがなんなのかは、今のところ検討もつかないが放ったのはあの礼名だ。きっとこれには何か訳があるに違いない。


 いままで彼女が無駄な行動を取ったことは一度もない。そう今日……いやいままで今日という日までずっとだ。


「…………」


 そして再び上昇し、また狙撃……狙撃と何度も繰り返す。


 やはり撃った箇所には黒い針が刺さっている。


 迂闊に私達に喋りかければ、間違いなく相手に先読みされるだろう。


 もし仮に、私が礼名と逆の状況に置かれているのなら、まず行動で仲間に作戦のヒントを示す。そう相手にばれない程度に。


 ばれそうな戦略なら、すぐに戦法を見破られしまい、追い詰められてしまうだろう。


 あの針……楔に……攻略となるヒントがあるんだ。きっと。


「このッ!」


 美咲は大剣でアビレッタに突っ込んで切り払う。


カンッ!


 アビレッタの背中からは、巨大な瓦礫でできた尻尾が。それで美咲の攻撃を瞬時に受け止めた。


「何……ッ」


「残念だったな! 私は体の好きな箇所にイメージしたものを生成できる。これで終わりだ美咲」


 無数の瓦礫を美咲の周りに出現させ一斉攻撃を仕掛けようとする。百本いや、あれは千本以上の数だ。


 片手は塞がってしまっている。あの位置だと逃げ場所もない。


「美咲!」


 それでも美咲はこっちを振り向いて「にこっ」と微笑んだ。


「大丈夫よ、蒼衣。この程度で私はやられはしないわ。あなたは私に沢山の勇気をくれた。そう綾みたいにね……、なら今度は私がその恩返しをする番。見てなさい」


 何か秘策があるのだろうかと、私は美咲の方に目を向ける。


「なんのつもりか知らないが、やってしまえ」


 アビレッタが手を振りかざすと待機していた瓦礫が一斉に襲いかかる。


 まずい、これでは美咲が。あれを全て受けてしまえばひとたまりもないだろう。


 スピードで前に出ようと試みるが届かない。


 くっ……手はないのか。


 また仲間が死にいく様をこの目に焼き付けないといけないのか。


 折角仲間になれたのに、本当に心強い友ができたと思ったのに…………私は懲りずこうしてまた人の死に様を見ないといけないのか。


 嫌だよ。そんなの大切な何かをまた失うなんて。


 そんな胸が締め付けられそうな苦痛はもう……もう味わいたくない!










その時だった。




















 一瞬視界がゆったりと動いているかのようになった。

 幻覚や錯覚なのかもしれない。


 だが私はそんな中でも双眸で眼前をしっかりと…………美咲の方に目を射る。


 決して諦めないその姿勢は、勝利を手にする女神のような羨望の眼差しに感じる。












「心配性ね蒼衣は、だから大丈夫って言っているでしょ?」


「えっ?」



























仲間を信じなさい!――――――。






























 その時一輪の花が開花したような気がした。

























 小さいけど立派な花。















 可憐で、何事にも屈しない力を持った花。






























 その花が私達を死守するかのように守る。





























「束縛の棘!」


 アビレッタを縛り付け、同時に美咲に向けられた瓦礫は地面へと崩れ落ちていった。


「うぅッ!どういうことだ」


 礼名は察しがついたかのように「あっなるほど」と呟いた。


「どうしたの?礼名」


「策士ですね美咲さんは」


「どういうこと?」


「蒼衣さん技というのはですね、攻撃するときにXエナジーを一点に集中させるんですよ。ですが寸前に攻撃されたり……相手に邪魔されると力が抜けてしまいます。美咲さんの場合、自分の力を吸い取る能力を生かし、相手のエネルギーを吸収、そして相手の攻撃に必要なエネルギーを奪い取って攻撃をかき消したんですよ」


「つまり攻撃を止めたと同時にエネルギーも吸収したってこと」


「そういうことになりますね。でも正直驚きですよ、常人なら既に尻尾を巻いて逃げているところですよ」


 確かに凄い、あれほどのピンチな状況を僅かな技で状況を覆すだなんて。


 それに今の美咲の顔を見ると、絶望した顔つきではなく希望に満ちた表情をしていた。


 恐らくお互いを支え合ったからこそ芽生えた力なのだろう。その身を張る勇気はどこからか、私にも想像がつかない次第である。


 だが確かなことは言える。この戦いの中で、お互いを知り、友に苦難を乗り越えていった仲間なのだ。


 辛いことは色々あったけれど、それでも私は美咲を見捨てなかった。


 そうあの顔は――――――――。




























 仲間を信じている顔だ。



















「抵抗しても無駄よ、その体を巻いたツタは決して、あなたが何をやっても解けない」


 アビレッタの体にはツタがぐるぐる巻きにされており、手が使えない状況だ。


 必死に足掻こうと、力一杯に引き裂こうとしても解けない。


「くっこうなったら翼と尻尾を使って………………!?」


 先ほどの翼と尾には深い亀裂が入っていた。それは今にでも、砕けてしまいそうなくらいの深さだった。


 ……ひょっとしてあの楔か。


「どうしてだ、なぜこんな傷が」


「生憎あなたはもう終わりですよ」


 礼名が口を開く。


「先ほど私が撃った弾……あれは私が生成した破裂の棘の弾……徐々に傷を広げていく殺傷力が高い弾ですよ。小さいですがほんの数分でその瓦礫の塊なんて破壊できますよ」


「尻尾にいつ撃った?」


「違いますね、あなたは気づかない内に撃たれたんですよ」


「なに?」


 どうやら気づかない内に、相手の尾の部分に撃ったらしい。正直私も気づかなかった。


「先ほど隙を突いて撃たせてもらいました」


「貴様……」


 私は、アビレッタの腕を目がけて斬撃を仕掛ける。いつも以上に素早く、力が強く感じる。


 そして標準を合わせ、切り裂く。


「ぐあっ!」


 守る手立てが残されていないので、相手はまともに食らってしまう。


 アビレッタの体から血がドロドロと垂れる。


「形勢逆転ね、さて穢れている花にはどんな罰を与えようかしら」


 美咲は目をしかめるとアビレッタを見下ろす。


 大剣を構えとどめをさす体制を取る。


「私に逆らうか、この……この……私にッ!」


「アビレッタ、私はね友を殺された怒りより……あなたが殺した私の友を侮辱した怒りの方が正直強い。だからあなたには私がため込んだ怒りをこの一撃にぶつける!」


 そして美しく咲いた花は次の瞬間に穢らわしい花に最期の一撃を解き放った。
























 グレイスローズ・スプラッシュ――――――!









































 周りからは花吹雪が構成され、やがて巨大な剣を象るとその斬撃がアビレッタの方へと一瞬で直撃する。
































































 綾ちゃん――――――私生きるわ。
































 あなたの分まで――――――。






























 



 そして忘れないわ。貴女と過ごした限り少ない日々を――――――。





















































 あと言い忘れてた。

 
















































 約束守れなくてごめんね――――――。































































 戦闘終了後、地面には一輪の花が咲いていた。


 その花は、綺麗だけどどこか儚げに思えた。


 花が咲いている場所に1人の少女は降り立つ。その花を摘んで眉をひそめた。


 まるで思いでに浸る者のように。


 表情は悲しみに溢れた様子で、凝然に花を指で回しながら眉をひそめた。目から涙を一滴……また一滴と。


 やがて腕で涙を拭くと笑みを浮かべながら、緩慢に空を見上げる。また一滴涙を流しながら。










































「綾ちゃん、日本の空は晴れ渡っているわ。果てしなくどこまでも」

読了ありがとうございました。

いかがだったでしょうか。考えながら苦戦を強いられた戦闘描写でしたが、最後まで書けて良かったと思います。(周りと比べればまだまだのレベルですが)

なるべく助詞を意識して書くようにしているので一文ごとの構成は大変です。

キャラの離脱ですが正直本当は悩みに悩みに決めてした方針ですね。

後で蘇るとか、なんらかの力で実は生きてたとかいう設定でも良かったのですが、人間の成長性を描きたかったのでその要素は、なしにさせ、人は出会いもあればまた別れも訪れるそんな気持ちをこの話に伝えたかったので、このような形で綾はここで離脱させました。

最後には暫く間パートナーであった綾に語りかけるような終わり方にしたかったので美咲の台詞でしめました。

さて今後の美咲の歩むべき道は果たして。次回も見てくださると嬉しいです。

今後も一生懸命執筆していきますので、引き続きよろしくお願いします。

それでは失礼します。萌え神でした。

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