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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【生き続けるということ】

遅く成りましたが辛うじての投稿です。

美咲の記憶を少し追憶してからの戦闘開始場面となります。

綾のちょっとした話も触れるので、お楽しみ頂けたら幸いです。

人にとって苦しみを乗り越えるというのは、中々難しいことかも知れません。

それでも『支え合ってくれる仲間』がいる、そんな存在の人を忘れてはいけません。

美咲にはそれを支えてくれるものがあります。それは果たして一体。

 遡ること一か月前────。


 華崎美咲は密室となっていた部屋で綾と、作業を行いながら話しながら時間は潰していた。


 そこは本当に狭く、なにもない場所で食事は一定時間経過すると、壁際からハッチが開き、2人用の食事が乗せられたトレイが出てくる。


 とはいってもそんなに驕奢(きょうしゃ)な食事は出されず、出されるのはパンと、牛乳に、豆類をフレーク状にしたものをトマトスープに長時間つけたものだけである。


 しかしこのスープは保温はされておらず非常に冷たい。せめての救いは中に大きい牛肉が入っていることだけだ。


それでも美咲達は日々日々辛抱しながら、作業をこなす。


「ねえ、綾ちゃん休憩しない?」


「そうですね、って美咲さんあなたはさっきから居眠りしてばかりだったじゃないですか!」


「大丈夫、この場所を管理している反ロシアの人達って予想以上の間抜けっぷりだから」


 人差し指を指突き立てながら、余裕な表情をして堂々と言う。


 美咲は相手を貶しているだとか、相手を見下しているなどを示唆するような行為を、しているわけではない。


 彼女にとって綾という存在は、今まで友達のできなかった美咲にとっては、最高の仲間だったのだ。


 なので他の人に邪魔が入らないように度々、管理制御している機械を一定時間停止させたり、時には居眠りを行ったりと、やりたい補題と問題を多々起こしていた。


 それぐらい彼女と話すのことが、心が安らぎ嫌悪感を忘れられるような気分になれたからだ。


「何回も言っていますが、ほどほどにしておいてくださいね」


「私は寛ぐのが作業! そしてあなたはパソコンで情報をまとめるのが役目よ」


「雑用係じゃないんですから、少しは助けてくださいよ」


 美咲を指摘し、注意を呼びかけるが綾からは笑いが漏れていた。


 最初は変に思っていたかも知れない、それはお互い同じような気持ちを意思疎通しあい、次第にわかり合うようになったかも知れない。


「ふーん、この東城蒼衣って子気になるかも」


「ヘル・ビートルの殺人者刺客として送りますか?」


「そうね、あでも……どうせならこの子を付けておいて」


 手の平には偵察用の寄生種の植物が。それで相手の動きを伺うというのだ。


「あの子の力とくと拝見しようかしら」


「なに言われても、私は助けませんからね? 美咲さん」






















「ヘル・ビートルは東城蒼衣と……って相手は紺色の可愛い女の子が相手なの……? 少し残念だけど見とくだけ見ておきますか」


「彼女は柚木礼名というらしいですよ。狙いは外さない狙撃手……なんだとか」


「え〜。それって俗に言うチートってやつよね?」


 苦笑しながら脳内で再生されている情報を頼りに観戦する。映像の共有は1人だけではないので、綾も美咲の力を貸して貰い、映像を共に見る。それはまるで映画鑑賞する姉妹のような光景だ。


「上手いわね、無口だけど狙いは正確ね……ってヘル・ビートル倒れちゃった」


 刺客者が倒れたので、映像が途切れてしまう。でも多少の収集はできた感じだった。


 美咲は映像が切れるその瞬間まで後ろに立ち止まっている蒼衣の姿を、見逃さなかった。彼女の視線からは強い精神力と脈拍のこもった姿勢に魅了された。


 華奢ではあるが心強くお互いを支え合う力。そんな蒼衣を美咲は見放す事はなかったのだ。


 直後に、ある意思が胸の中で宿り始める。そして心でそうっと呟いた。










──────この子なら私の“失ったもの”を取り戻してくれるかも知れない。










 俄には信じ難い話かも知れない、それでも美咲は掛けてみたくなった。心の中の自分、そして対面すべき相手を照らし合わせるように。


「綾ちゃん、私彼女に会いに行ってもいい?」


 最初は目を丸くする綾であったが、呆れたせいか目をひそめ彼女も共についていくことにした。


 それに本当の理由はここを出て祖国に帰り、再び前のように平凡な暮らしをしたいと徐々に昔のような命のこもった気持ちが芽生える。


 あの場所には、もう父も母もいないそれでも家があるなら、帰ってもいいのではないかと心に思う。


 今なら間に合う、たったそれだけの希望を抱き美咲は綾と共に計画を実行するのであった。


 しかしそこまでの道は、とても険しかったのである。


 それでも美咲は希望を捨てなかった。そして美咲は辛うじてその苦難を乗り越え日本へ渡るのだった。












「綾ちゃん、ごめんねこんなことに付き合わせて」


「止めても聞きませんからね、美咲さんは。……それに私も日本に行きたかったですし」


「そういえば綾ちゃんって、名前和名だけど出生が日本じゃないんだっけ?」


 綾は複雑な時期に生まれた子供である。両親は海外で任務をしていた。その最中に綾の母親が妊娠し、後に赤ちゃんが産まれる。そうその瀬戸際に生まれたのが綾だったのである。


 しかしその後母親が任務に復帰してまもない頃、両親は戦いで命を落とした。


 当てもなく彼女は反ロシア側に譲渡され殺人者の兵として訓練を受けてきた。


 そんな彼女にとって日本という国に行くということは、楽しみでもあったのだ。


 新しい希望をその場所でまた持とうと心に誓いながら。


「無事このまま 上手くいって、解放されたらどうするの?」


 目を瞑りながらにこやかに答えた。


「ふふ……そうですね。普通に学校通って……、普通にみんなと勉強して……任務も着々とこなして友達も作って……ですね」


「とにかくいっぱいあるってことね」


 心のそこで描いていた。綾自信の未来図を。お互いに笑い合える未来を信じて。


「美咲さん……1つ約束しませんか? なにがあっても立ち止まらずに進むって」


「なによそれ、死んでいく戦士の台詞じゃあるまいし」


「そうですね……年のための保険ですよ」


 綾はこの時から察しがついていたかも知れない。自分は生き残れないそのことを。


 それでも自分の生きた証は残したかったのだろう。


 美咲が落ち込まないようにするための、彼女へ送るメッセージ。


「美咲さんになにがあっても前を向いて歩いて行けますように…………って」
















 なにいっているの────綾ちゃん。



















私を誰だと思っているの?















戦場に舞う可憐な薔薇────。













 華崎美咲よッ!

















 そして今、美咲は亡き綾のためのことを悶え苦しみながら、敵の攻撃を武器で、切り払いながら3人で戦っていた。



















(綾ちゃん、綾ちゃん……)


グサッ。グサッ!


(綾ちゃん!!)


 美咲の斬撃からは悲しみの怒りがこもりにこもる。歯を食いしばりながら。


 それを気にする蒼衣は、彼女の横に立っている。


「そんなにあいつを殺されたことが憎いか! 華崎美咲ぃぃ! あんな出来損ない心配する理由がわからん」


「でき……そこない……です……って?」


「「その言葉ッ!もう一度言いなさいよ‼︎」」


























 美咲の大剣の振るいは怒りの満ちた力んだ振るいだった。


 一撃一撃が乱暴で、それは優しさの面影も見せない。


 そうだろう、大切な者を失ったのだから。


「あの子はね、ちゃんと夢を持っていたのよ……! 普通の人間らしく、生きたい夢を沢山……ッ」


「ふん、馬鹿らしいわ。なぜならあんな人私達のところに沢山いるじゃないか? 欲しいのならいくらでも上げてやるのに」


 目をしかめアビレッタの方を目をやる。喧嘩を売りにいく台詞だ……今のは。


「あなた、最低よ」


 私は綾さんの死を無駄だとは思わない。


 でもそんな綾さんの生き様を侮辱したアビレッタに血が上ってくる。


 安い命なんて、ううん人の価値感なんて他人に決めるものじゃないんだ。


「アビレッタ」


 私は美咲の持つ大剣に自分の武器を重ねさせる。


「蒼衣さん」


 礼名の方を振り返った。


「礼名、帰ったら政希さんにちゃんと顔見せないとね」


「そうですよね。あの人とても気にし過ぎるほどの心配性ですから」


 ここにいるのは大切な、かけがえの無い仲間達。


 なにがあろうと私達は、相手にはない強さがある。それだけではない。


 私達はチーム、だから助け合うんだ、なにがあっても。


「アビレッタ貴方への侮辱しかと受け止めたわ」


「お前も怒りにのまれている憎しみの塊か」


「一言いっておくわ。人の価値観を自分のエゴで、決めつけないでよッッ!」


 大きな罵声が夜中の夜空を駆け巡る。


 よりにもよって最悪な相手。怒りを掻き立たさせる言動。


「蒼衣……」

「蒼衣さん」


「ふん、なにがエゴだ、私は事実を口で述べているだけ、誰がどうなろうと知ったこっちゃ無いのだ」


 更に深く目をしかめる、これ以上とないこのアビレッタが人への扱いが、黒いということが目に見える。


「美咲、礼名いくよ!」


 それでも私は、怒りに囚われない。お互いの顔を鉢合わせして一呼吸をした。


「うん、行こう」

「援護は任せてください」


 私は忘れない、いつどんな時、どんな状況でも。















──────仲間がいつでも傍にいてくれるってことを。

読了ありがとうございました。

戦闘シーンの間際で回想シーンを挟んでみましたが、いかがだったでしょうか?

人の出会い方は、人それぞれです。

当然その出会い方が全て正しいものとは限りません。中には間違えた出会い方だってあるかも知れません。

最後になりますが改めましてありがとうございます。

これからは投稿頻度がなるべく減らないよ重々承知の上で投稿を続けたいと思います。

リアルが多忙な日々を送っていますが、無理しない程度で頑張っていきます。

皆様も体にはどうかお気をつけてお過ごしください。

では皆さんまた次の話で会いましょう、萌え神でした。


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