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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【瓦礫の刃】

 その部屋に入ると、平べったい空間が広がっていた。


 あちらこちらと周りを見渡してみる。だがなに一つ凹んでいる箇所がなかった。


 まるで新居の家のような空間。古めかしさはまるでしない。


 だがそれがある意味不自然さを強調させる。妙なのだこの部屋そのものが。


 壁際には瓦礫で彫ってできた妙な像が立っている。


「なに、この場所」


「汚れ一つもないのがまたおかしいですね」


「やつはどこにいるのかしら」


 どこをみてもアビレッタの姿はない。一体どこにいるのだろう。


 すると天井から何やら囁く声が聞こえてきた。


「へえ……逃げずによくきたわね、というか連れと一緒とか聞いてないんだけど」


 そして向こうから、地面を掘り進みながら促進するものがこちらへすごい速さで襲ってきた。


 間に合わず全員反動で壁に突き飛ばされる。


「今のは一体……ッ! 皆さん前を見てください」


 そこには先ほどの謎の蠢く物が。


 周りを一周するとやがて動きを止めた、すると床が突如として揺れ始める。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッッ!


 床はまるで波立ちでもしてるかのように激しく振動する、体が揺れに耐え切れずバランスを崩しそうになる。


「揺れが……激しすぎる」


「皆さん落ち着いてください、壁にすがってください」


 揺れの弱い壁際へ身を隠した。


 揺れは収まりひとまずしのいだ……と思っていたが。


 ガガーンッ!!


 瓦礫の刃が私を襲う、瞬時に対応しストライクで受け止める。


「か……硬いッ!!」


 衝撃と硬さに耐え切れずそのまま宙に突き上げられた。


「蒼衣さんッ!!」


 その異常な瓦礫の刃は私の顔面の皮膚を裂いた。


 多少の痛みを辛抱しながら私は地面へ着地する。


「蒼衣大丈夫!?」


「みんな気をつけて……、今回の敵一筋縄ではいかないみたい」


不意を突かれてしまったようだ、でもこんな攻撃ただの小手調べにしか思えない。


 あの揺れる地形何かしらの力によって動いているんだろうけど今は避けるのに精一杯だ。


「私の予測は当たってしまったようですね」


 すると人らしき人物が天井から降りてきた。


「ご一行ご苦労なことだ」


「アビレッタ……」


 美咲が目をしかめながらその人を睨む、そう目の前にいる赤黒い軍服を着た人物が、私達の敵アビレッタなのだろう。


 片手には瓦礫がくっ付いたような槍を持っており、余裕の笑みを浮かべている。その顔はまるで自分が追い詰められているのではなく、逆に自分が相手を追い詰めているようなそんな感じがしたのだ。


「私のイグラーンの攻撃はいかがだったかな? 良い地形になっただろ」


「さあね」


 私達にとっては有利になるどころか不利になった感じしかしない。今の美咲には余裕な表情が感じ取れない。


 やや焦り気味だ。


「美咲よ、今そのかき集めた大事なお仲間をここで始末すれば、許してやってもいいぞ」


「生憎ね、あんたの話には乗る気はないのよ」


「ふん、なら残念だ。仕方ない、せめてその大好きなお仲間と共にあの世に送ってやろう」


 アビレッタ槍を地中に刺すとまた地形が揺れて、巨大な壁が現れ覆い行く手を塞いでしまう。


「簡単に攻撃を通してやると思ったか? 冗談は夢にしておけ」


「くっそ」


 あれはただでさえ強固なのにそれを壁なんかにされたら打つ手あるの?


「だめですよ、迂闊に動いては……と言ってもここで動かない訳にもいきませんが」


 一歩踏み出そうとしたが礼名に止められる。


「なら、どうしろって言うの?」


 その巨大な障壁は様々な形に変化させることができるはずだ。例えば足場の悪すぎる地形にだって変えることも可能だろう。


 本体の武器は弱点が多そうな瓦礫でできた槍だ。


「美咲、何か弱点知ってないの?」


 ここで有力な情報の手がかりとしては美咲の記憶が頼りだ。長年一緒にいたのなら何回か面識はあるはずだ。


「そうね……」


 すると綾さんが間入りするように言い出す。


「私あの人の武器ある程度知っています」


「ならここは綾ちゃんにまかせようかしら」


「おまかせを」


「頼みます綾さん」


「あのイグラーンというXウェポン……地形を自由自在に変形させる能力を持っていますが、少し穴があるんですよ」


「穴?」


「それはあの能力の距離には限度があるんです」


「なんですって?」


 ということはあの地形を変形させるちからは、一定距離範囲ないでの攻撃しかできないってことか。


 足下を見る。するとあることに気づく、それは足下の方はまるで変化がなかったのだ。


 綾さんの言う通りこの能力には距離の限度があるということだ。なら距離を取っていれば確実に攻撃ができる? でもこの通り私は遠距離の武器は一切持っていない。よってこの距離だと攻撃手段が一切ない、どうすれば。


「でも私こんな距離から攻撃できる武器なんて」


 すると礼名が私の肩にてを乗せる。


「大丈夫です、私にいい考えがあります」


 



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