【最深部への入り口】
二週間も投稿遅れてすみません。暑さに明け暮れ中々執筆する気力が薄れてしまい少し遅くなってしまった次第です。お詫びと言ってはなんですが、このあとプラスで2、3本書きますのでよろしくお願いします。
マダロイドから小さな電撃音が出ている。今でも爆発しそうな音。
目をやるとそこにはストライクで身を貫かれ完全に停止したマダロイドの姿がそこにあった。
すぐさまに木っ端微塵に爆発した、そうかやってのけたのか。この難所を。
後ろを振り返ると仲間の姿がそこにあった。
「やりましたね、蒼衣さん。こればかりはどうなるかと思いましたよ……お疲れ様です」
あまり実感は湧かないが、とりあえず難所を突破したことを誇りに思おう。
でもあまり喜んでいる時間はない。
「皆さん、全部のセンサー無くなっています」
「ということは安心して先に進めるというですね綾さん」
思えば制御装置を止めるのがこんなに大変だったとは思わなかった、特に最後のだ。まさか制御装置を体に含んだマダロイドがいただなんて。
しかも大敵だったため倒すのに一苦労したが。
「とりあえず皆さん元の場所へ戻りましょう」
最初に来た通路へとようやく戻ってきた。
センサーは完全に消え、無防備状態の通路が広がる。
「無くなっているからと言って油断はできないわね、また罠があるかもしれないし」
「美咲さん大丈夫です、今調べたところ何も問題はなさそうでした。」
綾さんの言葉を聞いてほっと一安心する。
「先急ぎますよ」
礼名が率先して先へ進み先の見えない階段へと降りていく。
道中億劫になりそうな罠だけはないことを願いたい。
足を進める度に闇は深まっていく。闇が光を覆い被さるように辺りから光源が消えていく。
どこまで続くのだろうと不安に思いながらも私達は足を止めない。
「道長くない? そろそろ部屋の1つくらい見えてきてもおかしくないと思うけど」
すると礼名は答える、暗すぎて表情は見えないけど肉声でなんとなくだけど、表情と様子を想像した。まあ実際私が思っているものと一緒とは到底思えないが。
「恐らく階段が……道が長いということは最深部に近づいている証拠なのではないでしょうか? でないとこんなに長いわけがありません」
「でも礼名ちゃん、もしかすると最深部ではない可能性も0ではないかも知れないんでしょ?」
「頭の賢い人ならそんなこと朝飯前でしょう、けれどもこれまでの仕掛けから察するになさそうなんですよね」
「私は礼名さんと同じです、次で最深部だと思いますよ」
全員次の階層が最深部と思っていた。私も全員と合点が一致した。
「私もそう思うかな」
「なら、躊躇する必要ないんじゃない?」
「それもそうね」
なんとなく私は同情して「うんうん」と頷いた。
「出口ですね」
目の前に光の差し込む空間が。
やっとたどり着いた場所、そしてどんな強敵が現れるかそれが心配だった。きっとこれまでの敵とは打って変わる者には違いないだろうし、苦戦を強いられるのは覚悟しておいた方がよさそうだ。
たしかここの主導者は。
頭の中の記憶をよぎらせる。
……。
……。
……。
そうだアビレッタだ、美咲によればどんなタイプの武器を使ってくるかは検討もつかないみたい。
だけどそいつさえ倒せば美咲は忌まわしき反ロシアの呪縛から解放される。でもその先のビジョンを彼女はどう見ているのだろう。父母もいないそんな世界をどう受け止めるのだろうか。そこは地獄か天国かも分からない。
美咲……貴女は一体――――――。
「……い、蒼衣」
「ッ!」
ぼーっとしていたようだ。美咲の声で目が覚めた。
「どうしたの? 早く行くわよ」
「ごめん、なんでもないよ」
すると美咲は拳を顎に当てる。
「詮索はしないけどさ、"先のこと考えている"ようだったらそれやめてくれない?」
深刻な表情を浮かべながらこちらを見下ろす。
「分かった深く考えるのやめるね……」
「やめるとかそういうこと言っているんじゃないの」
「え?」
「私が言っているのはね"それで蒼衣が苦しむのが私にとってはそれが深い心に傷"ということよ……行きましょう」
「う……うん」
(美咲……)
美咲は蒼衣のことを大切に思っていますが、蒼衣は癖で先のことを考えてしまうんですよね。少し過保護な面かも知れません、ですがお互いに中々意思疎通できず毎回会話を挟む度に不穏な空気になってしまったりします。さてそんな4人の運命はいかに。次回からアビレッタとの戦いが始まります!
宜しければまた見てくださると幸いです。