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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【放て渾身の一撃】

 決意は一段と強まり、覚悟は決まった。


 仲間と共に私達は果敢に立ち向かう。


「美咲さん、足止めお願いできますか」


 離れた距離で私達は通話しながら指示を出し合う、そうした方が臨機応変に誰かが対応できるからだ。


 一応綾さんも指示を出すポジションにいるわけだけど、主軸になるのは当然のこと礼名だった。何故なら彼女からなら迅速な対処が可能だから。綾さんはその2番手目の指示を出す側、簡単にいえばいざという時の要員である。


「了解、バランスを崩せばいいのよね……、任せて」


 すると美咲は地面から太めの大きいツタを数本出して、そのままマダロイドに巻き付いた。


 グォォォォォォォッ!


 二本の足にツタが上手く巻き付いて動きを封じた。


 しかし必死に引きちぎろうと強引に体を動かす。


「どう」


 グガガガガガッ!! ……ガァア!!


 折角動きを止めたのにも関わらず、物凄い馬鹿力で引きちぎった。あの太いツタを最も簡単に引きちぎるとは、相当な力があるのだろう。


 さっき食らった攻撃が擦り傷程度なら、こいつは見た目によらず侮れない性能を兼ね備えているのか。


「まあそうよね」


 最初からそうなることが分かっていたように言葉を漏らした。美咲の中では想定内のことであろう。


「他に手は……」


 そう言いつつ銃で撃ち続ける礼名、しかしどの箇所撃っても結果は同じでビクともしない。


 やはり弱点と呼べる箇所はあそこしかないのだろう。


 だがその弱点の場所である口が今完全に塞がれてしまっている状態なので、破壊することは愚か、装甲も剥すことも無理だろう。


 あの口がもう1度開けばチャンスがくる、でもいつくる? 今かそれとも数分後か。何れにせよタイミングが身計れないのでいつ攻撃が来るのかわからない。


「なかなか口開かないね」


「機械でも休憩でもしたいんじゃないかしら?」


「マダロイドに限ってそんなことはないです……この場合」


 礼名が仮定を立てる。


「恐らく放射するのに時間がかかるのでしょう何分か知りませんが」


「でも数発分あるならさっき撃つタイミングいくらでもあったはず」


「蒼衣さん、“撃ってこない”ということは、考えられるのはただ1つだけです」


「それは?」


 少し考えれば単純な理由だった。


「1発分しか撃てないと思います、なのでそのチャージを行なっているんですよ」


 確かにそうだ、おかしいと思った。何故連続で撃たないのかを。それは単に1発分しか弾がないということ。


 だから次あの攻撃がくれば攻撃を狙える。だがそれもチャンスは1回限りだ。もう1度食らえば確実に死んでしまう。


「チャンスは1度だけ、その攻撃を明確にできるのは、蒼衣さんあなただけですよ」


 深く深呼吸をして気持ちを整える、大丈夫だ、私には仲間がいる。そうかけがえのない大切な仲間が。


 尻尾を武器で払うにしてもびくともせず壁へ突き飛ばされる。


「くっ」


「美咲!」


「大丈夫よ、すぐ立てるから」


 瞬時に移動し後頭部の方を狙う。ここを攻撃して無理やり口を開けさせる作戦だ。……だが。


「なに?」


 刺さるどころか、固すぎて刃が通らず、そのまま叩きつけられしまう。


「ぐあッ」


 だが、瞬時に対処できたので、軽傷を負いながらも後ろの方へ引き下がることができた。


 礼名が応戦し目を目掛けて射撃する。


「くっここもダメか」


 カメラを破壊し、戦いを有利に進めようとするが、そこも頑丈で弾かれてしまう。


「蒼衣さん大丈夫ですか?」


 駆け寄って声をかけてくる。


「大丈夫よ、心配いらない」


 美咲と同じようなことを言い強気でいるが正直いって立っている状態でも十分にキツかった。体のあちこちがズキズキを痛む。


 でももう少し体が持ってほしいところだ、そうあの口が再び開くまでは。そうでないとこのままみんな死ぬことになるから。


 それだけは絶対嫌だ。失ってなにも残らないことなんてもう耐えられない。


 仕留めるこの手で必ず。


 口開くなら、開け。西部劇のガンマン勝負みたいにどっちがが早いか比べっこしたい気分だ。


 相手の動きが止まる。そろそろ撃つ合図か。


「! 蒼衣さん……あれを」


 玲奈が指差すマダロイドの方に目をやる。……本当にゆっくりだが口を開けている動作をしているのがわかる。


「いいですか? 蒼衣さん……もう1度言いますが、チャンスは1度きりです。なのでストライクを思いっきり投げてください」


 当然のこと、私が言い出したんだ。自分が言い出したことは最後まできちんとやり遂げてみせる。


 だが緊張のあまりか心臓の鼓動が激しくなる、手が震え、息が荒くなっていく。


 遂に口が開く、私はその一瞬のタイミングで手に持っているストライクを力一杯に握り締め片手で縦方向に持つ。


 その一撃を叫び声を上げながらも足をしっかり踏み、手に力を込める。


 怖がっていてはダメだ、この手は誰かを悲しませたりさせるためだけにあるものではないんだ。私には守りたいものがある、そのためにもここで終わるわけにはいかないんだ。


「これが私の想いの強さだッ! ハァァッ!!」


 手に持っている一本の剣を槍投げのように投げた、その剣は目に止まらない速さで真直に飛んで行く。一ミリも曲がらずに。


 その剣は──────。

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