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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【敵の制御を叩けその4】

 私達は慎重に暗い天井裏の道を歩き、各場所の制御室に向かっていた。


 後2か所だが、手を取り合いながら目標を目指している。


 地を踏み締める度に遠く感じるようなはたまた短く感じたりよく分からない感じである。


 長時間動いていたため、多少の疲労を感じているのだろうと思う。


 丁度今は2つ目の制御装置の破壊の最中だ。


「そうです、そのまま押さえておいてください」


 互いに声を掛け合ってタイミングを合わせる。


 礼名が最終的に射撃を行い機械を破壊する。私達もそのように行うことは可能だが、一緒に突破しようとすると狙いが定まりにくい。そのため私達がマダロイドの処理を行なっているのだ。


 そして礼名が制御装置を破壊し、武器を下ろした。周りの機械がブラックアウトして静まり返る。


「これで残すは後1か所だよね。と言ってもここも同じ感じだったね」


「貧乏だからそんなに予算かけてないんじゃないかしら、分からないけど」


 さっきとそんなに仕掛けは変わらなかった、少し違うとしたらさっきと比べて少し小さいような感じ。そこまでこのような部屋は美咲の言う通りあまり手を加えてなさそうだ。貧乏かは分からないが。


「で次はどこに行けばいいの?」


「待ってください……。……。……。少しここから遠いですね」


 礼名がマダラースコープで位置を確認した。確認してから即座に把握したみたいで、確認は一瞬で終わった。


「相変わらず早いね。礼名から言わせれば当然のことかな?」


「……これできて当然じゃないんですか?」


「そうだけどね、普通はそんな迅速な速さで確認なんてできないよ」


 礼名は拳を顎に当てながら考えてる様子をしながら答えた。


 彼女からしたらごく普通、できて普通のことなんだろうけど、私から……ううん、私達からすればとても凄いことだと思う。


「なんで照れるのかな?」


 恥ずかしいせいか顔を紅潮させ皮膚が赤くなる。


「べ、別にそんなことは……! いいですから行きますよ」


 本当は嬉しいくせに素直じゃないんだから、まあそんな礼名がとても可愛く見えてくる。


「わかったよ、みんな行こう」


 頑固癖が激しい礼名はさておき、私達は遂に3か所目の場所へと向かうことにした。


「面白可愛い子ね、礼名ちゃんって」


 美咲が小さな声で感想を耳打ちする。


「そうでしょ?」


 私は正直なことを言った。



















 再び暗い道を歩く。1歩1歩を慎重に丁寧に進む。


 前後左右共々に怪しい箇所がないかそこも目を通す。今の所変わった所はない。


 ただの何の変哲もない薄暗い道だけだ。


 でも敵1体も出て来ないというのが逆に怪しくも感じる所。


 ここは安心していいのだろうか、そうはしては行けないだろうか。2つの考えが幾多も交差させ、私を困惑させるのだ。


 周りには捨ててある物などは1つもない、ここはどうやら使用箇所としては使用していない場所…………なのだろうか。


「このまま順調に行けばいいわね」


「いくよ、礼名について行けばきっと大丈夫」


「その自信は何処から来るのやら、少し過信しすぎなんじゃない? まあ蒼衣のその自信は否定できないけどさ」


 多少呟きながらも美咲は足を止めない。


 それにしても本当に何もない。


 しばらくすると、開けた場所に礼名が立ち止まった。どうやら最終の制御装置のある部屋へと着いたようだ。


 礼名が透かさず武器で床に風穴を開け、後に続いてその中へと入った。


「ここは」


 入るとこれまでに入った部屋とは明らかに構造が異なっていた。何もない密閉空間、制御装置らしい機器は何処にも見当たらなかった。


「ないね、今度は何処にあるんだろう」


「とりあえず皆さん隈なく探してみましょうか」


「綾さんのいうことここは聞いた方がいいかもしれません、敵には気をつけて皆さん隅々に装置を探しましょう」


 ふと気になることを聞く。


「あれ礼名、スコープで正確な場所わかるんじゃないの?」


 礼名は首を横に振った。


「申し訳ありませんが、この部屋妨害電波か何かが出ているせいで、正確な位置はわからないんですよ。なぜでしょうね」


 妨害電波か、言われてみれば私のスコープから複数の電波を感じる。なんの反応かは知らないけれど、私達の行動を妨げる物ということは重々承知した。


 やはり綾さんのいう通りに敵の罠に注意しながら戦うしかないのか。


「面倒臭いことかもしれないけど、こうでもしないと前に進めはしないのよね? だったらするわ」


「美咲、何か役に立ちそうな能力ないの?」


「あるわよ、それ使うよう言ってもらえれば、やってあげるけど」


 言わないとやはり中々やってくれないな。段々この下りにも嫌気が差してきたけれど。


「勿体ぶらないでよ、本当に必要だった時は言うから!」


「あらそう? なら本気でいかせてもらおうかしら」


 最初っからそうしてもらいたかったな。


 すると美咲は人差し指で床数か所をトントンと突いた。


「?」


 周りのみんなは何をしているのか分からず首を傾げる。


 一体なんなんだろう。


「今地面にグレイスシード……小型の生きた探索植物を作ったわ」


 床に無数の小型の種のようなものが蠢いている。どうやらこれで届かない部分をこの種達がみてくれるらしい。


 因みに美咲曰く、この種達がみている視界の情報は、彼女の脳の中で共有されるらしい。


「ひとまずこれで少し作業が捗りますね、私たちは探せる範囲探しましょう」


 ここはそうするしかないだろう。壁を破壊して強行突破するのもいいが、それはもう自分の居場所を教えるようなもの、今のやり方だと場所がバレにくくなっている。


「手分けして探しましょう、何か気になるものがあれば即ご報告をお願いします」


「うん」

「わかりました」

「了解よ」


 隠して手分けして制御装置を各自探すこととなった。





















 数分後、ある程度時間が経ったが進展はなし、怪しいであろう所をいくつか探ってはみたが、全部はずれで何もなかった。


「ここも違うか」


 見つからないばかりにただ声が漏れるばかりである。


「蒼衣さんこちらもダメです、それらしきものはこれっぽっちも……」


「私もダメですね、どうやらこの部屋は何処にもないみたいです」


 綾さんと礼名の方も収穫なしみたいだ。


 となると、部屋の内部周辺には何も置いてないことになる。となると裏に置いてある。もしくは…………。


「…………これはッ」


 美咲が声を上げ反応する。


「どうしたの、何かわかった?」


「えぇでもそれが……」


「?」


 美咲は何も言わず、人差し指を指す。人差し指が指していた方向には。


「壁…………?」


 なんの変哲もない壁だった、さっきまで他のみんなが探っていた場所でもある。


 案の定私もさっき1回、そこへ赴き調べてみたが怪しい箇所は1つもなかった。


 …………となるとそこの壁の“中”ではなくその“奥”だろうと憶測が立つ。


 もしそれが正しいとしたら。


 私は恐る恐る聞いた。


「いるの?」


 小声で美咲は答えた。


「結構な大きさ……よッ」


「ッッ!!」


 すると何も変哲もないその壁から物音が聞こえてきた、音は次第に大きくなり荒々しい反響音に変わる。


 ガシッガシッ


 そして。


「なんなのあれ……?」


 ドゴォーンッ!


 その壁は奥から何者かが、攻撃を加えたせいか凸凹な球体模様を膨らませ、衝撃で凹んだ壁をそのまま押し倒してきた……。壁は前に勢いよくゆっくりと倒れる。すると押し出して奥から何かが歩いて出てくる、その歩いてきたものは。


 超大型の50mほどの高さがありそうなマダロイドだった。


 グォォォオオオオッッ!!


 巨大なマダロイドの大きな咆哮が部屋中に響いた。大きな機械の音を立てながら。


 その時察しがついた。


「まさかこのマダロイド自体が制御装置本体なの?」

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