【敵の制御を叩けその3】
勢いをつけながら、敵マダロイドの群れへと果敢に武器を振る舞いながら、戦っていく。
時に敵の狙撃が多少当たりはしたこともあったが、それでもかすり傷で済んだため、気にせず敵をなぎ払っていた。
礼名が打ちやすい場を作るため、私達はなるべく前の敵の殲滅をするべく、敵を倒していった。
だが倒しても倒してもキリがなく、減っている気配すらないのだ。
私にもしも、広範囲攻撃が可能な武器さえあれば、場を有利できるのだが、生憎私はそんな武器は持っていない。
ストライクだと攻撃範囲はそこまで広くないのだ、広範囲出せたとしても必殺である『ストライク・ブレイク』ぐらいだろう。
使いに使いたくはあるのだが、そうなると大幅エネルギーを消費することになるので、効率が悪過ぎるだろう。
考えに考える。頭の中にある思考力を最大限まで活用させ、頭の中を巡らせる。
そうしていると美咲が大声で声をかけてきた。
「考え込んでいるの? まさか1人でそれを抱え込んでいるんじゃないでしょうね?」
「それは……。そんなことないよ、大丈夫」
でも美咲は目をしかめて言う。
「言ってることは余裕そうだけど、私が見る限り、顔……そして体に焦りの様子が見えるわ。貴女」
「……」
鋭いな美咲は。
「手貸して欲しいのなら言いなさいよ、私は文句の1つも言わずに貴女に力を貸すから」
すると美咲は私の肩に手を乗せ、「うん」と頷いた。
……そうだ、なんで忘れていたんだろう“信頼”と“助け合い”を。
自分の手だけで力不足だったら誰かに力を貸して貰えばいいんだ、美咲は私に今か今かと私からの指示を待っているんだ、どうして欲しいかを。
「ごめんね、私1人で抱え込んじゃって」
「いいのよ、それでどう力を貸して欲しい?」
答えはいうまでもなかった、私の不足部分を彼女に補って欲しい。ただそれだけの理由だ。
「ねえ? 広範囲系の武器ってある?」
「なーんだ、そんなことなのね……お安い御用よ。……ふっ」
すると美咲は持っている大剣を体へとしまうと、交換するように別の武器が美咲の手の平で実体化する。
長く下まで伸び切ったギザギザとした武器。それをビシビシと手の平で叩いていた。
「最近使ってなかったから、少し鈍ってるかも知れないけど」
鞭だ、そう敵を一掃できそうな長い長い鞭だ。これも美咲の取り戻した力の1つでもあるのだろうか。そうだとしたら非常に心強い。
「蒼衣……困ったらとにかく頼りなさい。私達は“仲間”でしょ?」
「そうだよね、ありがとう」
すると手に持った鞭を美咲は大きく満遍なく振る。
鞭はどこまでも伸びやがて周りの敵を覆い囲む。そしてそのまま寄せつけ力強く縛りしめつけた。
てきは1匹たりと身動きが取れない状態だった。
「ざっとこんなものよ、さてと後始末しないとね」
鞭の尖り目が徐々に光りだす。そして発光部分を伝って稲光のような電撃が一瞬で迸った。
「猛毒を含んだ高熱の光よ、じっくり味わい散りなさい」
そのセリフと共にマダロイド達は熱を浴び、爆散した。
「しめました、お二人共下がってください。撃ちます」
礼名からの指示が出て私達は後ろへと下がった。
そして礼名は装置に標準を合わせ、狙い撃ちをする。
「3、2、1……発射」
定めた場所に弾が直撃すると機械は木っ端微塵に破壊された。
「1つ目破壊できた感じかしら? 最初の場所確認してみるわ」
確認するとセンサーが一部停止していた。
「やっぱりあの装置あってたんだ」
「破壊したことで一部のセンサーが停止しましたね」
「あと2か所ね、急いで止めにいきましょう」
「基そのつもりです」
「では皆さんいきましょう。柚木さん指示を」
「はい、それでは後に続いてください」
私達は後二か所制御装置を止めるべく再び天井裏の中に入るのだった。