【戦慄に舞う華麗なる薔薇】
端末によって少し当て字が読みづらいかもしれませんがご了承ください。
1人の少女は前に出た。華崎 美咲の後ろには、見守る仲間が私含めて3人、手出しは無用と美咲に言われているので、じっと見守る。
「さあ、そろそろ始めましょう。生憎こっちは暇じゃないの」
「舐められたものだな、それにその言葉遣い直した方がいいと思うぞ」
しかし鼻で笑い、余裕な表情を浮かべ再び視点を合わせた。
「あんたに敬語や言葉遣いを気にする必要なんか、これひとつ眼中にないわ……、言ったでしょ?『美しくない』って」
一見相手を見下しているように見えるが、これも彼女の策の1つなのだろう。
それに早く見たいものだ、彼女の本気のその力を。
「ええい、馬鹿にしてマダロイド達よ、この小娘を懲らしめろ!」
すると端の壁のハッチが一斉に開き、中から蠢く蟻のようにマダロイド達が飛び出てくる。
小型から大型の機体まで何種類も出てくる。数的には一方的に不利なように見えるが。
「へえ、貴方ってバカね。物に頼らないとろくに戦えないなんて」
「減らず口を……。数的にはこちらが有利と言うのに、今の状況わかっているのか?」
体数を増やされても決して美咲の表情は緩まなかった。コツコツと足で地面を突きながら相手の出方を伺っている。
一度その動作をとると右手の武器を構え、左手の盾も同時に体制をとる。
そして勢いよく目に止まらない速度で、ことごとく敵マダロイドの群れをを薙ぎ払い倒していく。
斬撃で斬り倒すその動きは、まるで会場で踊り舞う踊り子のように、舞っては斬る、また舞っては斬るの繰り返しで、非常に可憐であった。
大剣を使っているとは思えないその動きだった。
「たいした事ないわね、」
「くっ」
そして茂上との距離がだいぶ縮まってきた。しかし目の前には大型の機体が行手を塞ぐ。以前の美咲ならパワー負けするくらい大型には不利だったが。
「お前は大型機には弱いと聞いている。従ってそれを同時に数体固めてしまえば近づけまい」
しかし茂上のその情報源は期待を裏切る羽目となる。
「……要領が悪いあなたにとっては我ながら考えたものね、でもその考えは」
美咲は一振りで3体のマダロイドの足を一気に切断し、バランスを崩した。
「……あの巨体のマダロイドを一瞬全部倒すなんて、すごいですね美咲さんは」
礼名はその華麗なる舞う姿を見ながら感想を述べる。
「前まではあんな動きしなかったんだけどね、私からすればもはや別人だよ」
「私も初めて見ましたよ、今まであまり動かなかったんですが」
綾さんは驚愕した表情をした。どうやら私達の中で彼女のあんな凄い動きを見たのは全員初めてらしい。
凄いとしか言いようがないのだが、きっとこれだけが彼女の本気ではないであろう。
美咲は下準備がほんと上手いから、今丁度勝利に繋がる秘策を練っているのではないだろうか。
そうでないならあの余裕な表情はしないだろう。
「? 美咲さんなぜか足を止めましたよ、茂上が目の前って言うのに」
急にその場で足を止め、その場のマダロイドの処理を行う。攻めて倒すのではなく、前のように立ち止まって確実に敵を倒して行く。
「どうした!? さっきの威勢はどこへ行った」
美咲は少し茂上を冷たい目で見ると再びまた鼻で笑った。
「1つ言っておくわ」
「何!? なんだその指は」
手で3の指を作り相手に見せる、この数字は一体。
「これは私の忠告、もう時期3分経つわ」
「それがどうした」
「3分にあなたの周りの物は単なるゴミになると言う忠告よ」
要するに使い物にならなくなる……破壊する的な感じだろうか。
……。
先程美咲が、足で地面を何度も突いていた動作を思い出す。
「ひょっとして」
「ひょっとすると……」
ちょうど私と同じような言葉を言おうとした礼名と言葉が被った。
「礼名も気が付いた?」
「そう言う蒼衣さんこそ……。どうやら考えていることは同じみたいですね……。あの先程の地面に足を突くあの動き、単に様子を伺っているようには見えませんでした。そう何か布石を取ったようなそんな感じがして」
「なら、どうしてあそこから動かないの?」
「恐らく時間稼ぎでしょう、それ以外考えられません」
なるほど、礼名の考えでだいぶ予想が浮かんできた。
しかし相手はそれに全く気づきもしないのだ。これひとつとて。
そして運命の3分後を迎えた。
「ちょこまかとマダロイド達……よ?」
気づくとマダロイド達は機能停止していた。
「言ったでしょ? 3分後に何か起こるって……。その3分がまさに今、悪いけどもうそのマダロイド達は動かないわ……試しに1体の中身見たら。面白い物見れると思うわ」
茂上は恐る恐る1体中身をみた。
「そんなばかな……」
マダロイドの中には生き生きと動くツタの姿があった、くちゃくちゃと音を立てながら、中を動き回っていた。
どうやらこれが、美咲の秘策らしい。
「な、何をした」
「私は予め手を打っておいたの」
「手?」
「そう、さっき私が地面を突いていたのは、その種……。その名も寄生植触手、地中から生えて行き、物体などのものを感知しそれに寄生する、寄生しその中で徐々に育ってやがてただの植物になる。そして隣接するものも接触するだけで寄生してしまう……3分って言うのは完全侵食するまでの時間ね」
「物に寄生する植物だと、ありえん断じて」
この為だったのか、流石だと尊敬し、心の中の不安が消化されていく。
「それにその寄生は人だって例外ではないわ……、手をよく見たら?」
すると彼の腕は。
「嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ!」
狂った声で奇声をあげ、体を震わせていた。
手は完全にツタになってしまっていて力も入らなそうな状態に陥っていた。
「さて、そろそろ仕上げにしようかしら」
最近投稿遅れてすみません、色々リアルで混み合ってる次第ですので。3視点で中々戦闘描写文にするのが難儀ですが、挫けず色々試行錯誤しながら書いていこうと思っていますので皆様応援よろしくお願いします!
コロナが収まらなくても小説の更新は止めないんで、時間潰しに読んでくださると嬉しいです!