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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【4人の殺人者戦地へ立つ】

 暗い、暗い、暗い、暗い、煙が視界を遮る。


 上手く礼名が発砲した弾で煙を作り、私達は敵の本拠地まで駆け抜けた。


 「これで上手くいくのか」と多少の不安はあったが。


「はあ、なんとかとっぱできたね……。全員いる?」


 後ろを振り向き、指を指しながら数える、計8人いれば大丈夫だ。先程礼名が言った通り彼女は少し遅れをとるので、合流に時間がかかる。


 つまり礼名以外の私を含めた3人最低いるといい。


 美咲に綾さん……そしてその二人を数えている最中、礼名が勢いよく黒煙の中を駆け抜け追いつく。どうやらそんなに手のかかるようなことではなかったようだ。


「なんとか……追いつけました。と言ってもこれくらい、どうってことありませんがね」


 真剣な表情をしながら走っていたが、それでも合流した地点では一切息を切らしている様子は見受けられなかった。流石というところだが、相変わらず礼名の異常な身体能力には度肝抜かれる。


「とりあえず第一関門突破だね」


「かと言って油断してたらまた、敵マダロイドと殺人者(マダラー)達に襲われ兼ねないわ」


「皆さんあれを」


 綾さんが人差し指で向こうを指した。十字に分かれた道がそこにあった。壁の高さはビル一棟くらいの高さをした鉄の壁だった。


 街はずれの場所によくこんな中は広い拠点を作ったものだ。


 しかし妙だった、こんな広い場所なら敵の群れが襲ってきてもおかしくないはずなのに、人気(ひとけ)もしなければ、物音もしない静寂な空間だった。


「十字に分かれた道ね、それでどうするの? また二手に分かれた方がいい感じかしら」


 美咲が率先して礼名に問う。


 でもそう簡単に相手はここを通してくれるのだろうか? やはり先程から気になることがある。何やらどこそこか相手に監視でもされているように感じてしまう。言うなればこちらを誘っているかのように、まるで釣りの餌を魚が食いつくのを待っているのかのように。


「なら先程同様……」


「礼名、それはダメだよ」


「どうしてですか?」


 礼名が指示出す寸前、私が口を挟んで話に割り込んだ。


「感じない? 見るからに何か誘っているかのように見えるんだよね。ここはさっきのように二手に分かれて効率よくまわるんじゃなくて、慎重に進むことを優先するべきだよ。それに何が待ち構えているか分からないからね」



 すると礼名は「うん」と頷き、周りのみんなも納得したかのように頷き返した。


「なるほど、それはいい案です……。確かにここで片方の組別々で行動して戦うより、ここは安全性を考えて全員でまとまりながら動くのもありですね」


「けれども、あれよ?逆にそれが全滅に繋がる危険性だってあるのよ?」


「だからこそです。こういうまとまって動けるだからこそできることだってあるんですよ」


「? それって具体的にはどう言った感じの作戦かしら。一つも想像がつかないのだけれど」


 イメージのつかない美咲はどう言った傾向で動くのか見当がつかなかった。こういう時だからこそこの柚木礼名は力を発揮するのだ、誰にも想像できない、礼名だけが立てられる作戦を。


 あなたがいれば百人力、それを勝る者だなんて私の組織は愚か、他の新東京都に存在する全組織のリーダーでさえ、あなたのそういう完璧な作戦なんて立てられないと思う。


「単純ですよ、非常に単純です、それぞれ役割を分担しましょう。そうすればいざという時に誰かがやられそうになっても、他の誰かがその人をカバーし助け合いながら行けば安全性を狙って進めます」


 やはり思った通りだった。彼女の作戦は大人も顔負けになるような作戦、普通の殺人者なら突撃するだとか色々言い出すのだろうけど、礼名は少し違った。


 人とのコンビネーションを生かしながら戦う、本当礼名らしい作戦だというか。でもここ数日私達の組織に入った礼名は、出会った当初より非常に成長したと思う。任務を通じながらきっと彼女の中で揺れる何かが彼女を成長させたのだろうか?


「確かにそうすれば危険度を大幅軽減できるわね」


「私はそれで大賛成だよ、纏まって動けば……」


 それは当てはまるとしたら政希さん……ただ1人だろう。彼女自身いや、正確には私達と言った方がいいだろうか。彼のお陰で礼名は変われることができたと言っても過言ではない。


 きっと彼のそんな優しさを基本として礼名は少しずつ考え方が変わったのだろう。


 以前の礼名なら命を捨てることになんの躊躇いも持たなかっただろうし、それに関しては大きな成長だ。


「それではそういう方針で……」


「どうしたの? 急にマダラースコープかけて」


「いえ、サーモーグラフィの機能を使えばある程度の生態感知できるので、一応起動しようかと思いまして……」


 そういうと全員礼名に便乗するかのように、各自マダラースコープのサーモーグラフィシステムを起動させる……、当然私もだ。


「怪しいところは」


「…………」


 礼名は真剣な眼差しで画面を凝らし始めた、徐々にその範囲を広げ、上下、左右、斜めと細かいところまで確認する。



「どういうことかしら、蠢いているものがいるのは確かなんだけれど、それらしい仕掛けのスイッチ等は見当たらないわね」


 それぞれ十字の方向に立ち、周りを見渡した。見渡してはその場所をズームアップしながら。


「……」


「……」


「……」



 急に礼名の表情が怪しくなってきた、そして礼名のマダラースコープから警告音がなった。


「隠れても無駄ですッ!」


 早々にシュナイダーを前方の床に向かって撃つ。するとそこからは。


「生憎、私のマダラースコープに高性能なものでしてね、些細なものにもよく反応してくれるんですよ。例えば壁で何か透明なものが周囲を覆ったとしてもこれは感知できるんですよ、普通のマダラースコープは目にみえるような壁くらいなら透視して体温等を感知できますが透明なものだとそれが一切機能しなくなるんですが」


「蒼衣さん、私を連れて来て正解でしたね」


 礼名の目の前には蠢く大量のマダロイドが待ち構えていた。どうやらそこはダミーの床だったらしい。


 マダロイドは奇襲をかけ礼名に襲いかかる。


 連射するシュナイダーの射撃で、確実に礼名は襲いかかったマダロイドを破壊した。



「どうやら、この床1つだけ正しい道があるみたいです」


「つまりどういうことなの?」


「さっき私が撃った場所そこは光学迷彩に覆われたダミーの床だったんです、どうやら姿だけでなく、音まで遮断できるみたいです」


 それは気づかないわけだ、ともあれここは礼名に感謝するしかないだろう。彼女がいなかったら今頃私達は敵に反撃なしに襲われていただろう。


「助かったわ、礼名」


「感謝するのはありがたいんですが、今はここの敵を倒しましょう……恐らく他の2つの道のどちらかに正しい道があるはずです」


 それを早く見つけないと無駄にここで体力を消費するというわけだ。なんとしても早くその道を見つけなくては……。


「蒼衣さん見てください、来た道が」


 綾さんが後ろを振り返ると––––––––。



















「来た道が見知らぬ道に変わっています……一体これはどういうことでしょう」


「そんなさっきまでその道は」


 入り口の方は土の壁で覆われていた、しかし今は周りと同じような壁に変わっている。どういうことだろう。一瞬で何か仕掛けただなんて考えにくいことだが。


「蒼衣さん……」


「なに?」


 困惑する私に礼名は頭を私の方に多少向けて。


「どうやら相手は相当な手慣れのようです、二重トラップです……してやられました。壁そのものを別の壁にペーストしたみたいですマダロイドのいる光学迷彩の床に」



 何かのトリック? それとも……。


「蒼衣さん、この通路にマダロイドだけでなく恐らく…………」




















「敵殺人者が身を潜めていますよ……きっと」























 その時改めて察した、先程私が言った“誰かに見られてる”ことに。



  


 



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