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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【従者からの預かり物その1】

 後をつけながら足を動かす、また一歩もう一歩と間なくかけ出す。


 美咲のそのもう半分の能力というのが木に掛かるところではあるのだが、問題はその人物だ一体何者でどういった経緯で彼女と接するのだろうか。


 ただ確かなことは事前にうち合わせをしていた、それだけ予想はできる。


 暗い森を暫く駆け抜けていると、一部光が差し込んだ箇所に出た、どうやらここが集合地点らしい。


 少々半信半疑ではあるが美咲がそういうのだ信じて待とう。


「ここがその集合場所?」


「そうね、けど早すぎたせいかまだ来てないけれど、まあここは大人しくここで待っていた方が……」


「いたぞ!」


 すると数人の追っ手がXウェポンを構えながらこちらの方へ向かってきた、相手の殺人者の数は未だに掴めてはいないが一筋縄ではいかないだろう。


 先ほどの罠といい使い勝手が非常に巧みであった。


「そう待たせてはくれないみたいね」


 私は率先して前に出た。


「あら、中々思った通りに動いてくれないのね"運"って」


 黒いスーツを身にまとった兵の集団のみだ、マダロイドは単なる足止め用の道具にしていたのかもしれない。


 とはいえさっきの戦いでほとんどのXエナジーはほぼ使い切ってしまった。……まあ斬撃である程度の代用は利く。


「とりあえずその人がくるまで足止めしておけば大丈夫よね?」


「ええ」


「なら私が時間稼ぎをするわ美咲、貴方は」


「援護なら任せて、Xエナジーならいくらでもあるわ」


 相変わらず性能は化け物並のスペック、正直あなたのその力一部ほしいところではあるけれども。


「ふんっ」


 破竹の勢いを真正面に向かい切り払う。相手側に狙撃型のXウェポンを所有する敵もいるが、私はストライクでその弾をはじき返して倒す、そんな大技は今お披露目はできないがこれくらいならできる。


 私にとっては食事の時箸を手に持つくらい簡単である。


「こいつなんて速さだ、攻撃する隙さえ見えない……ぐあ」


 動揺する相手、あまりにも攻撃が当たらなさすぎたせいか様子からして戸惑いが伺える。


 目で追いきれないストライクの刃が相手の体を悉くと粉砕する。


「調子に乗るなよ」


 挟み撃ちを計ろうとしてきたが私はその2人組の間を一瞬で通り抜け、踏み台にして飛ぶ……そしてそのまま垂直上から下に切り下ろす。


「ぐっは!」


 間も開けずに続いて横斬り、腰を落として一回転斬りと連続攻撃をかまし相手を圧倒する。


 それでも群れは収まりきらない。そしてとうとう動きが鈍くなりだした。


「くっ!」


 腕と足を捕まえられ動きが縛られてしまう。


 そんな時だった。


「串殺しのツタ!」


 地面から大きな尖ったツタが勢いよく生え、相手の体ごと貫いた。


「美咲助かったわ」


「そんな感謝されることないわよ。言ったでしょ? 援護はするって」


 ほんとうに美咲は敵に回せば凶悪な敵だが、こうして共闘すると頼もしい仲間に思える。


 いや、今この瞬間も、彼女のことを私は親しい仲のように想っている。なににせよ今の私にとって彼女は。











――――――かけがえのない存在だからだ。


「1人でできないことは2人ならできるってね」


 美咲は笑みを浮かべながら言う。


 彼女の最大の魅力は強さもそうだが、どんなことがあっても表情を曇らすことはない。


 少し相手をからかう場面もそこそこあるが、それでも私は彼女を誇りに思う。


 もしかしたら、彼女が持っているのは私の中でかけている"誠の正義"そのものかも知れない。


 今なら政希さんの気持ち理解できるかも知れない。人を信じるその意味を。


「美咲ありがとう、あなたがいれば百人力よ」


 敵を切り裂いて美咲と背中を合わせた。


「当然よ、私は散ることのない美しい薔薇だから」


 そうしてる間に相手側を半分以上削ることに成功した、だがしかし。


「はあはあ……」


 美咲は疲弊仕切っていた、さっきのXエナジーも残り僅かに感じる。


「大丈夫美咲?」


「はあはあ……。どうやら半分だけだと流石の私でもこれが限界みたい、吸って回復できるくらいのXエナジーも残されていないわ、誤算よ」


 そして不意をつかれ美咲は相手からの斬撃を食らってしまう。


「うっ」


 勢いよく宙に飛ばされそのまま落ちる。


「こんなにも敵の数が多いとはね正直想定外」


「今助けに行くわ!」


 慌ててかけよい助けに行こうとする。


「蒼衣……あなたは本当に優しい。でも私とあなたでは対照的な存在」


「どうして?」


「私には沢山の仲間なんてできたことなかったから」


 息づかいが荒いのにも関わらず美咲は口を止めない。


 彼女は私をもう1人のあなた自身と捉えているの?


「もしもう少しあなたと早く会っていれば"幸せな人生"を歩めたかも知れないわ。道とは曲がりくねったりでいつ谷底に落とされてもおかしくない一本道よ、その谷底に落ちたのがこの私……あなたは唯一そこから這い上がった強者よ」


 私を勝ち者だと言いたいの、でも違う。


「このままあなたは私に見捨てて欲しいとそう言いたいの」


「私の人生はここが終着点よ」


 でも私はあなたがそうやって命を投げ出すところ見たくないの。生きて欲しいいや、共に生きていきたい。


 私は美咲に本音をぶつける。それは政希なら絶対に誰も見捨てない、その思いを見習って私も彼女を救いたいと思ったからだ。


「今更何言ってるの、ここまできて……、勝ちとか負けとかそんなの関係ない、大事なのはまっすぐ前を見て何があっても進むその勇気よ、あなたは今からでもやり直せる……」


 そして私は腹に力を入れ泣きじゃくりながら叫ぶ。


「いいのよ! 私のお陰であなたたちが目的を果たしてくれれば、私はそれで……。」


「「そうやって! 簡単に命を投げだそうとしないでよ!!」」


 森中にその声はやまびことなって響き渡った。


「えっ?」


「私は少なくともあなたのこと"仲間"だと思っているわ! ここで命を投げ出すだなんて私が絶対許さないんだから」


 あなたも感じてるはず……僅かながら薄々と、私達はもう既に通じ合ってるじゃない。


「蒼衣……」


「それにあなたはまだ帰れる場所があるはず瑛一さんはあなたの帰りを待ってるのよ?」


「瑛一が……」


 驚いたせいか美咲は瞳孔を丸くさせる。


「当たり前が当たり前でなくなるなんて嫌でしょ? それをいつも維持してくれるのが紛れもない誰でもない家族よ。みんな待ってるのよあなたを」


「…………」


 私が差し伸ばしたその手を彼女はそっと力強く握ると彼女は起き上がった。


「またあなたに助けられたわね」


「諦めたらだめよ」


 再び体制をとり攻撃に備えようとしたその時。


 1人の女性が空から飛び降りてきて、私達の前に姿を現した。メイド服をきたショートヘアの女性。


「遅れてすみません美咲様」


「由美…………待っていたわよ」


 美咲の口から出た名前それは由美……そう言った。

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