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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【ツタからの警告】

 夕暮れの渡り廊下、外からの光が差し込む。影の伸び縮みがやけに激しい。


  立ち止まって窓を開け、夕暮れの学校の風あたる。


  暫くして帰ろうと体を動かす。その時だった。突如として体中から違和感がした。腰を抜かしその場に座り込んだ。


「なに……この感じ」


 胃の中に何か詰まっているように気持ちが悪い。


 私はやむを得ないと思い、手の甲を口の中に突っ込んでそれを吐き出そうとした。


「ぐ…………、ぐはっ」


 少々時間はかかったが、なんとかしてそれを吐き出すことに成功した。一体なにが体の中に入っていたのかと不審に感じた私はその吐瀉物に目をやる。


 それは――――――。


 この間見たあのツタの一部だった。吐いたおかげで気は楽になったがなぜこんなものが私の体の中に?


 恐る恐る触ってみる、なんの変哲もないただの植物のようだ何も異常は見当たらない。


「一体いつこんなものが」


「知りたい?」


 すぐそこの柱から人の声がした、いやもう知っている声だった。少しずつ前に出て私の方へ顔を出した。


 ツタを使うあのフードを被ったあの女性だった。相変わらず素顔は見えない。


「手間が省けた ここであなたの首を狩る!」


「まあまあそんなに焦らないでよ 時間ならいくらでもあるじゃない」


 攻撃しようとした瞬間呼び止められた。冷静に考えれば今ここで戦えば被害が拡大する一方だ。


 この人があの写真に写っていた華崎美咲なのか、確信すら怪しいところだ。なににせよ写真の人物の面影もなかったからだ。


「あなたは誰なの…… 華崎美咲?」


 答えてくれないだろうが一応問い尋ねた。


「簡単にその質問に応じるとでも?」


「まずはそのフード取って顔でも見せたら? この恥ずかしがり屋さん」


「生意気な子ね全然美しくもなんともないわね いいわ私と戦ってそれでフードとれば……。そんなに素顔みたいなら」


 さすがにここで見逃すわけにはいかない、素顔さえ把握すれば相手がどんな人なのか認識できる。


 華崎美咲と同一人物なのかそれとも。しかしここは学校、被害を避けなくてはならないのでXウェポンは使用不可だ。つまりここでの私は素手で相手のフードを剥がすことになる。


 時間も迫っているしチャンスは数分だけか。


「あなたのさっき疑問に思っていたことの答えを教えてあげるわ そのツタはあなたと最初に戦った際入れ込んだツタの種ね そのまま放っておいたら毒が体中を回って最悪死んでいたわよ。そのツタは観測、視覚情報を収集して私に伝えることができる」


「つまりこのツタはレーダーみたいに私いつ何をしたか全部知ってるってことなの? じゃあ今までのは全部……」 


「ええ、あなたが私を探り当てるまで何をしていたのか全部私は知ってるわよ」


 なんてことだ。じゃああの戦っている間のどこかでそのツタの種を埋め込んだってこと……、不覚だった。私としたことが、気づきもしないなんて。


 この殺人者私が今まで戦ってきたどの殺人者よりも強い……非常に。油断したら殺されかねない。


「さあ来なさい」


 私は拳で殴りかかる。連続で得意とする高速の攻撃で相手を追い詰めようとする。


「甘いわね」


 しかし両手を掴まれ動きを封じられた。となると足で蹴って。


 そうやろうとしたら相手は私の腹を膝で思いっきり蹴ってきた。


 早い……。蹴り返そうにも時間が間に合わない。


「ぐふっ」


 これはきいた、さすがに力が。


 だが相手は手を離さない。どうして?


「動きが見え見えね このままあなたのエネルギーを吸い取るわ」


 不思議な力を使って私の力をみるみるうちに吸い取る、これが狙いか。


 腕の力がほぼ吸い取られてしまう。力を入れ直そうとしても今は腕の力が貧弱すぎて押し倒す位の力もだせない。


「これだと腕が使えないからフードも剥がせないでしょ?」


 こいつ力だけじゃなくてそのまま生命エネルギー丸ごと吸い取って、私を殺すつもりか?


 ぎぃぃぃぃぃぃ。


 相手の握力が私の腕にのしかかる、非常に痛い……今でも引きちぎれそうなくらいの痛さだ。


 今の私の攻撃手段は極めて少ない。腕は使えずおまけに腹が痛いせいで足がうまく上がらない、立っているだけで精一杯だ。


 どうにかそのフードを剥がして顔を曝け出してあげる。


 一応手段は一つある、だがこれは少し賭けとなるがやるしかない。


「観念したら? じゃないと丸めた紙みたいな腕になっちゃうわよ?」


「やれるものならやってみたら。返り討ちしてあげるから」


 自分が不利な状況であることは十分理解しているつもりだ。でもまずはタイミングだ、タイミングを見計らってあの攻撃を仕掛ける。そのタイミングを私は意地でも待つ。


 そうあなたが次攻撃してくるそのタイミングをね。


「言うじゃない でもこれで最後よ」


相手が最後の攻撃で押し込もうとした、そして私は。


「あなたは肝心なことを見落としている 両手両足封じたからと言って調子乗らないでよね!」


 私はほんの一瞬のタイミングを狙って、相手の額めがけて頭突きをして突き飛ばした。


 掴んだ相手の手が離れる。同時に相手の能力の効力が消え腕の力が戻っていく。


 どうやらこの力は相手と接触している間だけらしい。


 相手の能力のギミックは分かった、そうとなれば。


 ストライクを出す、武器自体なら触れても平気なはずだ、仮に武器を腕で掴んだとしても私自身の力Xエナジーは吸い取れなし、力も抜けることもない。


「やるじゃない それで武器で対抗して触れないように盾にするか やるじゃない」


 相手が立ち上がるとそのフードはいとも簡単にとれた。


後ろ向いている状態なので姿はまだわからないが長い銀髪、赤いバラのヘアバンドをつけている。


「あーあ……信じられない、まさか本当にフード剥がすとはね たいしたものだわ。」


 彼女は前を向き素顔をついに見せた。






























 その人物は成長した華崎美咲となる人物だった。















「あなたの言うとおり私が華崎美咲(はなさきみさき)よ。ツタじゃなくて戦火に舞う一輪のバラっていう名称があるわ」

























 尖りに尖った真紅の美しい瞳、チャームポイントに頭に赤いバラのついたヘアバンドをつけている。


 これがあの写真に写っていた華崎美咲なの?

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