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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【盲目少女】

 翌日、一通の手紙が私に届く。その手紙の内容には私が学校の生徒会室へ行くよう書いてあった手紙であった。


 ツタの件でこちらからすれば厄介ごとに感じてしまうが、取りあえず話だけ聞いてこよう。


 そういえばうちの学校の生徒会長って会ったことないんだけど、どんな人なんだろうか。


 毎回学校の全校集会では毎回校長先生の挨拶の後、生徒会長から必ず挨拶がある。だがその肝心の生徒会長は、顔を出さずいつも副会長が挨拶をする。


 因みにうちの学校は、生徒会長が3年、副会長の役割は2年と決まっている。なのでこの学校の生徒会長の素顔を知っている者はほんの一握りだけであろう。


「政希さん、生徒会長に会いに行くんですけど生徒会長ってどんな人か知っていますか?」


 すると政希さんは後ろに向けた頭をこちらに視線をやる。そして眉をひそめながら答えてきた。


「一応俺の顔見知りなんだが、性格は至って優しい性格って感じだぞ お前より」


「あれよく聞き取れなかったですね…… もう一度言ってもらえますか?」


 その政希さんの余分な一言に私は少し切れ気味になって、ストライクを壁に向かって勢いよく投げた。


 突き刺さって壁には大きな跡が残ってしまい、政希さんは体をバイブレーションのように震わせて見せた。


「す、すまんさっきのは冗談だ! 最後のはノーカンで」


「いいですよもう…… 余計なこと言うから。 それでは行ってきますね」


「おう……ってこの跡どうするんだよ!」


「それは自業自得です自分でなんとかしてくださいよ、私が帰るまでに」


そのままかけだして学校へ向かった。


「ってちょっとくらい後片付けしてからいけよ!」


 と政希さんの叫び声が聞こえたが私は聞かないふりをしてスルーする。悪く思わないでね政希さんと私は心の中で笑った。

































~学校生徒会室前~


 木製でできた両扉の前までやってきた、緊張しながらドアノブをじっと見つめて目をしかめる。10秒くらいその状態をキープしていたが次第に億劫だと感じてきた。


 待たせるのは悪い、そろそろ開けよう。


 片手でドアノブをつかみ、ノックを3回して扉を開けた。


「失礼します」


「どうぞ 待っていましたよ」


 長々と配列されたテーブルのちょうど前に座っていたのは、車椅子に座っているミディアムヘアの目を閉じた1人の女性だった。


 服装は私達と同じ学校の指定服だ。


「すみませんが近づいてきてくれませんか? 目が見えないもので」


 私は少しずつ少女の方へ近づく。すると手を優しく片手で握ってきた。


「あなたが東城 蒼衣さんでよろしかったですか?」


「はい…………って名前も言ってないのに何で知っているんですか?」


「生徒会長ですから、それに生徒1人分からない生徒会長なんて学校の生徒会長は務まりませんからね」


 にこにこしながら言葉を返した。まあそれもそうか。


「あなたなんですか?私に手紙を送ったのは」


 そうするとどうやって手紙を書いたのだろう。目が見えないのなら手紙を書くのは難しいはずだが。


「はい、私は3年の浅葱原 麻緖(あさぎはら まお)っていいます……知っての通りこの学校の生徒会長です」


「浅葱原さんですか、よろしくお願いします…………それでどういったご用件でしょうか。」


「この前瀬谷さんと戦っていましたよね?」


 え、この人なんで知ってるの?


「ああ、はぶらかしても無駄ですよ全部知ってますから あのあと片付けるの大変でしたから」


 目が見えないのに何で知っているとそういうツッコミは置いといて、やったことは事実だ謝ろう。


「すみません」


「これからは十分注意してくださいね 誰もいないと思ったら大間違いです」


 この人の奥が深そうだな、というかあの時全然気づかなかったけどどこにいたんだろう。


 場所を識別するなんて目の見えない彼女にとっては難しいはずなのに。


目が見えないのは確かだけど一体。


「それで他に用でもあるんですか?」


「いえ特に何も」


「ならこれで失礼します」


 さっさとこと済ませて捜査を進めないと。ここで時間を無駄に潰すとだめだ。帰ってツタの手がかりを探さなくては。


 と一礼をして部屋から出て行こうとしたその時。


「まあついでです やっていきませんか? トランプ…………」


「そんなこと…………!?」


 体が金縛りにあったかのようにいうことをきかない、いやこれはどちらかというと“操られている”と言った方が良いだろうか。


 引力に逆らえず体が勝手に動き、気づくと彼女のすぐ隣の席に座っていた、同時に体の自由がきくようになった。


「これはなんのつもりですか」


「ツタの情報が欲しいのでしょう? いいですよ情報提供しても」


「何故それを?」


 彼女の言葉からツタという言葉が出てきた、彼女は知らないはずなのに何故知っているのか。


「私との勝負に勝ったら教えてあげましょう そうあなたのほしがっている彼女の“手がかり”です」


「そんなのあるはずが…………。あれは私と瀬谷さんと礼名しか知らないはずなのに」


 すると彼女は――――――。


「華崎邸の1人娘は紛れもなく華崎美咲、あなた達の情報は正確です けどもう一つ彼女の足がかりをつかむにはあと一歩ものたりない」


「な…………」


 全て知っているような口ぶりをする、これはひょっとすると彼女は私のほしがっている情報をなにか知っているのかも知れない、もし彼女の言っていることが本当だとすると、賭けてみる価値はある。


「いいですよその勝負 受けて立ちますよ」


「そう言うと思いましたよ」


 でもこれも目が見えないとできないはずのゲーム…………、どうしてやろうとする。


「蒼衣さんさっきからこう心に思っていませんか?『さっきなんで勝手に「体が動いたのか』と」


「それは」


「幽霊? 悪霊? いいえどちらも半分正解で半分外れです」


 トランプをシャッフルしながら話す、そう彼女が言うようにさっきの現象がとても気がかりだ。


 両方じゃ無かったらもう考えは1つに絞られるじゃないか。


「やるゲームは神経衰弱 脳の活性化といきましょう」


 よりにもよって頭を使うゲームときたか、でも優先的には目の見えるこちらが有利だ。でもやはりどうやってプレイするのだろう彼女は。目の見える人たちからでもこのゲームはカードの位置を覚えるのが難易だというのに。


 シャッフルがおわりテーブルに裏面のトランプが配られた。当然だが裏面になっているので、どこにどの数字のカードがあるかはわからない。


「ルールは全部取り終わって集計して勝ち負けを決めます」


「随分と余裕そうですね」


「慣れですよ、慣れ」


「それではやりますか蒼衣さん…………。いざ勝負です」


 かくして、彼女との神経衰弱での勝負を受けて立つことにした。


 彼女は華崎美咲の何を知っているのだろうか?

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