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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【街一番のガーデニング屋敷へ行こう】

瀬谷さんの情報を頼りに私達は『華崎邸』へとやってきた。


同行は礼名だけだ。大勢で行くと怪しまれて即攻撃沙汰になりかねない。


玄関には巨大な黒い鉄格子の扉。強引に開けようにも開かなさそうな強固な扉に見える。


「強行突破しますか?」


礼名の問いかけに私は躊躇なく首を振った。


「それだけはやめて 大変なことになっちゃうよ!」


「そうですか……、すみません」


礼名は無理させるとどんな手段も選ばない、躊躇いもなく問答無用で攻撃する攻撃の特注のプロだ。確かに心強いのは確かだけど、早まらいように私が何とかカバーしないとね。


「それではどうやって入るんですか?」


辺りに何かないか見渡す、どこにも見当たらないが。


「蒼衣さん…… あそこ」


「え?」


礼名の指さす方向にインターホンがあった、丁度ちょっと真上辺り。少しジャンプすれば届きそうな高さだ。


「ちょっと押して来るね ハッ!」


地面を強く蹴ってインターホンの真正面へ、私はそのままボタンを押した……が。


カチッ。


空撃ちしたような音がしただけで私はそのまま地面へと着地する。


「鳴りませんでしたね」


「どういうことなの……、インターホン鳴らない家なんて聞いたことないわよ」


「…………」


さてどうしたものか。このままでは進行なしにただ建物を見に来た不審者扱いになってしまう。


それに収穫なしだけは極力避けたい。


「? これは」


礼名は何かに目をつけた。それは電灯のスイッチの糸のような細い糸だった。


「ちょっと引いてみたら?」


「少し警戒心ありますが、引きますね」



礼名は糸を下へと引っ張った、すると。


ドゴドゴドゴドゴ……。大きな格子扉が左右に納まっていき、扉が開いた。…………って開くんだそこ。


「とりあえず入ってみましょうか」


「う……うん」
















〜華崎邸〜










ここが華崎邸……。 読みは『はなざき』ではなく『はなさき』である。


辺り一面花の庭で埋め尽くされており、華やかなバラのゲートを潜るとそこには水面にはバラが浮いている噴水があったのだ。


「まるで幻想的な世界に迷い込んだみたいですね 辺り一面コキアじゃなくて花ばかりですよ」


その美しい庭は心が突き動かされそうな空間で、2枚絵になりそうな場所だった。


――――――――辺りに気を取られ言葉を失う。本来の目的を忘れそうになりそうな具合だ。


花はよく知らないが、そう言えば母が趣味でいけばなしてたっけ。 母がみれば大喜びしそうだ。


「おや珍しいですね お客様ですか?」


スーツ姿の執事が現れた、この家に住む(あるじ)の仕えと言ったところだろうか。


白髪よりの70代くらいの老人だった。


「すみません 勝手にお邪魔して」


一礼して謝る。


「いいのですよ 寧ろ喜ばしい限りでございます。お客様は久しぶりなものなので」


「私は東城蒼衣 こっちは付き添いの柚木礼名です」


「柚木礼名といいます」


「では私も…………。私は華崎 瑛一(はなさきえいいち)と申します」


「華崎? ではあなたここの当主さんですか」


「いえいえ蒼衣様 私は当主代行で血も繋がっておりませぬ」


「それで瑛一さん 当主さんは今どちらにおられるのですか? 私達少し調べ物があってここに来たんですが」


すると1体のマダロイドやってきた。


「こいつは?」


「ご安心を このマダロイドには敵対意思はありませぬ ガーデニングを管理、作業をしている作業機体でございます 人工知能も持っているのですよ……」


マダロイドが挨拶する。


「オ嬢様オ帰リナサリマセ……オ嬢様オ帰リナサリマセ」


「これ そちらはお嬢様ではございませんぞ」


「オ爺様スミマセン……デハ、改メマシテ…… 私ココノ作業用マダロイドノ『ロズ』ト言イマス 部下ノマダロイドト一緒ニイツモ楽シク頑張ッテ働イテイマス」


マダロイドと話したのは初めてだ、まさか意志の持っているマダロイドがいるなんて。ところでロズが勘違いしていたその“お嬢様”とは一体誰のことだろうか。


「意志を持っているマダロイドですか 興味深いです」


「礼名もそう思う?」


うんうんと礼名は頷いた。


「ロズさんロズさん ロズさん達は一体全部で何体いるんですか?」


礼名がロズに質問をする、こうやってみると普通のロボットと会話しているように見える。


「ロズハロズデス。他ノマダロイドハ私ノ様ニ名前ハツケラレテオリマセン」


「そうなんですね ありがとうございます」


「ソレデハ仕事ガアルノデ失礼シマス」


するとロズは花の手入れに向かっていった。


「ロズまたね」


「蒼衣様、礼名様調べ物があると言いましたね 立ち話もなんです 中でお話しましょう」


「ありがとうございます」


「それでは行きましょう」


私達2人は瑛一さんについていった。











歩いている最中私は執事さんに聞く。


「すみません 当主さんは今どこへおられるんですか?」


「…………」


「なんならご婦人でも会わせてくれませんか?」


「……………」


喋り口調だった口が一気に沈黙と化した。彼の顔を見る限り、どこそこか虚しそうに1滴の涙を流していた。


「………………瑛一さん?」


執事さんは立ち止まりこう言った。

























ご夫婦は――――――。


























一年前お亡くなりになりました。






















「えっ…………」























鳥肌がたって一瞬視界の色が反転したように見えた。



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