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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【脱出方法】

 この世界に閉じ込められてから何時間たったのだろう。病むことのない敵殺人者からの猛攻、私は守っては攻撃するという戦法をとりながら、脱出方法を探る。


 仮想空間のものとはいえ、ちゃんと意思を持って動いてこちらへと攻撃を仕掛けてくる。まるで本当に生きているかのような異常な生命力である。


 次から次へと倒しても、新手が姿を現す。無謀な行動をとっていることは自分でもわかる……。百も承知だ。


 だが今はぐっとチャンスを待って粘っているのだ。逆転のチャンスは必ず掴み取れるそう信じて。


「啖呵を切ったのはいいけど流石に数が数ね」


「1匹の処理でも一苦労かしら」


「さあね そう思うのはあなたの勝手よ」


「生意気ね あなた」


 まずはわざと相手を煽らせてみる。 でも特に相手に変化はなし。直接武器には影響はないと言うことか。


 私は力を込めてストライクで周りをなぎ払った。効果はなしでまた一行に敵数を増やしてしまった。


 きりがない、本当に脱出方法があるのだろうか。


 だがさっきも思ったように息切れが全くしないという矛盾点大きく引っかかる、普通の人間ならかれこれもう息切れしてもおかしくない状況なのに。 


 これが恐らくヒント、ここを抜け出すための唯一のヒントだ。 だがあと一歩のところなのに手が届かない。


…………大きな賭けに出てみるか、下手したら死ぬかもだけど。 だけどそれでヒントが掴めるのなら私は。


 攻撃を止め同時に手も止めた。ストライクを地面に立てつけながら。


「もう降参? 早いわねでもキッチリさっきのお礼はしないとね ゴーレムその子にトドメを………… さしなさい!」


 大きな岩石でできた巨兵ゴーレムが私目掛けて踏みつけてくる。


「く……」


 攻撃を辛うじて手で力一杯受け止める、しかし体型の大きさから今でも踏み潰されそうな物凄い引力だ。ギリギリ耐えているがどこまで耐えられるだろうか。あと5分? それとも10分か。いずれにせよ限界はもうそんなに遠くないだろう。


「いつまで耐えられるかしら なんならストップウォッチで測ってあげようか?」


 煽ったら相手からまた逆に煽るか。 まあやられて当然のこと、分かっていてはいたけれどこんなにも乗ってくれる人なんてね。


 潰される寸前もう希望すら無くしかけていた。このまま自分の最期が迎えるのかと、脳裏にはそれしか浮かばなかった。


 私は思った、これがもし『偽り』ならかき消してやりたいと思った。


「これで私の勝ちね」
























 諦めかけていたその時だった。 急に脳の思考回路からある記憶が引き出された。
























 前本で読んだことがあるそうあれは確か『サン=テグジュペリ』の言葉。
























『心で見えなくちゃ、物事はよく見えないってことさ。肝心なことは目に見えないんだよ』
























 そうかそういうことか。 目に見えないもの物事、それは今私が置かれている状況と一致する。ようやく見えてきた。この世界から抜け出す方法を!


 どうやら私は知能だけは彼女に勝ったらしい。


 彼女に証明しよう。本当の勝利とは絶望しかけの人間だけが掴むことができるということを。


 絶望が希望に変わった瞬間それは同時に私が勝利を掴んだことを証明する時でもあった。


 力一杯私はゴーレムを投げ飛ばした。


「なに!?」


「一時の糠喜びは終わったかしら」


「ありえない!! ゴーレムにあなたは潰されるはず!」


「まだわからないの? 素直に負けは認めるべきよ なぜいとも簡単に投げ飛ばせたかそれは私が答えにたどり着いたからよ」


「この世界で起きることは全て現実として受け止めてはいけない そう目に見えているもの全てが嘘だと分かった時この世界の抜け道は開放される」


「くっどうしてそれを しまった穴が」


 上空に現実世界へ繋がる穴が出現した。


「どうやら私は知能だけはあなたに勝ったみたいよ 私はあなたみたいにそんな画力はない……でも少し歴史の資料でもみたら?」


 私は助走をつけて敵を踏み台にしながらその穴の開いた空へと飛ぶ。


「この世界は斬り裂く!」


 そしてストライクで穴を突き破りようやく現実世界へ戻ることができた。


 するとそこには怯えながら目を丸くしながらこちらをみる瀬谷真希が立っていた。


「さあ反撃するけど覚悟はいい?」


 ストライクを両手で多少上にあげながら構えた。眉を顰めながら。

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