【番外編 交わる意思その2】
遅れてしまい申し訳ありません
来週からは名誉挽回します
日の落ちた夜の新東京の商店街。街灯が辺りを照らし店の周り、店内は人盛りで溢れていた。
ザワザワと人々の喧騒が鳴り響く。拍子のいい足音を立てながら。
蒼衣には一言「ちょっと礼名と買い出しにいってくる」と告げ、礼名とここに来たのだが。
「こんな夜遅くどうしたんですか? 食材ならとっくに間に合っているはずですが」
ここに来た理由はただ1つ、昨日礼名に明日学校の制服でも見に行くかと問訪ねると、礼名はこくりと頷いてみせた。
そう制服を見に……まあ率直なところ“買いに来た”と言った方が明確なことかもしれない。
実際礼名と恵美にはちゃんと学校生活を送って貰いたいと思っているし、寧ろ日中家でゴロゴロしている10代の子供がいるとそれはそれで不健康で無職みたいな感じじゃないか。
俺は礼名達にちゃんとした学校生活も送って欲しいと思ってるし、そして友達も増えればいいと思っている。
それが2人の為でもある。 普通に学校生活で色々なことを経験して学ぶ。それが2人にとっての新しい生き方だ。
「いいからついて来いって」
そう言いなが礼名の小さな手を掴んで引っ張っていき、制服の売れている店へと入った。
この辺でも有名な制服店だ。新東京都内は各地区ごとに学校が山ほどあるので、制服を取り扱った店もそれなりの店舗数だ。
「行きたいんだろ? 学校に 買ってやるよ」
因みに金は全部俺の自己負担だ。1人で任務に没頭していた期間が長かったせいか金は腐るほどある。
勿論礼名1人分の制服だけじゃない、恵美の分もちゃんと買う。聞けばあいつも学校行きたいって言ってたしな。
「遠慮いらねえって その代わりちゃんと勉強することと遅刻は絶対しないことだ」
「わかりました」
「へへなら決まりだな ちょっと待ってろよ」
俺が会計をすませようとレジに行こうとすると礼名が袖を掴んできた。
「政希さん政希さん…… これも買ってもらって大丈夫ですか?」
「………?」
礼名はその目に止まったものを指差しをする。
白いベストを指さした。
うちの学校が校則指定しているのは飽くまでも制服だけだその上にベスト着ても何も問題はない。
まあこれはまた過去の話なんだが、規定が緩いからといって調子こいた挙句キャラシャツ下に着て行ったら先生に怒られた。
あれはあれでアウトラインだったからまあ注意受けたんだと思う。以降面倒くさくなって下はふつうのシャツ等を着て行くようになったが………………ちゃんとワイシャツは上に着て行ってるぞ。
ってことで。
「買ってやるよ ついでにな」
「ありがとうございます」
そして俺は列に並び会計へ。 しかし。
「すみませんお客様 この制服のリボン今品薄で現在1個しかないんですよ 予備のリボンでも大丈夫ですか?」
まじかよ。よくある在庫を切らしてるあのパターン。取り敢えず1つ予備を頼んで買った。
「すまん礼名 リボン在庫切らしてたからリボン1つ予備のやつ頼んだぜ」
「…………」
「どっちにする うちの学校のリボンがついていた方がいいか?」
すると礼名は即答で。
「いえ 私は予備の方で」
「そうか」
「こういうのは恵美が似合うと思うので私には勿体ない品物ですよ」
「なるほどな でもこっちはこっちで礼名が似合いそうなものだと思うぞ」
赤い色をした蝶々型をした色鮮やかなリボンだ。普通につければ可愛いと思うのだが。
そのまま俺達は帰った。少々蒼衣の表情が怖かったが。
恵美と礼名は学校まだかと待ちきれない表情を表していた。
数日後、とうとうその2人が待ちに待った日がやってきた。