表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第2章【巡り会いしこの地で】
46/139

【番外編 交わる意思】

数日が経った。


新たに2人のメンバーが加わったお陰で着々と受けた任務の時間を短時間で攻略できるようになった。


それもそのはず、この組織にいるメンバーは俺を含めて4人。だいぶ集まってきてはいる。


蒼衣、礼名、恵美この3人は性格も違えば考え方も違うのだ。


それぞれ様々な私情を抱えてはいるが、それでも彼女達は“今”という時間を必死で行き続けている。その為俺は3人1人1人を大切にしコミュニケーションもちゃんととっている。


俺が今この3人にしてやれることそれはどんな時でも受け答えをすることだ。信頼されないヤツなんてリーダー失格だしな。









それで今日は夕飯の買い出しで、礼名を連れて近くのスーパーに来ていた。


丁度路地通りにある商店街の道にあるスーパー、周りには窓ガラス貼りされた店がずらりと建ち並ぶ。


人数はそこそこ。学校や仕事帰りなどで通り抜けする人が大半だ。


「人多いですね」


「まあなんだ 一応これが“大都会”ってやつだよ」


礼名は周りが気になっているせいか、周りの店を見渡す。


なにか気になるものでもあるのだろうか。


「どうした礼名」


「いえこういう人混みの中 あまり普段歩いていなかったので気になるものが多いというか」


「とりあえず今は買い物が優先だ 買い物が終わったあとで礼名の行きたい所連れて行ってやるよ」


礼名との約束でもあるしな。


「有難うございます ですがあまり遅くならない程度がいいですね」


無論遅くなると蒼衣にうるさく怒鳴られそうだからだ。


もう遅くなったら命がないと考えてもおかしくないだろう。


頭の中で怖い笑みを浮かべながら、ストライクを手の平でパンパンと叩きながら待ち構える蒼衣の姿が浮かんだ。


深く考えるだけで気がおかしくなりそうだ。


そして俺達2人は買い物を済ませ、スーパーを出た。


大した量ではない。少なくもなく多くもない、普通ぐらいの量だ。


「そうだ 礼名行きたい場所どこかあるか?」


「政希さん今17時30分ですよ 明らか遅くなりますよ」


「マジで? もうそんな時間帯かよ これは早足で寄り道せず帰った方がいいな」


「政希さん! 前! 前!!」


「ん? あ………… ドァッと!」


ドン!


早く帰ろうと俺が一足先前に進もうとすると、突然不運にも誰かとぶつかってしまう。寸前礼名が声をかけてくれたが遅すぎた。まあ先走った俺が悪いんだが。


「すみません! お金ならいくらでもあげるんで暴力だけは勘弁して下さい!」


最近のできごとからまたボコられそうな気がしたので俺は恐る恐ると丁寧に謝る。


だが。







「大丈夫ですか?」


その声はとても優しいまるで子守唄のような声だった。


「お金なんてとりませんから……立ち上がれますか?」


転んだ俺に手を伸ばした。そして俺はその優しい手を握って起き上がった。


「ありがとう…… 君は?」


それはボブの髪型をした優しい瞳。制服を着た女子学生だった。


みた感じうちの学校の指定服を着ているので、恐らくうちの学校にいる生徒だろう。


年下か年上か分からないが、背丈が少々下ぐらいだから年下か?


「うちの学校の生徒だよな? それうちの学校の女子指定の制服だろ?」


「そうですけど……ってことは」


聞けば彼女は俺の1つ下、つまり蒼衣の同級生だな。蒼衣との面識があるかは不明だがとりあえず助けてもらったので感謝だ。


「俺は天堂政希 隣にいるのは柚木礼名君は?」


礼名は一礼をする。すると話している彼女は自己紹介してきた。










「私は」














「黄美江理奈です」











「そうか ありがとうな黄美江さん」


「注意してくださいね 人混みの中だとこういうことっていつも多いですから はいこれ」


すると黄美江さんは俺の手に絆創膏(ばんそうこう)を手渡してくれた。なんだこの子優しすぎだろ。


「気をつけてくださいね それでは失礼します」


一言告げると黄美江さんは去っていった。


「優しかったな……あの子」


すると礼名が囁く。


「今のは…… あれが学校の指定服っていうんですか?」


「制服っていうんだけどな お前が着ているのもそれだ まあ俺が通っている学校だとさっきの子が着ている服じゃないと校則違反なっちまうがな」


因みに礼名が着ているのは姉が着ていた服だ。俺と姉が通っている学校は異なっているので当然服のデザインも違う。


うちの学校は校則に少し厳しく服も指定の制服じゃないとダメだ。つまりうちの学校以外の制服は断じて認められず、どれも私服扱いなのだ。


これは転校生だろうが誰だろうが問わない。無いやつは強制的に買わされる。皮肉だ。


1年の頃そういえばふざけて1回私服で学校へそのまま登校したら先生に怒られたな。


「……… 礼名?」


「………………」


礼名はある所を見つめていた。


「ねえねえ!今からどうする? ファミレスでも行かない?」


「いいやカラオケがいいな! 最近歌えなくてうずうずしていたし」


「もう2人ったらそんなことしたら家の人に怒られるよ!」


「それもそうかははは……」


ベンチで座り楽しそうに話す3人組の姿がそこにあった。


楽しそうなその光景を目にしながら。


…………礼名。


俺は礼名に声をかける。


「礼名どうしたんだ?」


「いえ 私もあんな輪に入れたらいいな〜って」


そうかお前の望みはそれか。なら俺はそんなお前のその“望み”を叶えてやる義務がある。


“それ”を礼名が望んでいるのなら俺は叶えてやらないとな。


だから俺は――――――――。


「礼名……」


「はい?」


「明日制服でも見に…………行くか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ