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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第2章【巡り会いしこの地で】
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【ヘル・ビートルの襲撃!その2】

最近遅すぎてすみません

「あれは」


乗車席の丁度上の端に黒い物体……いや生物が薄らと見える。


暗闇の中をガサゴソと物音を立てながら様子を伺っているようだ。


「蒼衣ちょっとスコープで確認してくれないか?」


言われた通りに私はマダラースコープのカメラ機能を起動させる。


そしてカメラをアップさせ、闇に蠢くものを捉える。


するとよくみるあの虫がみえた。


「これはカブトムシか?」


政希さんがその映像を見てそういう。


「だが こんなカブトムシ見たことないぞ 羽になんか妙な模様がある…… いや待てそもそもここにカブトムシがいることが不自然じゃないのか?」


「政希さん…… これって本当にカブトムシでしょうか? 私には自発的に動いているというよりなにかを待ち伏せしているようにしか見えないのですが」


礼名は1つ妙なことに気がつく。 そうだ言われてみればこのカブトムシどこか妙である。 何かが……。


「うん? 待てよみんな…… これって虫じゃなくてXウェ……」


その時だった。さっきまで映り込んでいたカブトムシらしき者は姿を消す。


「き……消えた?」


「政希さんッッ!! 危ない」


ドンッッ!


ちょうどその虫は政希さんの気づかない背後に低音で飛んでいた。そこに礼名はシュナイダーで狙撃し今度こそ撃ち落とそうと図ったが。


「し……仕留めたか?」


政希さんは後ろを振り返る。


「残念だったな」


グササ――ッッ!!


その隙をついて何者かが政希さんの手首を切り裂く。


「うぐっ!」


「大丈夫ですか政希さん!?」


慌てて駆け寄る。政希さんの手のひらを返すと軽い切り傷がついていた。


「なんなんだ一体 さっきの攻撃は」


気になるのはそれだけじゃない。さっき何者かの声が囁いたが。


「ここだよ!」


ブゥゥゥゥン!!


そして私達の前に姿を現したのは、さっきの黒いカブトムシのような物が姿を飛行しながら飛んできた。


「お前は? さっき礼名が仕留めたはずじゃ」


「バカめ! 足元をよく見ろッ この節穴野郎がッッ!!」


一同下をみる。そこには粉々になった殻のような物がパラパラと散乱していた。


これはサナギの殻?


すると政希さんは険しい顔をしながら。


「サナギの殻か? でもなんか不気味だ」


すると礼名はその抜け殻のカスに向けて発砲した。すると。


シュ――――。


礼名の撃った弾丸は徐々に弱まっていき、そのまま燐光となり辺りへ散った。


「何!?」


なら私があのカブトムシに攻撃しよう。


私はストライクを取り出し構えて助走つけて攻撃する。視覚的には丁度ド真ん中、歯応えは。


カチカチカチカチ。


「何!?」


攻撃寸前、相手は体全体をカチコチにコーティングさせた。 いやどちらかというと体全体をサナギにしたといった方がいいだろうか。


キーン。歯応えのある音はした、しかし。


「!?」


ストライクが相手の身を切り込んだ部分から得体の知れない体液が付着し、とてつもない悪臭が漂ってきた。


アンモニアだとかそこら辺に近そうなそんな臭い。


すると政希さんは大声で私に語りかける。相手の危険を悟ったかのように。


「蒼衣ッ!! ストライクをしまえ!!」


「えっ?」


「いいから! しまって俺達の方に下がるんだ!」


私はストライクをしまい、政希さんの方へと下がった。何か気づいたのだろうか。


「お前」


政希さんは相手へと視線を向ける。


「サナギに毒持っているだろ?」


すると恵美は。


「毒? そんなの一体どこにあるんですか」


「アイツの体だ その答えは」


「そいつは自分の体に蓄えた特殊な毒入りのXエナジーを消費してあのサナギを作っているんだ」


「サナギ……? じゃあさっきの蒼衣さんのストライクから吹き出たあの液体って……毒ですか?」


「あぁ……」


どうやらあの体液は毒だったらしい。 あのまま切り込んでいたら毒が体に回り、死に至ったかも知れないということか。


「虫ってさ不完全変態と完全変態があるのは知っているか?」


「私は言葉だけなら」


そう答えると政希さんは。


「虫は進化の過程を繰り返して幼虫から成虫になるだろ? だがこの2つの大きな違いは その虫はサナギになるかならないかだ 例えばカブトムシは完全変態でサナギ化をしてから成虫になる」


「それでこの状況でなにが言いたいんですか」


政希さんはこう答える。


「サナギから脱皮仕立てのカブトムシの羽は、白くて柔らかい でも時間が経つとそれが固くなる 完全変態の虫ならこれを1回してから成虫になり一生を終えるが」


「けど?」


「相手がもしも自発的に蛹化して体を強化できる虫のXウェポンだとしたら……?」


そういうことか。つまりさっき固まったあの能力は単に防御目的の能力だけではないということ。


脱皮した後の体は徐々に徐々に強化されていく。体だけではない。パワーもスピードも。


それを連発してしまえば手に負えない恐ろしい大敵となってしまうだろう。これではいくら私でも太刀打ちできない。


攻撃をしかけてもさっきのように蛹化されれば今度こそ死んでしまう。となるとこの戦況は至近距離戦を得意とする殺人者(マダラー)はとても不利ということだ。


「さすがと褒めてあげようか 我がヘル・ビートルの力を」


「ここの乗客を殺したのはお前か 姿を現せお前本体はどこにいる?」


「易々と答えると思うか?」


「そう言うと思っていたよ 正体バラしちまえば狙いはお前の方にいくもんな」


なら戦う手段は? これだとみんな皆殺しにされてしまいかねない。


私のストライクに狙撃系の武器は1つもない。どうすれば。


「私が行きます」


なんとその窮地に礼名が前に出る。


「できるのか? アイツはとんでもない化け物だ」


「だからこそ ここは私の出番だって思いましてね」


「そうかなら任せていいか礼名」


「はい」


会話を終えると礼名は銃口を相手のXウェポン『ヘル・ビートル』に向けた。


「ほう嬢ちゃんやるっていうのか この私と」


「すみませんね 虫1匹飛行機の中に居られるとこちらとしてはとても迷惑な話なので………… いやホントに」


礼名の目付きが鋭い目に変わる。相手を撃ち抜くそんな思いを秘めているようなその表情に。 手は微動だにせず、平等に持っている。


それもそのはず、ヤツによって関係のない人達が何人殺されたか。 数え切れたものじゃない。


「言っておくが私は負ける気がしない」


「奇遇ですね 私もそうです」


「ならこう断言しよう 私の勝率が50%なら 君はその1割程度の勝率だ!」


荒々と言い切る相手に対しても礼名は冷静さを乱さず保つ。そして前の敵と向き合う。


「舐められたものですね 勝負っていうのはやってみないと分かりませんよ」








「撃つものは撃つ 目の前の敵を…… ただそれだけ……」


かくして礼名は相手のヘル・ビートルと戦うのであった。

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