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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第2章【巡り会いしこの地で】
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【引き金が引かれる時】

遅れてしまいすみません!

なんとか敵の基地の外へと出る、周りを見渡すと銃の狙撃弾花が火のように光る。交戦中なのだろう。


蒼衣達は無事にたどり着けただろうか。


蒼衣がそう簡単にやられるということはまず考え辛い話だ。


複数のマダロイドの群れを縦横無尽に切り裂いて駆け抜ける、礼名のフォローもあって苦戦を強いられることはそんなになかった。


「それにしても倒しても倒してもきりがないな」


「仕方ないですよ ですが東城蒼衣達の方は順調に目的地に向かっていると思いますよ」


「なぜそこまで言い切れる?」


礼名はこう言った。


「なぜ二手に分けたと思います?」


「俺達以外に誰もこのこと口外していないよな? そうなると軍のヤツらは俺達が二手に別れたことだなんて到底分かるはずもない………… はっ……そういうことか」


なんとなく察しがつく。 相手はこっちの行動は把握しきれていないはずだ。 基地内には監視カメラは設置されていないと聞いた、ということは相手は足取りが掴めていないはずだ。


…………やるじゃねえか 礼名。


「策士だな 俺だったら 何も考えず真っ先に突っ込んでいるところだぜ」


「私は相手が1手先を見るのなら 私はその5手先を見ます」


話していて分かったんだが、礼名は知能が高い。 軍人だって顔負けの頭脳の持ち主だな。


「そうなれば…… 取り敢えずこの場を切り抜けるぞ」


「はい!」


あともう少しだ、もう少しで蒼衣達と合流できる。 待ってろよ。












シュナイダーの連続射撃がマダロイド達に直撃する。 弱まった隙をついて俺はトドメにスタードの回転斬りで突破していく。


礼名は明確な相手の弱点か所を狙い撃ちして、攻撃かつ動きを鈍くさせる。


ここのマダロイドに関しては、生憎俺はイラクのマダロイドの性質を分かっていない。


なので全て礼名の知識が突破口の鍵だ。


「政希さん!ソイツの弱点は頭です! そこだけは一切耐性が付いてないです!」


「よし…… そこだ………… スタード・ブラスト」


宙から襲いかかってきた敵を俺は、礼名の言った通りに射撃で攻撃した。


電光石火の勢いでほとばしるような速さの光が、相手マダロイドの頭部を貫き――――――――。


ドゴォ――ンッ!!


空爆でも起きたかのように爆発した。


「ホントだ……」


「こんなの朝飯前ですよ」


と言う余裕振りの礼名。 まあ彼女の救いあっての俺だ、礼名無しだったら確実に死んでいたな。


そして幾多のマダロイドの群れ道をくぐり抜けて、目的地へとようやく到着した……………… が。











まだ蒼衣達は到着してはいなかった。


だが怪しい風力のかかった風が俺達の耳に響く。


「蒼衣達は」


遠くを見渡すも人影らしいものは見えなかった。


「まだのようですね」


目の前には誰もいない。 だがしかしそれでも礼名は武器の構えを崩さずにいた。


「なんか妙じゃないですか?」


「俺もだ 風がまるでその危険性を伝えているような感じだ…… ここまで来て誰もいないだなんて不自然過ぎる」


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」












その時だった。 突然風の音が止んだ、礼名は敵のセンサーを感知したのか足を力強く踏み込んだ。


「注意して下さい…… 近づいて来てますしかもとても大きなマダロイドです」


「なんだと!?」


すると地面から巨大な機体の影が姿を現した。


直感的に反応できた俺と礼名はすぐに回避できたが。


「こいつは」


「………………」


礼名は睨みつけるような目線で敵を見つめ、向こうを指さす。その礼名の見つめる視線の向こうには。


「うん? あれはマッド・アーマーか……」


マッド・アーマー…… マダロイドの巨大版と言えばいいか、堅が大きい割にはそのイメージを崩すような起動性能を誇るが。


だがマッド・アーマーは、かつてロシア残党が独自に開発した物のはず……。


ギシギシと足音を立てながらこちらへと向かってくる、そして。


大きな両肩部分の装甲が開く、そこには大量のミサイルが装填されていた。


やばいぞ……あんなのまともに食らったら幾ら礼名でも無事で済む訳がない。


「逃げるぞ!」


「政希さん?」


俺は礼名の手を掴み走る、なるべく軽傷で済ませるんだ。


シュ――――――。


敵のホーミングミサイルが放たれる、俺はスピードを上げ、全速力で突っ走る。


俺は腕の1本や2本失ってもいい、でも礼名だけは……。 礼名だけは死なせる訳にはいかないんだ。 彼女の未来は俺が守るんだ!


「政希さん! なんで戦わないんですか!?」


「お前を失う訳にはいかねぇんだ!」


「でも政希さん その先はもう」


案の定底はそこの見えない亀裂の入った渓谷、人間の跳躍力では届くはずもない。











それでも…… 1分1秒でも長く、足掻いて生き抜いてみせる、それが俺が今できる精一杯のことだ!


「政希さん!」


と礼名が大声で俺を呼びかけた瞬間ミサイルが勢いよく俺達を追うように落ちていく。


ドーン ドーン ドドドドーン……。


「うおぉぉぉぉぉ!!」


ド――――――――ンッ!!


俺達のすぐ後ろにミサイルが落下、追い詰められた俺は一か八かの賭けに出た。


爆発とその同時に勢いよく地面を蹴って渓谷へと飛ぶ。


「離すなよ礼名! その手を!」


礼名はその小さい手で力一杯握りしめてきた。


「信じます貴方のその勇敢な行動に!」


そして俺達はその谷底へと落ちていった。



















気付くとそこは、真っ暗な場所だった。 幸い亀裂の部分から空の光が差し込んでいる。


「助かったのか…… そうだ礼名は?」


片手に微かに温もりがある、その方向へ視線をやると、血を流している礼名が仰向けの状態で横たわっていた。


「礼名! 礼名!」


慌てて彼女の体を軽く揺すった。


しかし反応がない。


………………。


胸の鼓動を聞いてみる。 俺は礼名の胸に耳を当てがる。


「頼む…… “生きている”それだけ確認できればいいんだ……」


すると、心臓の鼓動音が聞こえてきた。


そして礼名はゆっくりと閉じた瞳を開け、意識を取り戻し体を起こす。


「…… ここは?」


「礼名! 俺がわかるか!?」


「政希さん……」


一安心だ。 一命を取り留めてくれただけでも奇跡的に感じられる。


「立てるか?」


「はい 平気ですよこのくらい」


礼名は平然とした表情で受け答えをし、立とうとする……だが。


「う……」


どうしたせいか礼名は足を挫く。 ……踏み外したのか足を。


「大丈夫か?」


「平気ですよ……この……くらいさあ行き…………」


しかし立とうとするが倒れかかる。俺は透かさず礼名を受け止めた。


「無理するなって…… 口は達者でも体は正直だぜ」


「すみません」


「取り敢えず挫いた足みせろよ…… 簡単な応急手当はやってやるからさ」


「ありがとうございます」


応急手当に取りかかった。 こんなこともあろうかと念の為ある程度のものは持ってきておいた。 まあさっきも言った通り簡単な応急手当だ、扱いが難しいものは持ってきていない。


消毒に……包帯、湿布等だ。


軽い手当てを終えた。だが問題は。


「どうお前を連れていこうか……その足じゃ中々足が早く動かなそうだし」


「大丈夫ですって」


「だから無理するなって……仕方ないほら」


俺は屈む。


「これって」


「見ればわかるだろ おんぶだよ」


礼名が可哀想だったので俺は礼名を背負うことにした。 見てるだけでも俺はいてもたってもいられなかったからだ。


「……………… わかりました」


礼名はしっかりと俺の方を掴むそして俺は立ち上がり前へ進もうとした。 すると足を踏み込むと、その足を踏み込んだ直後に礼名が口を開く。 顔を俺の方へと近づけて。


「政希さん……」


そっと俺はその言葉に俺は耳を傾ける。 優しい表情でだ。


「どうした……礼名?」


そう彼女に返事を返して――――――――。


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