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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第2章【巡り会いしこの地で】
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【選択の道標その3】

蒼衣達と合流地点まで行くため目的地に向かう俺と礼名。


この先は多少迷路のような構造になっており、大量のマダロイドがうじゃうじゃといるようだ。


ここの内部構造は礼名が1番よく知っているらしいので、取り敢えず俺は彼女のあとを着けてる状態なのだが。


合流地点まで距離がまだ結構とあると礼名は行っていたので相当長い道なのだろうここは。


反ロシアとイラクにどんな接点があったか知らないが、多忙になることだけはなるべく避けたいところだが。


特に面倒くさい殺人者(マダラー)とは交えたくもない話だ。


すると――――――。


ウィィィィィィィィィン……カチャ。


複数体の警備用のマダロイドが武器を構えながら行く手を阻む。


狙撃系の武器は所持しておらず、ゴツイ形状にでかいアームを両腕につけていることから、恐らく打撃メインの戦闘スタイルのマダロイドであろう。


片っ端から全部倒すのが手っ取り早いが、油断は禁物だ……何にせよ複数体だからな。


「囲まれましたね」


すると礼名は軍事用量産型のXウェポンを取り出す。


あの時の武器だ。それにしても物騒で真っ黒な色をした斬新な銃だが、この前の戦いを見た限りでは軽々と扱っていたくらいだ、よほど使い勝手の良い武器なのだろう。


「大勢だぞ? 大丈夫なのか」


「心配される必要はありませんよ、このXウェポンならこれくらい一掃することは簡単な話です」


「……政希さんしゃがんでくれませんか?」


言われるがままにその場で(つくば)る。


すると礼名は手に持っているXウェポンを1回転しながら連射する。


しかし。


シュ――――――――。


そのマダロイド何事もなかったかのような様子だった。


「そんな」


驚きの隠せない表情で礼名は再度連射を試みる。


「これでッ!」


ダダダダダダダ……。


しかしやはりビクともしない。


「礼名、このマダロイドって元々こんなに装甲硬いのかよ?」


「いえ、本来こんな異常な硬さではありませんよ 堅が大きいわりには鉄板2枚分くらいの硬さしかありません」


「……ひょっとしたら外部から装甲の情報を書き換えて性能を引き上げた可能性がありますねこれは」


「そんなの可能なのかよ、反則だろそれ」


「イラクには反ロシアとの交渉で試作の機械装甲が反ロシアから譲渡されています、能力値は自由に変えられる政希さんの言う通り反則な1品ですよ」


「表にもまだ口外してもいないので門外不出と言っても過言ではありません……」


すると礼名は急に武器を捨てる。


「……?」


何をするつもりだろうか。


「“攻撃が通らない”ということはこの武器はもう無意味です…… なら私は」


助走をつけて地面を蹴り、生身で相手へと殴り掛かる。


「よせ…… やめろ!」


待て、闇雲に攻撃しても無理だ。これでは一方的に責められるだけじゃないか。


ガチン!


礼名がマダロイドに拳を当てた瞬間に反響音響き渡る。 拳でもダメなようだ。


「スタード…… うぉぉぉぉ!」


俺はXウェポンを出して応戦するが、どれくらい硬いのか身をもって知る。


「なんだこの硬さは」


すると礼名はマダロイドの巨大な拳で――――。


「ぐはっ」


拳は礼名の頬に当たり、礼名は壁へと突き飛ばされる。


「礼名ッ!」


礼名は体が負傷したのにも関わらず、体を震わせながらその場に立つ。


「はぁ……はぁ……」


マダロイド達が礼名の方へ近寄り、礼名をマダロイド複数体で羽交い締めする。


「痛い……」


そしてもう1体のマダロイドは礼名の腹を複数回パンチする。


「礼名! やめろぉぉぉぉぉ!!」


トン……トンと拳で腹を殴る音が鳴る。


ふと思った……。









何故彼女は自分のXウェポンを使わないんだ。


やはり過去の記憶が引き金で力を使えないとかそんな感じだろうか。


このマダロイドは斬撃、射撃は装甲が硬くてまず倒すのは不可能と言ってもいい。


だがどんなに硬くても射撃系のXウェポンはまだ倒せる可能性がある。


実際どの軍等に支給される武器はそんなに能力値は高くない。 俺がスタードで切りかかった時、察しが僅かながらついた。


あれは強力な射撃以外は弾く耐性を持っている。 なので自分の斬撃は一切効かない。


なので俺がまずこのマダロイドを倒すことは無理と思っていいだろう。


しかし礼名はどうだ? 恵美によれば彼女のXウェポンはとんでもない性能を誇る銃のXウェポンらしいが。


ここを突破するには礼名に賭けるしかない…… 彼女の力を。


そのためにも俺は、礼名の閉ざした心を開けるんだ。


「礼名! 聞け!」


「政希……さん……?」


お前はもう俺の…… 俺達の大切な…………。


「礼名、何故お前は自分のXウェポンを使わない?」


「それは、傷つけてしまうからです……人をまた」


やはりそうか、お前を蝕んでいるものそれをようやく掴めた。


だからこそこの俺が救うべきだ、彼女を。


「もう……もう……苦しむな」


「で…………でも」


「大丈夫だ、俺が全部受け止めてやる、何もかも全て」


「…………」


「信じるんだもう1度自分自身を!」


「そうすればお前はやり直せる……だから使え、自分のXウェポンを!」


「政希………………さん」








――――――――その時、一瞬周囲の音がミュート化するように音が消えたように辺りの騒音が止む。











礼名はニヤリと勝利を確信するように笑みの表情を浮かべる。


「?」


「その言葉に嘘偽りないですね?」


「いいですよでも後で後悔しても知りませんよ」


ビシュ――――ンッ!!


一瞬だっただろうか、考える余地もなく気が付いたら時巨大な狙撃が勢いよく周りのマダロイドを一掃していた。


「く……これは?」


黒煙が辺りから上がる、暫くして視野が開くと片手に何かを持っている礼名が姿を現した。


「礼名?」


紺色が掛かった短銃、そのXウェポンの鮮やかな色は正に礼名その物を象ったような武器だった。


「ごめんね、シュナイダー心配かけて…… もう迷わないからまた一緒に戦おう?」


礼名は自分のXウェポンに語りかける、自分の正直な気持ちを。


そうか礼名はもう1度戦う気力を取り戻したのか。


あれが礼名のXウェポン“シュナイダー”って言うのか。火力が驚愕言えるレベルだ。


射程は普通の短銃と同じくらいか。


「政希さん先を急ぎましょう……」


「あぁ……それじゃあ行くか」


と言い先に進もうとしたその時だった。


礼名は立ち止まる。 何か言いたそうに待機しているような状態だった。


「どうしたんだ 礼名?」


「ありがとう政希さん……ただそれが言いたかっただけです」


「お前やればできるじゃねえか…… すごいじゃないか礼名のXウェポンまさかあんな力があるだなんて思いもしなかったぜ」


「いえ……大したことないですよ 私はするべきことをやった……それだけです」


視点を少しそらしながら、汗を出す。


「それでもだ お前はそれほどすごい力の持ち主ってことだよ」


取り敢えず褒める、いやでも本当に彼女の力には度肝抜かれたな。


「……………………」


礼名は急に顔を赤くさせる。 やばいことでも言ったのか? 俺は。


恥ずかしそうに顔を俯かせる。結構礼名って照れ屋さんなんだな。


というかいちいち動作や反応が可愛い。 昔姉ちゃんが言ってたな『女の子は結構照れくさい』とか。


「礼名行くぞ」


「はい…… 待ってください政希さん!」


後先行く俺に慌てて駆け出す礼名、体をぴくりと反応させ体を動かす。


「それと礼名」


「どうされました」


「期待してるよ お前の活躍に」


どんな窮地に屈しても人間は決して光を手放してはいけない。


例え絶望的な場面であろうとなんだろうと。


だから礼名は俺の言葉でもう一度光を掴んだ。


それは彼女としても俺自分自身にとってそれは立派な成長であろう。


礼名お前俺の大切な仲間だ。

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