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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第2章【巡り会いしこの地で】
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【選択の道標その2】

ちょっとエ○要素含むかもです

周囲からサイレン音が鳴る。


そしてアナウンスから処刑人の脱走者が出たという放送が流れる。


私達三人は一刻も早く政希さん達と合流するため、目標地点まで全力疾走でイラク軍の基地中を駆け巡る。


橋本恵美とそのリーダーであるジェニク・エビンに誰にも見つからない道言わいる裏ルートを教えて貰いながらその道を辿る。


それにしてもこんな基地に裏道があっただなんて正直驚いている、恵美によれば元々特殊訓練室として作ったんだとか。けれどもあまり実用性がなくて廃棄部屋になったらしい。


奥の部屋には訓練をしたとみられる古傷も多々あるらしく、真ん中に外の空洞が見える大きな穴が空いている模様。


裏ルートと言っても点検口のような薄暗い道ではない。


「ここですよ」


「ここって言われても道も何もないけれど……何処にあるの? その例の裏ルートっていうのは」


目の前には違和感もなんにもないどこにでもあるような頑丈な壁、この何処に道があるのだろう。


よくアニメや漫画だとここに隠し扉とかあって、ある動作を行うと隠れていた道が現れるとかいう話をよく聞くけど。


「ひと目ではなんの変哲もないただの壁だよな」


「だがこうすると……」


ジェニク・エビンは目の前の壁に手の平をそっとおいた、すると。


ビュ――――ン。


その壁が消え、通路が目の前に現れた。


「これは………………ダミーですか」


「そうだ、むき出しにでもなっていれば見栄えが悪いからな、だからこのダミー扉を設置したんだ」


まあむき出しなってでもいれば確かに目立つ。こんな隠し扉作るぐらいなら、物置部屋にしてもおかしくないくらいの充実した機能だと思うけど。


ふと私達は足を踏み込みその道へと入る。


シューン。


「扉がまた現れた……?」


「自動的に入ったらもう一度現れる仕組みだ……さあ行くぞ」


「………………」


自動ロック……セキュリティは万全と言ったところか。


私は2人の後を追うよう歩く周りに照明がついているので明るい。


「ジェニクさん1つ聞いてもいいですか」


「なんだ……手短にな」


1つ気になることを問いかける。


「あの扉って誰でも開けられるんですか」


「いや、各班のリーダーしかあれは開けられない、それ以外の者がやると無反応だ」


「なるほど、でもなんでそんな厳重にする必要があるんですか? 廃棄部屋なら誰でも入ってもいいと思うんですけど」


すると驚くべきことを私は聞く。


「あそこは単なる訓練する場所だけではなかった、それはそこで兵が無残に殺された場所でもある、使えない兵は使い終わった玩具のように殺す……誰であろうとな、そんな裏の顔があったんだよこの部屋は」


すると例の部屋へと着く。


薄暗く、両端には大量の黒袋が山のように積んである。真ん中には人が抜けられそうなくらいの大きさをした穴が空いている。


あの黒袋には一体何が詰められているのだろう、それと微かに生臭いような臭いがするそう言えば室内にはやたらとハエや蛆虫が多い気がする。


「さあ出るぞ」


「そのジェニクさ…………」


私がその黒袋のことを聞こうとしたら恵美は首を振った。


おおよそ察しがついたかも知れない、あの黒袋の中には……。


蛆虫やハエは腐った者のところによく湧く、ということは。


「東城蒼衣さん……あまり考えない方がいいですよ……()()()()()()()()()入っているのかを」


恵美はそう私に警告するように呟く、……そうかあの袋には。













そして私達は基地の外へと出て、目的地へと向かうのだった。




























「フード被って下さい、なるべく正体がバレないようカバーはしますから」


蒼衣達と別れた俺と柚木礼名は基地の外へと向かっていた。


俺達の進んでいる道は裏道のひとつもないらしく、バレないよう変装するしかないらしい。


そして俺は柚木礼名にさりげなく使い古されたフードを手渡された訳だが。


「少しは信じる気持ちにはなったか」


フードを着ながら柚木礼名に聞く。


「信じた訳ではないですけど、多少は信じることにしましたよ」


「って多少かよ」


「信じて欲しいのなら信用できる誠意のある行動でもしてみてください」


なんか地味に煽られているような気分だがツッコむのはよしておこう。


変装のため、柚木礼名の自室に来た訳だが、狭苦しく“女の子の部屋”とは言いきれない部屋だった。


「さあ行きますよ、時間ないですから」


「今はこの周囲誰もいないのか?」


「マダロイド以外いませんよ…… それがどうかしましたか?」


「ほら」


俺はバッグに閉まってあった服を手渡す、と言っても姉が使っていた制服だがな。


「これは?」


「お前にはその服は似合わない…… だからこれ着ろ」


俺ってばなにやっているんだろう。 世界一危険な彼女相手に堂々と制服を渡すスタイル。渡した自分がとても怖い。


だがこれは俺がこの子に贈れる唯一のプレゼントだ。


「………………」


「いや、嫌なら結構だぞ?」


柚木礼名は俯いた表情で。


「…………仕方ないですね、これでも同罪ですし着てあげますよ」


マジかよ。あっさり断られると思いきや寧ろ逆の返答がかえってきた。 予想外すぎる展開だなこれは。


すると次の瞬間――――――――。


「ってあなたなにやってるんですか」


彼女の驚くべき行動に少し嫉妬してしまう。


「何って……着替えるから服脱いでるだけじゃないですか? 何かおかしいところでもあるんですか」


「おかしいも何も……あぁもう! 俺後ろ向いておくからな」


「おかしな人ですね」


いやそれはこっちのセリフだよ。まさかこの子知らないのか、異性いる相手前で着替えちゃいけないってこと。 日本でやったらこれ大問題だぞ。 蒼衣が見たらなんて言うか。


まあ見ていないならまだセーフだ。まぁ1回はチラ見してしまったけど。


「異性前で着替えたらまずい感じですか? すみませんこういうの知らなくて」


「そ、そうだよ…… じゃなかったら後ろ向かねよえよ!」


「……………………」


なんか言いすぎたか。 沈黙状態になってしまったが。


「ごめんな……柚木」


「だからさっき言ったじゃないですか “信じて欲しいのなら信用できる誠意のある行動でもしてみてください”って」


いや単に呼ばれたいだけなんじゃ…… まあいいか。


「礼名」


背中を付け合いながら俺は初めて彼女の下の名前を呼ぶ…… なんだこのシチュエーションは。


というか俺はこんな趣味ないからな。 うん天地神明に誓ってな。


にしても時間が迫っているとは言えども気まずいなこの空気は。


早く着替えてくれないと俺の頭が溶いた卵のように破裂してしまう!


「天堂政希……いえ……ふふ政希さん あなたって面白いですね」


「そ……そうか……というか今初めて聞いたぞ お前の笑い声」


バカにしてる笑い方なのか本当に面白くて笑っているのかわからないが……だがこうして見ると礼名も案外可愛く見えてきた。


俺は誤解してたかも知れない、礼名は心がなくなった訳では無いんだ……。この子だってちゃんと笑えるじゃないか、そこだけは本当女の子らしい所だと俺は思う。


「聞いてください、私いつまた上の命令であなたを撃つよう言われるかわからない……その時は」


「その時は遠慮なしで俺を撃てよ それが本当にお前の望むことならな」


「………………」


「この前も言っただろ“自分に嘘つくな”って」


俺はいつでも覚悟できているんだよ、それがどんな形だろうとな。 お前を救えるのなら俺は手段も選ばない。


それでお前の笑顔を取り戻せるなら俺は…………。


「なら………… 私はその内答えを出しますよ……さあ着替え終わりましたよ……行きましょう政希さん」


その内か…… その内がいつになるのかは分からないが俺は気長に待つ。


礼名が立ち上がるのと同時に俺も立ち上がる。


「さあ行くか…… ほうよく似合っているじゃないか、やっぱりおれの予想通りそっちの方がお前には似合うぜ」


「え……」


礼名は顔を赤くさせながら涙を少し流し、手を髪に当てる。 照れているのか。


「ありがとうございます」


やっぱり――――――――。
















柚木礼名は本当はとても優しくて良い子だ。



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