【最強の弾丸はどんな速いものも射抜く】
目的地周辺、日は沈みそうな様子で辺り一面が真っ赤に染まる。
そびえ立つイラクの大規模な軍事基地は全てここに配属する者がイラクという国を管理しているらしい。
今私達の周りには、イラクの軍より配備されたコンテナハウスが沢山立ち並んでいた。
私が見知らぬここにする住民1人に話を聞くと、治安はとても悪く、食べ物もろくに食べさせて貰ってないみたいだ。彼らの食事はというと。
「今なんて言ったんですか?」
「だからね、私達は食べ物の代わりに軍の人達が残した廃棄物、汚物、腐った食べ物……それが私達の唯一の食料さ……」
「何って…… それが食べ物って言うんですか!? 何かやろうとは思わないんですか」
無意識に拳に力が入る。その食べている物を聞いて笑うことさえできなかった。
自分で考えれば考えるほど悩ましい話。 力を貸してあげようとしようとするも、なにも思いつかなかった……いやこれはできなかったと言うべきか。
ただ心の底に芽生えたのはイラク軍への憎悪ただそれだけであった。
だが頭からそのことを抜こうとしても体から一向に力が抜けなかった。
すると政希さんが。
私に肩に優しく手を乗せた、そして小さな声で
「行こうか……蒼衣」
ただその一言だった。
私には政希さんが何を言おうとしたのか、それがなんとなくわかった。
ここに私達がやれることはひとつもない、そういう感じが伝わったきた。
しばらく歩きすると急に凄い速度の弾丸が飛んできた、途端に気づけた私は政希さんを倒すように地面に倒れ込む。
ビシュ――――――――ン!!
その音は地面の草をも勢いよく抜けるぐらいの威力だった。
「なんだ……今の攻撃は」
私達は起き上がり後ろを見た……すると。
「あそこに誰か2人いるな……ちょっといってみ……蒼衣?」
私は拒んだ。その2人の影が如何に危険だと察したからだ。
「…………」
スネイルの目撃情報を思い出す。
(もしかして……あの2人はスネイルが言っていた……)
「出てきなさい、そこにいるのはわかってる」
すると私達の前へと2人は出てきた。
スネイルが言っていた通り2人ともサイドテールの女性で私達とそんなに年は変わらない年代に見えた。迷彩柄の軍服姿を着て…………。
すると朱色の方の女性が口を開く。
「今のは………………単なる………………挨拶代わりです」
寡黙な性格でかつ敬語を使う性格らしいが、どうやらさっきの攻撃は単なる挨拶代わりだったらしい。
「あなた達の…………事は…………聞いている 不法侵入者は排除します…………」
「不法侵入者……だと」
「どういうこと?」
「悪いですけど、あなた達の後は着けさせて貰いました」
………… どういうこと……着けさせて貰った?
ひょっとして、さっきのイラクの住民の中に紛れ混んで着けていたってこと?…………。
「俺達をどうするつもりだ、俺達はお前らの基地を見学したいんだが…………」
「………………」
彼女は怪しむよう私達を見つめた。
「俺達を案内人……」
カチャッ…………。
2人は量産型の銃を構え重厚を政希さんに向けた。生憎政希さんが思っているように彼女2人は優しくないようだ。
目線を見る限りふざけているようだったら容赦なく撃つ……そんな殺気に満ち溢れた表情をしていた。
「これは………………上からの命令ですから………………あなた達を捕らえるよう………………言われているんで」
「じゃあ、もしも断って退散するって言ったらどうする」
「それは信用なりませんね…………大体敵の悪い癖は嘘をついてそのまま目的を果たしに行く…………そんなことばっかりいいますから」
「あははは……困ったな、信用されてないなこれは」
「こんな時にふざけないでください、政希さん」
「悪い、悪い……今のはノーカンな」
彼女は手馴れた構えでわたしに銃口を向ける。
「東城蒼衣……情報によればあなたは…………最速の殺人者らしいですが…………私の敵ではありませんね」
「舐められたものね、年下にこんなに見下されるなんて」
「当然です、私の弾で射抜けないものはない……とっとと捕まえて、牢に入れてあげますよ」
この子、やっぱり喋るのは不得意そうだけど、自分の実践スキルには十分自信がありそう、1回でも気を抜いてしまったら殺される確率は大だ。
慎重に攻撃しなければ。
「あなた名前は?」
「あなたに名乗る者じゃないですよ」
「年上の事はちゃんと聞くって習わなかったの?」
彼女はなにも答えなかった。聞く気は……ないか。
いい度胸ね。これは久々にいい勝負ができそうね。
生死その前に私は彼女の実力が知りたい。隣に立っている子も気になるけど。
「いいわ、ここは1対1でいかない? 相手は当然あなたで」
「構いませんよ、でも…………精々死なないことを祈ることですね…………………………エミ…………下がってて」
すると後ろの子は無言で後ろへ下がった。
「政希さん」
「ああ…………分かったよ」
政希さんは分かっているように後ろへと下がった。
そして私は彼女に攻撃を仕掛け、1対1の一騎打ちとなるのだった。