【敵の行方を探し出せその2】
遅くなってすみません。
なんとか書け終えることができました。
次も見てもらえると嬉しいです。
~天堂政希の体に毒がまわるまであと20分~
強力な毒のXウェポン『レッド・スコーピオン』の使い手スネイル、彼の猛攻に私は為す術もない。
大量に分裂するレッド・スコーピオンの前ではいくらストライクが速く切ろうともレッド・スコーピオンは増える一方だ。
何も打つ手……ないの?
と心の奥でそう思いつつ顔からポタリと、汗が下へと落ちる。
「さあどうした、助けるんじゃなかったのか?」
「く……ッ」
切っても切っても増える。 冷静に精神を補いたいところではあるが、政希さんの毒のこともあり、そうもやっていられないのだ。
ただ冷静さを失えば失うほど、時間もそれにつられるように過ぎていく。
……ササ……ッ ササ……。
「……ッ!」
ブシリッ!
私の背後から襲いかかってきたレッド・スコーピオンの1体を1秒の隙をも与えずに、勢いよく叩き切る。
一刀両断したレッド・スコーピオンの生臭い液体と体が新しいレッド・スコーピオンとなって再生する。
しかもその再生は一瞬という極わずかな時間だ。 仮に私が数を10まで数えようとしてもヤツはすぐ再生するであろう。
そうなれば1度でも気を許せば、尖った尻尾の部分を体に刺され死に至る。
そんな隙も見えない相手にどう太刀打ちすればいいのだろうか。
シュッシュ……と私の体をレッド・スコーピオンの群れが鉄砲玉のように尻尾を突き出して攻撃する。
迂闊に近づけば確実に死ぬ……。
そう察した私は一旦、地面を思いっきり蹴って、距離をとる。
……。
……。
私はちょっと下がったところにあった大きな瓦礫の裏に身を潜めた。
Xウェポンは、殺人者同士の距離がある程度縮まってくると、Xエナジーを感知しづらくなり、敵殺人者の明確な位置が把握できなくなる。
当然相手が動かない限りは移動範囲も限りがある。
時間内までに相手の弱点を見抜かなくては。
地面……、距離が縮まりでもすれば、一斉攻撃を仕掛けられ即死する危険性大だ。地面の中には1つも弱点らしき手がかりは見つからない。
ストライクの能力を使ってスネイルに向かって切り込むのも1つの手ではある、だが――――――――。
政希さんの言葉を思い出す。
緊急時以外は能力を使うなと。
……。
……。
……。
今は使うべきではない、何か他に打つ手があるはずだ。
思い出せ、思い出すんだ、何かヤツの攻撃に手がかりは。
そういえば。
レッド・スコーピオンは一体単体では攻撃して来なかった。
そして不自然な点がもう1つ、どうしてレッド・スコーピオンの群れはバラけて1体1体ずつ私に攻撃してこない。
必ず群れとなって、その群れの中から1体出て来て攻撃する。 場合によってはその群れから2体……複数体と。
攻撃後は必ずその群れに帰る…………妙だ。
全てバラけて一斉攻撃はできないのか…………?
バラける、攻撃……。
……。
……。
……。待って、仮にXウェポンそのものが“Xウェポン”を捜査していたとしたら………………?
スネイルが現れた気が怪しい。
もしかして、あのレッド・スコーピオンは全部偽物か?
最初から本物はあの群れにはいない可能性がある。
だとしたらどこだ、どこかに……本体のレッド・スコーピオンがいる?
木……あのスネイルがいる木……もうちょっと拡大してみてみよう。
マダラー・スコープを起動させ、スネイルのいるあの木を拡大させよく見た。 すると木に蠢く影が。
「見つけた、レッド・スコーピオンの謎をッ!」
「隠れてないでいい加減姿みせたらどうだ」
「言われなくても、攻撃する準備はもうとっくにできている」
私は姿を見せスネイルの方へと突っ走って切りかかる……! 全力疾走で。
「血迷ったか……何度切っても同じことだ、お前に勝機なんぞない」
「ていッ!」
「何ィ!?」
私は群れとなっているレッド・スコーピオンに切りかかるそう見せ掛けて木に向かってストライクをある物に突き刺す!
グヂュ……
何かに刺した感覚がした。私はそのある物の身動きが失うように念入りストライクを身をほじくるようにグイグイと回す。
すると木の葉から生臭く色じみした黄色い液体が垂れてきた。
私は勝利を確信するようにふっ……と鼻で笑う。
「ぐっ!」
同時にスネイルの腕の皮膚が切り裂かれ、血がゆっくりと落ちていった。痛みを抑える為か彼は片方の手のひらで傷口を抑える。
「やはりそうでしたか」と私はそう言いながら何かを串刺しにしたストライクをゆっくりと引き抜き、それをスネイルに突き付けた。
「……さっきまでのレッド・スコーピオンはどれも弱点がない無敵のXウェポンかと私は思っていた……けどそれは違った」
「今さっき突き刺したコイツはさっきまでのものとは違う感覚があった 歯応えのあるいい感じを」
「何故わかった?」
その私のストライクが今突き刺しているもの……それは。
レッド・スコーピオン本体だったのだ。
「このレッド・スコーピオンは最初政希さんに攻撃したレッド・スコーピオンではない」
「私はさっきから……いや最初倒した一匹のレッド・スコーピオンはこのレッド・スコーピオンの作った無敵の増える分身、けどそれは本体だけしかその能力は備わっていない」
そしてそれを聞いていた政希さんは意識を朦朧させながら口を開く。
「そ……それは……どういうことなんだ」
「最初の一匹はただの囮で、スネイルはそれを相手に本体だと信じこませていたんです」
「なに?」
「本体は私が今いる真上の木の上にいたんです」
木の上で本体は待機していた、そしてこの本体が作り出した分身こそ、私がさっきまで戦っていた無敵の分身だ。
そいつは倒しても倒しても分身を無限に繰り返していたという事だ。
だがその本体が攻撃受ければ、機能は停止、そして分身は消える。
「分身が……あんなにいた群れが一気に消滅した?」
「そして引っかかる部分が1つ、何故レッド・スコーピオンはバラけて私に攻撃してこなかったのか、それは一度に操作はできないということ、遠隔機器みたいな感じです」
早い話がラジコンと似たような原理だ。“1台動かせても同じ物は同時に2台も動かせない”ということ。
よく考えよく観ればわかる話だったのだ。“敵の群れの動き方が不自然だった”それだけの理由に。
「あ……甘く見ていたようだな私は……だが残念だったな、このままでは私はここで数分持たず死ぬぞ」
「安心して、死なない程度に攻撃したくらいだから命に別条はないですよ……それにあなたの体ならすぐ再生しますよね、蜴ですから」
「ふっ……優しいようで優しくないようなやつだな……君は……ほらよ」
ポンッ
布袋を私に投げ渡す。
「もうちょっと優しく投げてくださいよ」
「どっちでもいいだろ、それより早くあげないとあの兄ちゃんやヴいんじゃあないか?」
そして私は毒を消す薬を政希さんに飲ませた。
「さっきはよくもやってくれたな」
「すまなかったって……」
怯え怯えでスネイルは答える。さっきの態度とは真反対の態度だ。
「それでお前は反ロシアのグルかなにかか?」
「ざんんんんねぇええん!! 俺は部外者だ」
「ならなんで攻撃仕掛けたんだよ」
スネイルも半分性格がわからない人だ。なんだろう、表裏常に入れ替わっているというか、なんというか……。
というか超生物達はどれもこんな性格しているのだろうか。
正直私は頭が困惑状態だ。
スネイルは咳払いをして理由を述べる。
「私は単に君達を試した、『信頼』その心があるかを」
「そして気づいた、私は……君達2人は『絆』を持っていることを」
「つまりお前は単に“試しに戦ってみた”ってそんな感じに襲ってきたってことなのかよ」
「間違ってるようで、間違っていないような回答だよ、それは」
「けど君達を見ていたら人間への信頼が僅かに芽生えた、感謝する」
信頼の敬意を込めてスネイルは手を差し出す。 政希さんはその手を握り握手した。
「なんか知らねえけどお前変わってるな、今度他のヤツらにそんなことするじゃねえぞ」
「わかったわかったって……」
「それじゃあな」
そういい、立ち去ろうとしたその時。
「おっとそうだ」
スネイルが口を開くと、政希さんが足を止めた。
「今度はなんだ?」
「反ロシアか、なにかはわからないがそんな子が私の前に現れたな」
「なに…………?」
「丁度君……ええと」
私に指を指す。
「東城蒼衣です」
「そうだ、東城蒼衣君よりちょっと背が低いくらいの子が来たんだ」
「どんな人なんですか?」
「2人いたな、2人とも日本人って顔してたな」
「1人は紫髪でミディアムヘアをしたサイドテール子、もう1人は紺色髪ボブっ子で赤いジト目をしたサイドテールの可愛い女の子だったな」
「そのボブっ子が私に勝負を仕掛けてきたんだがな……」
「仕留めたんですか」
「生憎逆だ、やられた……」
「なに?」
「武器は量産型の銃のXウェポンを使っていたんだが狙いは正確だった、当たりもしない距離に私はいたんだがレッド・スコーピオンの本体がやられてよ」
「そしてその紺色少女は無表情でこういった、『私の正確性は機械よりも性格です』ってそう言いながら去っていったんだ、なんの目的で来たかは知らんが間違いないあれはバケモノ……だ」
聞いた情報でまとめるとスネイルを倒したのは狙撃手系のXウェポンと伺える。
私達と同じ年代だろうか、でも気になるあのスネイルが足も出ない相手だなんて……その相手は一体何者だろうか。
「……………………」
ふと私は振り返る。
「おい、どうした蒼衣行くぞ」
「すみません行きましょうか」
気にはしたが政希さんの声につられ、視点を前に戻す。
しかし私は気づくのがこの時遅かったのだ、遠くで誰かが私を……私達を見ていることに――――――――。
見て頂きありがとうございます。
次回新キャラ2人登場予定です!!
絵も近々上げる予定なのでよろしくお願いします。