【敵の行方を探し出せ】
イラクへ向かい出した私達。ロシアの電車便にイラク地帯近くまでの物があったためそれに乗り込み、今丁度終点の駅で降りたところだ。
眩しい日差し。手のひらを顔の上に乗せても眩しい。
駅の周りには人が大勢いた。渋滞といった状況か。
まあ日本以外の大陸には、人間以外にも様々な人型をした西武もいる。言わいるモンスターである。
だが彼らは普通に私達と会話もできるし、コミュニケーションだって取れる人間同等の存在なのだ。
私達人間は彼らを超生物(進化した生物・動物等)と呼んでいる、彼らの体にあるエネルギーは私達殺人者が持っているXエナジーのルーツとも呼ばれている存在である。無論そうなればXウェポンも例外ではない。
聞けば彼らのエネルギーが基準となって、Xエナジーが人間に宿り、そしてXウェポンが生まれ、人間達には能力が宿ったんだとか。
色々な仮説はあるが未だに明確な真実は解明されていない。因みに超生物達は、能力を持っている者と持っていない者の2種類に分別されており、これは素となった生物で別れるらしい。
「おい蒼衣?」
「…………政希さん、すみません」
「こんな暑苦しいところ焼肉になる前に早く出ようぜ」
「わかりましたって……焼肉になっても美味しくないと思いますよ?」
「細かいことはいいんだよ、いいから出るぞ」
相当辛そうだし、ここは素直に政希さんの指示に従って駅から出よう。
そして私達は駅から出て少し歩いて、遂にイラクの国に足を踏み入れた。
砂漠地帯とは馴染めない場所である。足を踏む度に体が底へ沈みそうなイメージがしてとても怖い。
なんというか周りには何もないしただ私の目に映るのは、砂漠の景色のみである。
「いいか、蒼衣ここが目的地だ、この周辺に来たら屋根を経由して建物に侵入する……いいな」
「了解です」
地図を見ながら政希さんの作戦指示を聞く、私の能力を使えばいいのだが、そうも行かない。なぜなら砂が勢いよく舞い上がり、敵にすぐバレる危険性があるからだ。
そこを懸念すると普通に歩いた方がいい。
「目的地まであといくつですか……」
「そうだな、今いる所をこのまま直進していけば見えてくるはずだ……5キロぐらいか」
「5キロですか……」
「あと蒼衣、だからといって脳力は使うなよ、敵に見つかる危険性があるからな」
「分かってますって」
手のひらをみせて政希さんに対して私は答える。
それにしても、今から乗り込む所はどんな場所だろうか。考えれば考えるほどに、思い悩まされる。
目的地まであと4.5キロ――――――。
「………………ッ!」
私は踏みしめていた足を止めた。
「どうしたんだ蒼衣?」
「注意して下さい、何者かの気配を感じます」
感じる限りでは1人と言ったところか、そんなに大きなXエナジーは感じない。
「何者って気にしすぎだろ、何者って言ってもな……」
政希さんが喋っていると、何かが政希さんの背後にやってきた。
「…………? コイツは」
状況が飲み込めず後ろにいた蛇を政希さんは見下ろした。
「蛇ですよね、ですがちょっと待ってください……なんか妙です」
慌てて近づいて、調べた。すると、徐々に体が粘土のように変わって行き、赤いサソリとなった。
そして次の瞬間、サソリの尻尾の部分から光線が放たれた。
ビシューンッ!!
「うがっ!?」
避ける余地も与えず、その放たれた光は政希さんの肩口をも貫通した。
「なんだよ、コイツは!?」
「政希さんッ」
政希さんは踏ん張って耐えきったが、体を震わせながら辛く苦しい表情をしていた。
今の攻撃は一体…………。
すると、サソリは左端にある木に身を潜めた。
あの木は……何?
そしてその木から1人のトカゲの超生物が出てきた。
「人間の殺人者か…… 警戒しないからそんな目にあうんだ」
「あなたは?」
そのトカゲの超生物は、親指を自分の顔に当てがって名乗る。
「俺の名はスネイル さっきそのあんちゃんを襲ったのはこの俺のXウェポン『レッド・スコーピオン』だ」
「何!?」
「教えてやろう、そのレッド・スコーピオンはッ!」
レッド・スコーピオンはもの凄いで私に襲いかかってきた。
「ストライクッ」
グサッ。
間一髪に襲いかかってきたレッド・スコーピオンを仕留めた……かに思えた。
「ソイツは蛇に化けることもできる、まぁそんなの大したことはないと思うだろ……だがサソリ体であるソイツの尻尾から放たれる光には強い毒性が含まれているんだよッ」
「もしかして、さっきのは……それ?」
「いかにもだ、だがその毒は完全にまわるまで30分はまわる さあどうするかな」
「でもさっきあなたのXウェポンは私が切った」
「あぁ確かに……切った……いや切ってくれたと言った方がいいか」
どういうことだ。切ってくれた? …………。
確かに切ったはずだ、でもスネイルは平然と立っていられている。どうして。
普通なら立つことすら難しいはず、出血だって耐えないのに。
念の為私は下を見下ろした。
「…………? 二つに分裂している!?」
「言い忘れていた、そのサソリは切っても切っても分裂するんだよ」
分裂……だからか、だから切ったのに平然でいられるわけだ。
30分か、その時間までに何か倒す策をみつけないと。
「あといいこと教えてやる、その毒は今の医学だと治せない、つまり病院行っても無駄足だ」
「…………」
「蒼衣…………」
「ではどうやってその毒を治すのか、その方法はただ1つこれだ」
スネイルは大きな布袋を取り出した。
「この中にその毒を治す薬が入っている」
「ならその薬下さい」
「ただじゃやれんな、信用できない人間なんぞに」
分かってはいたがタダで渡す気はこれぽっちもない模様。
するとスネイルは1つ持ち掛けをしてきた。
「ここは1つ、勝負しよう」
レッド・スコーピオンは多重に分裂した。足元が埋まりそうな数だ。
「その中から本物を見つけて仕留めてみせろ」
「何!? ふざけないで……」
「そのあんちゃんを助けたいんだろ、それともこのまま見殺しにして先を急ぐ気か?」
「くっ」
どうやらここはこの東城蒼衣の最大の壁らしい。
「さあどうするんだよ」
ダメダメな政希さんは私にとって迷惑でどうしようもない先輩。だけど。
そんな先輩だけど、心優しい一面がある。 そういう人をここで投げ出すだなんてこの私が断じて許さない……そのこの私のプライドにかけて。
「この私がすることはただ一つ、それは人を無差別に襲い、死においやるものをこの力を使って切り裂くことッ!」
「そんななんの根拠も無く襲う者が人間だろうが、超生物……種族なんて一切関係ないッ」
「ほう……」
「受けて立つ その勝負…… そしてあなたのその忌々しい心をこの私が切り裂きます」
「決まったようだな、ならそのみせてもらおうじゃないか、君の力を」
政希さん……。 待っていてください、私が必ずあなたを死のそこから連れ出してみせますから。