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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第1章【動き出す運命】
18/139

【これからのこと】

――――――。


あれからどれぐらい時間がたったのだろう。


ようやく気が付く。


私はたしか、アリスタルフと戦っていて……それから彼を逃がしてしまった直後に意識が途切れて……それから記憶が一切ない。


「………………」


ゆっくりと閉じた目を開ける。


寝起きなので多少、眠気がした。


それにしてもさっきから、頭部辺りが妙に重い。


一言で表せば、大きな岩を枕代わりにして寝てるような感覚。


……なんだろう、この重みは。


「…………」


目が開き、辺りを見渡し状況を把握しようとした。


「……ここは?」


「お……気が付いたか」


私のすぐ隣から声がした。


首を横に向ける。


「あ……政希さん」


「おう……おはよう」


政希さんだった。そして下を見下ろすと私は政希さんの膝で寝そべっていた。


「おはようございます……って政希さん何やってるんですか?」


「何はないだろ何は……」


「急にお前が倒れ込んだから俺の膝にお前を寝させて、それからずっと起きるの待ってたんだぞ?」


どうやら気絶した私を膝で寝させてもらっていたようだ。


そうすると、さっきの重りは、恐らく政希さんの膝だろう。


何分寝ていたのかは分からないけど、少なくとも、昼はもう過ぎている。そのように思えた。


空を仰ぐと“青い空”が見え、白い雲が浮かんでいた。


「政希さん…… 今何時です?」


「人に聞くより、自分の目で確かめた方が早いと思うぞ」


いや、どっちでもいいじゃない。そんなこと、時間を確認するだけで1分もかからない話なのに……なんで言ってくれないんだろう……この人は。


「それじゃ……マダラースコープ……スイッチ……オン……っと」


マダラースコープの電源を入れる。


「…………」


「…………」


「…………」


時刻は、もう13時を回っていた。


うん? となると……。


確か私がさっきマダラースコープを立ち上げた時の時間じゃ5時ぐらいになっていた気がする。


つまり……え? 6時間!? 私……気絶してから6時間も寝ていたの…………? 信じられない。


自分で6時間寝たという実感が持てず、少し驚愕した。


「随分と長いお休みでしたね……お姫様」


政希さんは突然敬語で呆れたような顔でそう言ってきた。


「はぁ……」


まるで疲労が溜まりに溜まったみたいな表情をしていた。


「ずっと見ていてくれたんですか?」


「当然だ 一応もう仲間だしな」


「“一応”ってそれどういう意味ですか~??」


半分キレみの状態になった。まぁそこまで(おこ)りはしていないけど。


「待て待て! 冗談だって!」


政希さんは両手を左右に振りながら“違う違う”と主張する。


「嘘ですよ、別に殺しはしませんから」


「それを聞いてとりあえず一安心だ」


「まぁ、お前がそんなことするヤツじゃないってことは俺がよく知っているから」


「分かりきったことを…… 会って早々そんなことよく言えますね」


「悪いか?」


「別に……お好きにどうぞ」


何を言い出すのかと思えば知ったかぶったようなことを言い方を。


でも私にはなんとなくわかる。政希さんの言っていることが。


そこが政希さんのいい所でもあるけれど。


「それでさ、1ついいか蒼衣?」


「……? なんですか?」


「いつまで俺の膝で寝てるんだ?」


「あ…………」


途端に状況を理解した私は、その場で立ち、政希さんから離れた。


だがこんな情けを晒した格好を上の人に晒してしまうなんて……なんという失態だ。正直とても恥ずかしい。


私としたことが、無意識の内に体を起こすのをすっかり忘れていた。


そして――――――――――――。


「ま、政希さんの……バカ――――――ッ!!」











それから1時間後――――――。


私達は建物から出て、建物の外で話しをすることにした。


「政希さん……政希さんはあの“アリスタルフ”のことどこまで知っているのですか?」


とりあえずさっき戦ったアリスタルフ・モシリストのことをもう1度聞くことにした。


彼は一体何者なのか? そしてなんのために動いているのかを……。


「知ってるも何もアイツはさっきも言った通り俺のかつての仲間の“(あだ)”だ」


「そして今のアイツは反ロシアの主導者らしい」


「何の為に動いているんですか?」


「分からない……ただ」


「ただ……?」


「さっきアイツがいた部屋に妙なものを見つけたんだ」


「妙な……物?」


“妙な物”? それって一体…………。


「これが……これがその1つの手がかりだ」


政希さんは1枚の紙を服のポケットから取り出す。


A4サイズのどこにでもありそうなコピー用紙だ。


その紙にアリスタルフ及び反ロシアの手がかりとなるものが書いてあるのだろうか。


仮にそこに書いてあることがこれからの反ロシアの動きに関することが書いてあるのなら、手段はただ一つ。


徹底的に目の前の敵を叩く……それだけだ。


「蒼衣……これを読むからには、お前に“覚悟”を決めて貰わないといけない」


「どうして?」


「“覚悟”を決めないとどうしても見せられないものなんだ」


「…………」


「それぐらい重要な手がかりなんだよ……これは」


「“戦う”という意思の“覚悟”を決めろ……」


息を呑む。そして何故だろう、さっきから胸騒ぎがする。


…………。


…………。


だけど、“覚悟”を決めないと、先へは進めない。きっと。


これは……これはきっと私の“運命の選択”だ。


「決めました……」


「…………」


「…………そうか、なら答えを聞かせて貰おうか お前の覚悟を」


「私はどんな運命がこれから先私達を待ち受けていたとしても、私は戦う……例えその相手がどんな大敵であっても!」


言った。自分の正直な決意を…………。


「よく言った、蒼衣その強い意思があるのならこれをお前に見せよう……そうこれが……」


政希さんはその紙を私に見せた。そこに書いてあった内容とは――――――――――。


「これだ」


政希さんはゆっくりと紙を見せる。


「………………!」


正直疑った。そこに書いてある内容に関して。


ありえない、そんなこと。


それが本当なら、世界はきっと大変なことになる。


きっと死者が絶えないだろう。それが表舞台に顔を出せば――――――。


「う…………そでしょ? そんなことって」


書いてある文を見て私は目を凝らす。


「メタラリアのオリジナルデータ!?」


「見ての通りメタラリアのオリジナルデータだ」


「と言ってもだ、これには一部のデータしか書かれていない」


メタラリア……学校で少し習ったことがある。


人類が最初に作ったと言われている、人工製造Xウェポン。


かつてロシアが開発した最強の武器で、撃った弾は狙いを定めた敵を仕留めるまで追い続けていたというXウェポンだ。


その脅威敵な強さから日本では“死の弾丸”とも呼ばれていた。


だが、戦いの中、そのメタラリアの設計図は完全に処分されたらしく、未だにメタラリアそのものを再現するのは不可能である。


そんなデータが書いてある紙がなぜこんなところに。


なら、アリスタルフはさっきそこで何を探していたのだろうか。


「なぜ、こんなものがここに……?」


「ここはかつてロシアが作ったメタラリアを再現させる為作られた建物だと思う」


「その説が正しければ、この建物で大量のメタラリアが作られる予定だった……そう捉えることができる」


「だが、このデータだと本来の半分の威力しか再現されていないみたいだ」


「よくパッと見でわかりましたね」


「慣れだよ……慣れ」


「そして、なぜアリスタルフはここへ来たのか……」


1番引っかかるのはやはりそこだ。


彼はなぜそこへ訪れたのか……その目的は――――――。


「蒼衣……」


「はい……」


「相手は完全なメタラリアを作ろうとしてる そうなったらどうなると思う?」


「…………」


言葉が出てこらず沈黙してしまう。


「きっと真っ黒な戦乱の世の中に変わってしまうだろう……そうならない為にも……お前の力を貸して欲しい」


「政希さんは何が欲しいんですか?」


私が聞くと政希さんは即座に答えた。


「仲間……仲間が欲しい」


「…………」


「野望を食い止める為にはそれぐらい人手(ひとで)がいる」


ならすることは1つじゃないか。


私は彼の手助けになればいい。


「なら、政希さん探しましょう 世界を救う仲間を」


「あぁ よろしく頼むよ」


「こちらこそ」


お互いに手を取り合いそして誓う。いつか心強い仲間を集めて反ロシアの野望を阻止すると……。


これから何が起こるか分からない。 それでもこれからのことは少しずつ考えればいい。


そうすれば、いつかきっと誰よりも強くなれる、そんな気がした。


――――――――――――。


それから私達はなんとか、午後の帰りの便に乗って私達の故郷新東京都へと帰って行った。


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