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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第5章 反ロシア禁制地帯を調査せよ
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【深淵に潜む強敵 その1】

 死闘を終え歩みを進める。

 途中合間で立ち寄る街を見かけては、反ロシアの出所を仲間と共に調査した。

 だがいくつの街もどれも荒廃してばかりでそれは滅ぼされた跡のように見えた。

 崩れ落ちた民家からは醜悪な臭いと惨殺された人の死体。中には子供の死体も少なくない。


「どうしてこんなことを」

「……疎外の対象だったのでしょう。彼らにとって人という存在は邪魔でしかないそう考えた方がよさそうです」


 ぐっと感情を堪え政希さんの指示に従い街を探索する。


「礼名何か分かったか?」

「…………反応あり。荒らされた痕跡から何物かの破片が。マダロイドの破片ですかねこれは」


 スコープで反応のあった場所を拡大し破片を分析した。……型番を調べたところが中破したマダロイドだということが判明した。

 Rから成る型番。明らかに反ロシアの機体の型番だ。……読み取ると彼らの機体ということも判定。やはり占領かなにかのためにここを襲ったのか。


「美咲なんか分かった?」

「……あ、うん。ここから西側に拠点があるみたいね。機体のデータを分析したらそんな情報が出てきた」


 どうやら美咲も分析がおわったみたい。


「西か。みんな先ほどの戦いで疲れてはいないか? なんならここで休んでいっても」

「あいえ、結構です。どうもみなさんこの場所を好かないみたいなので」


 前に立つ政希さんの袖を恵美が引っ張り拒否を示した。

 こちらの方を振り向いて彼は聞き返す。


「そうなのか?」

「はい。だって気味悪いじゃないですかここ。……それに反ロシアの進攻した場所にいつまでも留まっていたらこちらの動きが悟られてしまうかもしれませんよ」


 発信器のような物がばらまかれているかも知れない。

 いくら素早い動きができる私の力でもそれを感知するのは非常に難しい。スコープでも中距離が限度。広範囲に察知することは難しいので素で探すのはとても苦行である。

 ならいっそ離れて西の方に行き探索した方が効果的だろう。


「よし、じゃあみんなその基地がある場所まで向かうぞ」


 街を出て西の方に。

 狙い通りそこは物騒で大きな基地が砂場から現れた。

 が、そこは無人の基地だったようで外から内部まで、マダロイドの群集がひしめいていた。これは囮だろうか。


「ストライク・ブレイクッ!」


 一塊、最後の機体による群れを一撃で葬り基地ごと破壊する。

 戦いの最中、礼名は次の基地の位置の情報を突き止めて彼女の位置情報を頼りに、先へと進む。


 3つ目。

 反ロシアの兵と見られる偵察員等と交戦。

 並レベル殺人者だが周囲にある装置を駆使し私達の足を止めてくる。


「く、しまった」

「へ! ざまぁみろ。力が強ければいいというわけではない」


 拳銃を私の方に近づけて引き金を引こうとし。

 ……ゼロ距離。これぐらいの距離なら微量だけだが出せる。

 内側に隠しておいたストライクを敵の後頭部――急所目がけて投げる。


「なに!? 速いッ! ぐあぁ」


 額の方へと直撃し血痕が噴射すると、呪縛から解き放たれた。

 間一髪。射程がもう少し長かったら危なかったかも知れない。


「……蒼衣さん、ここも外れみたいです。……ですが調べたら今度は北の方にこのエリア全般を牛耳る本拠地があるみたいです」

「ありがとう礼名。早くこれを政希さんに」


 共に駆け出して遠くで交戦中の政希さんの方へと向かった。

 ちょうど敵を倒したタイミングで、私達2人が出る間もない状況であった。

 礼名からもらった情報を政希さんに言うと。


「随分と遠回りさせられた気分だったが、要約大元にたどり着けるってことか。……でも総理の情報によると反ロシアの上の座位についている幹部が1人か2人いるとかいないとかって。……不確定な情報だが、くれぐれもみんな油断しないようにな」


 みんなと相槌をするように頷くと、その目的の根幹である大基地のある北側へと移動する。

 と。

 移動途中でなにやら黒い物陰が見えた。


「? どうした蒼衣そんな深刻そうな顔をして」

「いえ、ほらあそこ。なんか黒い物体が見えません?」

「……本当だ。なんか宙に」


 一同に私の指さす方向を見つめていると、その黒い物体は姿を消した。


「なんだったんだ今のは」

「……分かりません。誰かのXウェポンかも知れませんし、単なる偵察機やマダロイドという可能性も」

「でも礼名ちゃん、Xエナジーの反応はなかったわよ?」

「……それですよ美咲さん。なぜ消えたのかなぜこちら側に反応がないのか。……スコープの感知する射程には十分届いているはずなのにこの矛盾は一体」


 一同にその謎の物体がなんだったのか考える私達。

 武器ならそこまで遠くには飛ばせないはず。……もしそこに武器があるとしたら近くには持ち主の殺人者が必ずいるはず。……でもそんな影はどこにも……どこにも。


「そろそろ着くぞ大基地だ」


 大きな巨大な基地へと着く。

 ここが反ロシアの幹部が住まう根城なのか。

 小規模な基地にしか過ぎないがなんだここは。

 静寂としており、敵1人すら姿を見せない。


 すると閉まっていた自動ドアが勝手に左右に開いた。

 これは誘っているのか私達を。


「気をつけろ。誘っている"罠"かもしれない。どうやら敵は相当戦いに自信があるようだな」

「政希さん、その政希さん自身の自信もどこからくるか私に教えてくれてもよろしくて?」


 茶化すように美咲が政希さんに聞く。


「いや、ただの勘だよ。……でもなんか臭うんだよな。おい美咲何かあったら手当てしてくれよな。また俺無茶するかもしれないし。あと蒼衣無理に突っ込もうとするな」

「えぇ分かってますって。もう無茶はしません」


 この任務で1人だと何もできないということを染み染みと理解した。

 1人のエゴは死を招く。それはきっと政希さんが決して望まないことなのだ。……だからこうして私の脳に焼き付くように注意深く言ってきたのだ。


「それならよかった。礼名も恵美も頼むぞ。無事に帰ったら駅で美味しいもの奢ってやる」


 彼は口を歪め微笑を浮かべる。

 自信過剰もいいところだが、そこも政希さんらしくていい。

 私達はその基地の中へと小歩で入っていき敵との距離を縮めるのであった。

 だが私はこのときしらなかった。敵がとんでもない強敵だということに。


(なんだ……この危険なオーラは。妖気が凄まじい)

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