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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第5章 反ロシア禁制地帯を調査せよ
135/139

【苦痛を伴う犠牲 その3】

 戦闘中。


 問いただす私の前にはヴィネラが。


 四方には私を囲むように宙を浮かぶ数本にも及ぶメス。


 彼女は話す前にそれを展開し、私の逃げ道を塞ぐ。


 一歩でも動いたら殺す。


 そんな魂胆にも感じられなくも。


 宙に浮かぶ私に対し、下にいる仲間達は愁眉を開こうともせずなにやら不安な顔付きをしていた。


 その中。


 リーダーである政希さんは自ら助けようと飛ぼうとする。


「蒼衣! 今から助けに……? 礼名」


 行く手を拒むように、隣にいる礼名は首を横に振った。


「……迂闊に動きでもすれば、彼女を助けるどころか逆に殺してしまう羽目になってしまうかもしれませんよ。……ここは様子を動かず敵の話を聞くべきです」


「無茶するわねあの子は」


「さてどこから話そうかしら」


 勿体振るように顎に手を当てるヴィネラ。


 この街と反ロシア……裏で一体何が動いているというのか。


 言いたいことがあるなら、包み隠さず言って欲しい。


「おっと。そこの東城蒼衣だったか? ……無駄に私に攻撃しようというのならしてみろ。そうしたら下にいる仲間の全員をこの場で仕留めてやろう」


 一瞬の隙を突いて身構えたはずだった。


 それも目では追えない速度で剣を力んで。


 だが、相手はその一瞬の動きをも捉えたのか、私に忠告を一言。


 どういうことだ。動きが読まれている?


 ……話は最後まで聞けということだろうか。


 仕方ない。


 ここは大人しく、彼女の指示に悔しいが従うことにする。


「……しないんだな? それほど仲間が大事だと。仲間思いのいい奴だ君は」


「いいから話して自分から言い出したくせに」


「まあまあそんなに怒るな東城蒼衣。可愛いその顔が台無しだぞ?」


 今の私は気が立っている。


 子供達を人体兵器にしたこと。


 仲間達の励みによって多少は気が楽になったが、それでも反ロシアの人間を前にすると怒りがこみ上げてくるのだ。


 何故。


 子供達をあんな目に遭わせる必要があったのか。……私はその理由が知りたい。


 でも一言でもふざけた言及が出るのであれば、その時はこのストライクで。


 ヴィネラは語り出す。


「私は……私達は反ロシアの中から派遣された一部の団体だ。……この施設で上の者からあることを頼まれてね」


「あること?」


「そうだ。とあるマダロイドの開発だ」


 とあるマダロイド?


 ただでさえ多数にも及ぶ量の機体を野に放っているのに、他になにか門外不出の品物があると言うことなのだろうか。


「それは誰もが求める"究極体"と思わんばかりの品物でな、それには人間のデータ収集が必須だったんだよ」


「だから子供達を利用してヒューマンリボーンを?」


「……詳しくはそのマダロイドの情報を公にできないが、それは我々にとってやらなければならないことなのだ」


「でも……だからって子供達の命を利用するなんて間違っているよ」


「……あぁ自分でも分かっているこれは悪魔の取り引きそのようなものだから。お陰でデータが無事取れた」


「ふざ……けるな」


 話を最後まで聞き流すに耐えられなかった私は逆上し。


「「ふざけるなッ!」」


 再び手に持つ剣に力を入れ、ヴィネラへ屈折するように移動。


「話を最後まで聞けない愚か者が」


 迫り来るメス。放射線状に高速回転するその攻撃に高速斬撃で応戦。


 多少。


 体に傷を負うものの敵の猛攻から脱出し、一瞬の隙を突いて目前に距離を詰めた。


「ほう、やるじゃないか……くッ!」


 余裕ぶった表情を撃ち消すように斬撃で下へと叩き落とした。……煙を巻き上げ姿を暗ます。


 Xエナジーを探ろうとし感じ取ってみるものの、全くその気配はなく存在そのものさえ隠蔽する。


「……強くはあるが、迂闊すぎるな」


「なッ」


 聞こえてきたのは背後。


 煙が消し去った後、私は振り返ろうとした。


 畏怖。


 その背後にいる恐怖に私は怯える。


 殺されるのではないか? そんな恐怖から。


 いや違う。


 何かが。とてつもない殺気を、私は彼女から感じる。だが振り向こうにも振り向けないのだ。


 能力とかそんな特殊な物ではない。……もっと自然な威圧感というか。


「怖いのか、私と戦うのが」


「そんなこと!」


 斬り払うようにヴィネラ側へ振り返りながら剣を回す。


 剣とメスの擦れる音。


 相変わらずその力を調整できる力は厄介だが、なによりも見た目に反する力が圧倒的でとても押され気味に。……とても異常までに。


 かつてないその殺気に押されながらも、私はその敵の顔と対峙。


「力押しで私に勝つなんて不可能だよ。何故なら力を私は吸い取ってしまうのだから」


 引力に逆らえないまま、押し合いに漸次負けていき。


 落下。


 瞬発的な反動によって、地面へと落とされる。


 やはりどんな手を使っても力を吸収され圧倒されてしまう。


 ? だったら何故先ほど周囲にあったメスは弾くことができたのか。


 ひょっとして何か穴があるのかもしれない。


「力に気を取られていては……」


 上空から、ヴィネラはメスに力を蓄え、周囲に再び無数のメスが出現する。


 ……先ほどの落下によって、致命傷を負ったのか片足から激しい激痛が。


「くっ」


 速度を上げて回避することは一応できる。……できるのだが今の状況からして精々あと1回くらい。


 それ以上無理に能力を使い、速度を上げようとすれば痛みは増していくだろう。


 ここは能力を使わずに必死で剣で応戦するが得策か。


 腕が持つかは分からないが、重傷を負うくらいだったらこれぐらいで対処した方がいい。


「撃つなら撃ちなさいよ。私の斬撃が上か、あなたの攻撃の方が上かここではっきり白黒つけない……」


 虫の息。


 痩せ我慢な言動なのは重々承知。


 しかし他に手立ては……。


 向こうにいるみんなに、声をかけるのも1つの手かもしれない。


 だがそんなことをすればヴィネラは真っ先に仲間の命を奪いに行くだろう。


「目に見えていることを。これでくたばりなさい」


 彼女の手がそっと振り下ろされると、地上にいる私方面に宙に浮かぶメスは雨のように降り注ぐ。……止めどなく迫り来る刃。不可抗力ながらも一瞬にして剣を身構える。


 1本1本を正確になぎ払おうと心の中で決意し。


 だがそんな時。


「蒼衣さん!」


 意識を吹き返すことができたのは、覇気のこもった礼名の声だった。……降り注ぐメスに横切る様に無数の弾丸が全てのメスに命中。空中で爆発音を作りながら爆散する。


 ……あれは礼名の放った銃弾だ。


 メスの降り注ぐ拍子に一瞬の隙を突いて一斉掃射を。


 危険な境遇だというのに、よく無茶して迎え撃てたものだ。しくじれば命はなかったというのに。


 爆発が収まり、視野が開けると眼前に礼名が立っていた。 


 首を私側の方に振り向かせ。


「……間一髪でしたね。……私も一か八かの駆けでしたが皆さんがどうしても行けっていうものですから。満場一致の上であなたのところへ駆けつけたというわけです」


 仲間の方を見ると3人は美咲を盾にするように、彼女の背後に寄り添うように身を固めている。四方からの攻撃から守れるように、美咲は盾を前に出してみんなを守る。


 どうやら美咲も助けに行きたくても行けないらしい。


 みんなを守るのに精一杯な故手が回せないか。


「ふう……危なかったぜありがとな美咲」


「私もどうなるのかと。美咲さんの盾がなかったら死ぬところでしたよ」


「2人共。礼名ちゃんを蒼衣のところに行かせたのはよかったかもしれないけど、この場を切り抜けられる確証はあるの?」


 政希さんが応じる。


「正直自信はない。だがあのまま蒼衣があんな攻撃を食らえばひとたまりもないだろう? ならばと頼りがいのある礼名を向かわせたわけだ」


 どこまで重度の心配性なんだろう政希さんは。


 でもそれぐらい、私を大切に思ってくれているんだと思う。


 それに、あっちには美咲がいる、美咲なら攻撃と防御面にも優れているから一石二鳥。


 こっちは任せたと彼女は首肯。……頼むよ美咲。


「そうなんですかふん。政希さんらしい戦法だと思いますけど。……でもわざわざ礼名ちゃんを行かせたってことは考え無しに行かせた……そういうわけではないのでしょう?」


 考え無しに。まさか有力な情報を?


「当然だ。礼名には……」


 政希さんは、礼名に何やらサインを送る。


 礼名は首を縦に振ると、私に小声で話してくれた。……どうやら私の予想はあながち間違ってはいなかったようだ。


 彼女が語ってくれたのは敵。ヴィネラの弱点である穴についての情報であった。












「それではお願いしますね蒼衣さん」


 概ね理解はした。


 このXウェポンの弱点そのものに。


 礼名の情報によると、接触しなければ攻撃は吸収されないとのこと。


 つまり無数に散りばめられたあのメス。……それは触れてもなんの問題ないわけだ。


 故に、先ほど弾くことができたのはそれが答えになる。


 合点がいく。


 そして倒す方法はただ1つ。


 礼名が隙を突いてチャンスを作る。……彼女が合図したら渾身のストライク・ブレイクを相手にお見舞しろと言われた。


 ……だが、当然ながら今は一歩も歩けない状態なので、動こうにも動くことができない。


「……わかった。できるか分からないけどやってみるよ」


 今一度。


 前に向く礼名は。


「……自信を持って下さい。 私信じていますから蒼衣さんが必ず成功させてくれるって…………では行ってきます」


 言葉を告げると、彼女は上空へヴィネラ目がけて飛び立って行く。


 ……果たして上手くできるか。


 礼名は宙を浮かぶヴィネラに中ぐらいの砲弾を放射。巨大な閃光を作り出す光が彼女の方へと飛んでいく。


 猛然と。


 引き金をひたすら引き続け、避けられているのにも関わらず依然として放射、放射と撃ち続ける。


 あまり普段彼女がみせない表情。


 眉をしかめ、歯を食いしばるその様子はとても真面目な顔つきだった。


 彼女にとっても今相手にしている敵は相当な地位を持つ者だと見てとれた。


「馬鹿か。そう闇雲に撃っていればいつか当たるとでも思っているのか。 非常に滑稽だ」


 飛び回りながら避けるヴィネラ。必死に撃ち続ける礼名の苦労を侮辱し愚弄。


 ……礼名はただ単に彼女が言うように闇雲に撃ち続けているわけではない。


 これはある作戦の為の一芝居。


「……その言葉後でそっくりそのまま返してあげますよ。えぇ「滑稽だったのはあなただった」てね」


 油断したのかヴィネラの片腕に、礼名の放射した弾が掠る。


「ちっ油断したか」


「……適当に撃っているわけではないということお分かり頂けて?」


「少し訂正する。多少滑稽と」


「……それはどうもっ!」


 続けて、もう片方の肩狙いで放射。ヴィネラは無数のメスを周囲に集め盾代わりにして攻撃を防ぐ。


 砲弾によって飛び散るメスの何本かは、礼名の方に飛んでいく。


 礼名の頬にメス切り込みが入り軽傷ではあるが出血。


「味な真似を……メスを使って目眩ましにするとは」


「メスでもこんな使い方もできる。……当たらなかったメスをお前の眼球に当てて目潰ししてやる」


 ヴィネラが手探りをすると、落ちていったメスが起き上がり目標は礼名へと向けられる。


 遠隔操作。


 巧みによくあそこまで操れるものだ。


 私だったらあんなのひとたまりもない。


 ……追い込まれているのにも関わらず、礼名は根を曲げず後ろを見ようともしなかった。


「……それで? こんな小細工で私に勝てると思いで? …………本当の隠し球というのはこういうものです!」


 礼名の抱えている巨大な銃。その後ろに前方の敵には全く見えない視角。……彼女は脇に違う銃を隠していた。


 ……持っていた銃投げ捨て、隠していた銃の引き金を引いて撃つ。


「なに!? ぐあああああああああッッ!」


 部屋の壁へと叩きつけられるヴィネラ。……息を切らしながら鼻先に立つ礼名を前に瞠目した。


 もろに食らったのにも関わらず辛うじて生き延びていた。


 着ている白衣は破れていた。


 そっとメスを彼女の前に突き立て、無数のメスをまた出現させ、メス使い礼名に交差攻撃を仕掛けその場を脱出。距離を置いた後、間合いを取る。


 彼女は、正面にメスを集結させ、攻撃の準備を行う。


「これでおわりだ今度こそ……!」


「………………」


 だが礼名は撃とうとしなかった。


 そう彼女の方に。


「どうした? 怖じ気づいたか」


「いえ、……あなたの負けですよ…………」


 礼名は真下にある機会目がけて銃弾を撃ち込む。


 爆発と共に破裂し周囲は火の渦に包まれる。


「ば、馬鹿な、狙いはそっちか!!」


 煙の中。


 礼名の声が聞こえる。甲高い大きな彼女の声が。


 それは、私にトドメを差すように仕向けた一言だった。


「蒼衣さん! 今です」


 今なら狙える確実に。


 燃えたぎる火の中、身動きの取れない状態の私は踏ん張りながら立ち上がる。


「何のこれしき…………!!」


 痛みに耐えながらも目映く光るストライクを手に持ち。

「行け蒼衣!」

「蒼衣!」

「蒼衣さん!」


 向こうにいるみんなの励みの声が聞こえてくる。


 見えない敵。その者目がけて力の入った一撃を解き放った。


「ストライク・ブレイク!」


 見事にその斬撃は見事に命中。


 巨大で地を斬り裂くほどの高速斬撃が一瞬にして、敵を葬り去った。













 燃えさかる火の中。先ほどの衝撃により、次第に建物は崩壊を始めていた。


 動けない私の元に仲間達が駆け寄り、美咲が私を治療してくれた。


「時間がない……脱出するぞみんな」


 政希さんに続いて駆け足で部屋を出て行く。


 ……スコープで脱出できる時間を計ってみたが大体15分前後だった。


 早く脱出しないと。


 揺れ行く基地内。


 無性に部屋の温度差が熱く感じてくる。


 火や熱のせいだろうけど……それより先を急ごう。


 部屋を出ようとした……その時。


「待て」


 一斉に全員止まり後ろを振り向く。


「生きていたの?」


 すぐ先に仰向けになっていたのはヴィネラだった。


 死にかけの様子で、何やら言いたそうな様子。


「……東城蒼衣。お前のその強さはどこから来る?」


「……仲間よ」


「仲……間?」


「えぇ。私はみんながいるからどんな困難にも立ち向かっていける…………だからあなたに勝てた」


 仲間の助けがなかったら、今頃殺されていたかもしれない。


 ……なぜそんなことを聞いた?


「信じてもらえないと思うけど……聞いて欲しい」


 私は歯を食いしばり怒りを露わにし。


「その前に殴らせてあなたのその…………顔を」


「好きにしろ」


「蒼衣! ……礼名」


 後ろで首を振る礼名。


 これが正しいやり方なのかは分からない。


 ……でも今はこうしないと収まらない私の怒りが。


 彼女の体にまたがり、拳で顔を私は殴り始めた。


 一挙一挙を強く強く殴って。


 彼女に向かって私は、自信の怒りの声をヴィネラにぶつける。


 ……涙声になりながら。


「どれだけ……っ! どれだけかわいそうだと思ったか……! 分かる? ……この……この怒りが!」


「ぐ…………ぐが」


「あの子達は……! あの子達は……!」


 バシ。 ……バシ。


「これが……これが反ロシアのやり方なの!? 人の命を! ゴミみたい扱って……! ふざけないで!」


 敵とは言え、心が痛くなってくる。


 自分が善悪なのか分からないほどに。


「なんで、こんなことする」


「……」


「蒼衣さん!」


「子供達には夢がある。希望に満ちあふれた夢が。なのにあなた達ったら……人の……これは人のやって言い事じゃないわよ」


 大声で。


 理性が、失いそうになった。


 でも止めようにも自分でも制御すら効かなくなっていた。


 今私にあるのは、怒りそのもの。


「そういう答えが返ってくると思っていたよ。……恨まれて当然だ。だが仕方なかったのだこうしないと私が生き残るには」


「自分の命の方が子供達より大事ってこと? ふざけないであれが、反ロシアのやり方なの!? 度が過ぎるわよ!!」


「本当ならこんなことやりたくはない。だが」


 怒りが頂点に達し。


 ストライクを彼女に突き立て。


「それが反ロシアのやり方かァ!!」


「落ち着きなさい蒼衣! あなたらしくないわよ」


 止めに入る美咲。


 気がつくと美咲は私の剣を震えながら受け止めていた。












 数秒。


 仲間の止めにより、正気を取り戻した私は彼女の方を振り返る。


「……気が済んだか東城蒼衣」


「えぇ。……それであなたの話したいことって? ……疑いはしないわ」


「そうか。なら話そう」


 彼女は自分の持っている情報、そして自分の事を私達に打ち明ける。


 それは心を痛めるような闇の深い内容。


「私は、この街でとある任務を任されていた。……それが人を使った人体実験」


 先ほど言っていた、究極のマダロイドの研究のことか?


 話しは続く。


「最初は子供を使う実験は当初行う予定はなかった。……だが上司の指令によりしなければならなかった。……子供を使った人体実験をな」


 それから数分。


 彼女の言う事はこうだった。


 ある強力なマダロイドを作る為に彼女は、この街に派遣された。


 最初は人体実験を行う予定はなかったが、追々人体実験を行う方針が立った。


 反抗すれば自分はおろか子供達まで、殺されてしまう。


 そう畏怖した彼女は言われたとおり、人体実験の……マダロイドの開発データ採取に必要な殺戮マシン。ヒューマンリボーンを作った。


 だが彼女にとってそれは心を痛める内容で、日に日に苦悩したんだとか。


 なんとか子供達だけでも助けようと努力はしたものの、力不足で結局無力な自分を恨んだらしい。


「……あなたはどうして救いたかったの? 子供達を」


「君がさっき言ったことと一緒さ。子供達には夢があるから……それを守りたかった」


 反ロシアの人間は……全員が悪とは限らない? のか。


「でもならなぜ、こんな尋常じゃないことを」


「反ロシアの一部の人間は違う国から寄せ集められた殺人者も中にいる。……その内の1人だよ私は」


「……」


「私は昔から子供が大好きだった。だから守ろうと」


 反ロシアはやはり。


 また数分。


 彼女の償いの言葉は数十分にも及んだ。


 その中で分かったことがある。


 彼女は本当は心優しい殺人者なんだと。


 知らずに。


 私はそんな善人を傷つけていたなんて……こんな……こんな結末私は望んでいない。


 そして。


「……最後に1ついいか東城蒼衣?」


「……あと4つ反ロシアの基地がこのゼリア地帯に存在する。……幾多の敵が君を……君達を待ち構えているだろう」


「…………でも……戦うよ。私は……仲間と共に」


「君らしいな…………その優しさを…………誰かに届けてくれ。そうしてもらえれば……私としても嬉しいよ」


 救うに決まっている。


 あなたが救えなかった命もこの私が。


「ではもう1つ……」


「なに?」


「……この砂漠地帯に住む3人の殺人者には気をつけろ」



 3人の殺人者?


 それは一体。


 と壁が崩れ、基地の崩壊が激しくなっていく。


 そしてヴィネラはその下敷きとなり、最後に。


「東城蒼衣! この世界をこの世界を……救ってくれ」


 ……彼女の発した最期の声。


 それは希望を次の者に託す正直な言葉だった。


「行こう蒼衣。……早く行かないと」


 再び駆け出す仲間に続いて、崩れ行く基地を辛うじて脱出し。


ドゴゴゴゴゴゴ……。














 滅びるその町見ながら遠くでその最期を私達は見届けるのであった。

















 次の場所に移動する最中。















 私は涙を零しながら、染み染みとあることを心の中で感じていた。
















「……? 蒼衣さん?」


















 心が砕けそうになりそうな自分に。



久々の投稿ですこんばんは。

遅くなった理由に関しましては、表現の練習に取り組んでいたためです。

戦闘描写や説明が難しくておろろ。

さて来週からまた頑張って書くようにしてできればペースを落とさずに書いていきたい所存ですが、違う小説も書いておりましてそちらと両立となりますと、結構自分の重りになりそうですはわわ。

ですが今まで書かなかった分頑張って書いていくのでまた読んで下さると嬉しいです。

できる限り分かりやすく書いていくつもりですのでもし宜しければ。それでも説明不足な点があるかもしれません。ちょいとまだ説明仕切れていない箇所もありますので、そこは生暖かな目で見て下さると嬉しいです。では皆さん見て下さりありがとうございました。では次の話にではでは。

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