表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第5章 反ロシア禁制地帯を調査せよ
130/139

【死の降り注ぐ地 その1】

 聞いた話を頼りに小規模な基地へとやってきた。


「あれ見ろよ」


 指の差す方角には、周りが銀色の塀で覆われた建物が建っていた。


 高くそびえ立つのは整備が万全そうな一棟の建物。上層部にはガラス窓らしきものが付けられている。


 見られていないか心配な面もあるが果たして。


「高い建物ですね。それにしてもあそこまで大きいとは予想外です」


 新東京都のビル半分くらいの高さはありそうだが。


「……蒼衣さん人の気配はしないです。行く場所間違えてしまったのでしょうか?」


 と礼名が語りかけていると。


「そんなことないぜ。礼名スコープで周りを拡大してよく見てみろ。証明になるものがうつっているぜ」


 と言われるがまま礼名はスコープで基地の外周を拡大して見る。……便乗して私と美咲、そして恵美も目にやつけようと彼女に続いてスコープを起動させる。


 周りには人も見当たらない。ただそこには静寂感となにか禍々しいオーラが漂っていた。


 すると礼名は何かを見つけ一声をあげた。


「あれは……!」


 スコープで一同周りを見回すと反ロシアの赤黒色で染め上げられた旗が貼り付けられている。


……ここがその危険なことが行われているという場所なのだろう。


「最初の敵の基地にたどり着いてしまったみたいだな。……みんな心してかかれよ」


 一斉に意の決した声で答えると直ぐさま潜入する準備に入るのだった。


 ……わたしはこの時知らなかった。この場所、いや反ロシアが裏で惨い行為を行っていたことに。





 機体を一目のつかない場所へと固めておいてきた。砂漠地帯なのでそのまま放り投げてしまえば、敵に気づかれてしまう恐れもあるので。


「で? これでどうするの。 このままだとばれてしまう危険性もあるよ」


「そうだな。砂で隠したとしてもすぐ敵が掘り起こすかも知れないしな。……礼名なんか策でもあるのか?」


「……勿論です。私が無策でこんなところに置くと思いで?」


 一呼吸置いて。


「それもそうだね。それで2人とも、この機体をどうするの」


 私が両隣向かえ立つ2人にそう訪ねると、2人は顔を合わせこくりと頷いて恵美と礼名が答える。


「これは礼名と私が昔使っていた機能なんですけど、その名もステルフィールドってものなんです」


「ステルフィールド? なんなのそれは」


 思わず頭の上に疑問符が浮かんで聞いてみたが、一体それはどんな機能を備えているのだろうか。……おおかた名前で多少見当はつくのだが。


「なあに、使い方なんてそんなに難しくないですよ。ただ広げるだけなんで」


「……単に透視する粘膜をそこに貼るんです。こうやって……」


 礼名はなにやら射撃に使う弾をシュナイダーに装填させると、即座に躊躇いもなく私達が乗ってきたマダロイド目がけて撃った。


 すると蜘蛛糸状のものが機体を囲むように覆う。そして待つ暇もなくなんと機体は見るうちに透明になった。


「き、消えた!?」


 思わず声に出してしまう。


 どうやら名前の通り完全に覆った対象物を透明化させる物らしい。


「でもこれだと仮にひっくり返った時やばいんじゃね」


「確かにそうですよね。どうなの礼名?」


「その点はご心配なく。対処物は外部からの干渉、物理、嗅覚、聴覚無効にして一切受けなくなるんですよこれは。例えば仮に誰かがこれを覆っている箇所全てを剥がそうとしても全く無傷です。それに感触そのものも透視化させるので完全に外部からの接触を避けることができますよ」


「つまり完全な接触不可な透明体にするってこと?」


「はい、そういうことです」


 すると美咲が。


「でも待って。それなら私達が取り出す時どうすればいいのよ。まさかと思うけど捨てて帰るなんていうんじゃないでしょうね」


 さすがにそんな致命的な欠点を抱えた無能装置ではないと思うよ美咲。


 恵美は冷や汗をかきながら。


「美咲さん大丈夫ですよ。使用者が念じれば自由に機能のオンオフが切り替えられるんで。ちなみになんですけど、オフの状態だと透視機能は無効になりますね」


 少し考えれば当然のことではあるけど、外部からの接触を完全に避けられるそのステルフィールドは凄いな。状況によっては姿を消しながら攻撃するという小狡い戦法もとることができるのか。


 と思った矢先礼名が1つ、言いそびれたことを述べる。


「……あ、でもこれ1つ欠点があるんですよ。それは対象物が激しく動いたりすると、効力が強制的に切れて透視化が解除されてしまうんですよ。なので戦闘には不向きですね」


「まぢかよ……」


「汎用性ありそうで致命的な欠陥抱えているのね」


「……そうですね」


「ちぇっもしそれがあれば蒼衣1人に任せてちゃっちゃと終わらせられたのに」


 もうこの人ったらすぐこうやって悪知恵を働かせるんだから。


「政希さん、自分だけずるするなんて卑怯ですよ。敵とはいえども私は正々堂々と戦いです」


「そ、そうかなんかすまん」


 言い過ぎたような顔で政希さんは目を細め申し訳なさそうな顔をした。


 ……正直それが可能だったらやりたかったな。


「……でも本来これの改良体を作って完全な動きでも対応したステルフィールドを作る予定だったらしいですけど、未完成のままにおわってしまったんですよね」


「……じゃあ前礼名達2人が入っていた軍でこのステルフィールドは作られたってこと? でも私達が邪魔したせいで……なんかごめんね」


「気に病むことないですよ蒼衣さん気にしないで下さい」


「そうか。じゃあこれでカモフラージュはできたってことだね」


「……ですね」


 もしステルフィールドが完成していたらそれはそれで便利な品物になっていたのかも知れない。……完成体のステルフィールドか1度使ってみたかったな。


 一段落ついたところで政希さんが話を進める。


「じゃあ気を取り直して行くぞ」


 一同首を縦に振り、基地内へと入るのだった。





 塀を入ってすぐそこには、廃れた木くずの家が建ち並んでいた。


 足を進めていく度に徐々に新たに作り立てたであろう建物の姿が見えてくる。ボロボロな家を見ていたらいつの間にか新築の家が並んでいたそんな感じ。


 恐らく元々はごく普通の村か町だったのだろう。なぜこの地を反ロシアは占領したのかが謎だが。


 …………それにしても妙だ。警備員も誰も居やしない。


 どこかの殺人者(マダラー)がすでにここを制圧したって可能性もゼロではない。


「人が全くいませんね。先客がいたのでしょうか」


「確かにそれも考えられるが、果たしてどうだかな」


「と言いますと?」


「例えばそれ自体が敵をおびき出すための罠だったり。相手を油断させた隙に一気に仕掛けるその可能性もあるだろ?」


 それも考えられるか。となれば既に私達は彼らの手の平の上で踊らされているのかも知れない。


 見る限り怪しいところは一切ない…………か。それも相手の策略かも知れないけど。


「でも政希さん、私からすれば浅知恵を持った半人前のすることにしか思えないんですけど」


 さすが美咲。人を見下すやり方はこの状況でも曲げていないらしい。


「油断禁物だぞ美咲。ひょっとしたら凶悪な新手の殺人者が出てくるかも知れねえ」


「……その時は私達で役割を分担して戦えばいいんじゃないですか?」


「……礼名の言う通りだな。敵がどんな策で来ようとも俺達のすることは目の前の敵を迎え撃つのみだな」


 意気込む政希さん。さて強力な殺人者もでてきそうだし私は心の準備でもしておこうか。


 巨大な建物が近くなってきた。潜入にもう数時間もかからないだろうけどいざ目的地が迫ると胸の鼓動が止まらなくなるんだけど。


 するとなにやら私に気がついた政希さんが小声で話す。


「……蒼衣」


「? どうしたんですか政希さん急に声なんかかけて」


「いや、どうしたはこっちのセリフだよ。浮かない顔してるぞお前」


「…………そんなことないですよ私はいつもの私です」


「…………怖いのか?」


 誤魔化そうと見栄を張ったけど政希さんの目を欺くことはできなかった。どうしてこういう時に限ってこの人はこんな風に頼もしく感じられるのか。


 私の隣に立つ政希さんは、そうっと心配する私の片手を優しく温かい手で握ってきた。


「政希さん?」


 にこやかにいつもと変わらない笑顔を見せる彼は。


「大丈夫だよ蒼衣みんながいるじゃないか。……例え何があっても俺は……俺達はお前を守るし、他の仲間のヤツだって同様に守り抜く。……それが本当の信頼しあえる最高の仲間ってもんだ」


 その言葉によって不安に縛られていた私は多少気が楽になった。


 仲間か。そういえば最初2人だったのに今はこうして私含めて5人か。早かったようなはたまた遅いようにも感じる。


「お前は死なねえ仲間の誰1人もな。だから自信を持て、そして仲間を信じろ!」


 私はそれに対して。


「はい、……ありがとう政希さん」


 手を離すと礼名がなにやら気にかけて話かけてきた。


「……蒼衣さん、一体何をぶつぶつと政希さんと話していたんですか?」


 誤魔化すように答えた。


「ううんなんでもない。日本に帰ったら政希さんに私の大好きなポリッキーを買って貰おうと話していただけだよ」


 呆れた礼名は吐息を漏らして答える。きついしつけが飛んでくると思いきや彼女は答える時に微かな笑みを浮かべた。


「……まったく蒼衣さんったら。そういうのは帰ってからがいいと思いますけど。……でもそれが蒼衣さんらしくていいです。……大丈夫。必ず生きて帰りましょう」


「礼名……」


 どうやら一部だけだが、礼名は私と政希さんのやりとりを聞いていたらしい。それを分かった上で聞いていない振りをし、このように答えたのだ。



……出会った時とは大違いだ。最初のころはあんなに私達に反発する笑顔1つもみせない頑な子だったのに。今だとたまにこうやって笑顔みせるようになって正直心強いよ礼名。


「ありがとね礼名」


「いえいえ」


「……ねえお姉さん達ちょっといいかな?」


 ちょうどその瞬間だった。突如私達の前に、古布を着た私の下半身くらいの高さをした長髪少女1人が目の前に現れた。


 幼げで大きなその潤った瞳孔は愛嬌を感じる。さてその少女が私達に何用か。


 随分とボロボロな服を着ているけれど……まあここ一帯に住む人達はみんなこんな感じなんだろうけど、困っているなら聞いてあげるしかないよねここは。


 少女に近づいて中腰になって聞く。


「どうしたの?」


「あのね」


 この少女との出会いで私は苦痛を……その悼みを初めて味わうことになろうとはこの時の私は知るよしもなかった。


夜分失礼します。こんにちはこんばんは。

来週の今日はもう今月おわりですか早いですね。

卒業を終えた学生さん達の声をちらほら聞きますが季節の変わり目を感じさせますね。

次第に気温も落ち着きを取り戻しているような感じですが、さて今年はどうなることやら。

頻繁に申し上げておりますができるだけ、遅くならない程度にかつ無理しない投稿を引き続き頑張って行くつもりですので応援の都度よろしくお願いします。

それでは本題に移りますが。

小規模な基地へと向かい潜入することにした蒼衣達一向ですが、さて彼女がこれから味わうであろうその恐怖それは一体。この回では多少の過激なシーンも取り入れるかも知れないので、見られる方は覚悟した上で一読してもらえればと思います。まあ上手く伝わるかは分かりませんが。

それでも仲間達は彼女を……。

それではみなさん本日はこれまでにさせてもらいます。宜しければまた見て下さるとうれしいです。

次またお会いしましょうではでは~


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ