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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第4章【都市部編】
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【蠢く陰謀 その2】

 日本を旅立ち数時間が経った。


 空から見下ろせば緑豊かな平原、山と木々が広がっていた。


 コックピット内はやや狭めだが、外をみればそんな気になることなんて数分足らずで吹き飛んでしまう。


 平原を越えると、生白い高い建物いくつか密集している大きな街が見えてきた。


……街というよりかは1つの国のようにも思えた。城らしき建物もあれば、値が張りそうなインテリア等で外観が整えられた聖堂か何か。


 前回も来たけれども、私にとってこの新ロシアは未知の領域だった。


「見えてきたな。みんな支度しろよ」


 政希さんが一斉に組織の仲間に声をかけると、みんなは外に出る準備を始めた。


 それぞれ手際がいい具合に数分足らずでその支度を終える。


「みんな早いな」


「……ほとんど荷物はそれぞれ1つに絞られていますし」


 座席のすぐ後ろにカバンとバッグ合計5つまとめて置かれている。


 ちなみに中身はそんなたいしたものはそんなに入っていない。


 緊急用の非常食、アイテム、メモ帳などなどそれくらいで、ほとんど戦闘中に使う物がほとんどであった。


「取り敢えずいつ敵殺人者に襲われてもすぐ戦えるよう、万全なものを何種か揃えておいたけど」


「美咲それで十分よ、いざという時はあなたに頼んで回復させてもらえばいいし」


「それはそうよね、でも乱用するのもよくないわよ。私のXエナジーも決して無限じゃなくて有限だからちゃんと限度というものはあるわよ」


「……それに関しては問題ありませんよ美咲さん、蒼衣さん。たくさんエナジーボックス(Xエナジーの補給剤)は揃えておきましたから」


「礼名でかした」


 私は指を鳴らして礼名を褒めた。


 やはりいつになっても礼名は頼り甲斐があるな。なんだろうとても安定感と安心感を持てるというか。


「みんな準備は万全みたいだなよし……下降する」


 政希さんは両手で持っていたハンドルを下方へと下げ機体の降下を始めた。すさまじい動力でコクピット内が振動し始める。


「あわわ、来た時こんな実感なかったのだけれど……!」


「……ぎ、技術長によれば下がるときそういえば引力が強いとか言っておられた気がします」


「それ早く言ってよ礼名ちゃん」


 振動に耐えながら壁を支え代わりにして持ちこたえる美咲と、慣れたように平然そうな表情で答える礼名。なんでそんな平気に対応できるのだろうと少し2人を尊敬してしまう。


 みんなベルトはちゃんとしているもののそれでも振動が強い。


 下降して塀に囲まれた街の正面側にある、正門前まで降りた。


 派手な金と白が特徴の門前には、1人のロシアの軍服を着た男性がいる。


 恐らく門番だろう。


 一同その門番に近づきく。


「天堂政希とその一同の特殊組織ノヴァです」


 政希さんは電子カードを1枚を提示した。


 ……この電子カードはマダラーカードいわば身分証。


 カードには、生年月日と名前、写真をはじめとして、マダラークラス(強さのランク格付け)、所属組織、資格、殺人者総討伐数などが書かれている。


 正式の一端殺人者になったあかつきに誰もが身分証としてこのカードが作るのだが、そういえば政希さんどれぐらい強いのだろう少しのぞき見てみよう。


「……? ちょっと蒼衣なにやって……」


 小声で呼びかける美咲は無視して。


「蒼衣、お前何見てるんだ?」


「…………政希さん。案外低いんですねノーマルマダラークラスって。しかも技術資格以外なにも資格持っていないじゃないですか」


「うるせえよ」


 思いのほか当てが外れた。政希さんのマダラークラスは至って殺人者の中では普通ぐらいの実力の格差だった。


 このクラスは『強くもないし弱くもない、至って普通の強さですよ』といった強さである。


 任務や戦っていけば、このランクも上がっていくのだが……これは驚いた。


「……まだノーマルクラスってどれだけ失敗したんですか任務」


 ちなみに戦績によってこのクラスは変動する。ノーマルクラスから下はいかないのだが中々ノーマル止まりの殺人者はあまりみたことない。


 となると政希さんは相当任務の戦績がよろしくないということになるんだろうけど。


 あまり見られたくないのか政希さんは、恥ずかしそうに。


「う、うるせぇ! 色々とあるんだよ色々と」


 どうやら彼にも事情というものがおおありで。


 門番さんは話にはいり辛そうに、冷や汗を垂らしながら言ってくる。


「……か、確認いたしました。ノヴァのみな様ですね。首相がお待ちですどうぞお入りください。機体は外にある収納ハッチの方へ運んでおくのでよろしくお願いします」


 ……言いたいことあるなら言えばいいのに。立場上言えないのだろうか。


 門番さんは道を空け、門を開けた。


「……気を取り直していくぞ」


 政希さんは顔色を青くしながら、街中へと入っていった。





「……ったく蒼衣は」


「そんな拗ねないでくださいよ。さっきのことは謝りますから」


 一向は巨大な大通りを進む。周りには巨大な建物が並んでおりその建物はいずれも高そうなものばかりだった。


 西洋建築のタウンハウスが多数見受けられるが、この街には昔の文化らしきものが今でも残っているのだろうか。例えば後世に歴史を伝えるため、あえて新築した家を使わないとか。


……歩きながら私達が話していると向こうに塀で囲れた、白くて宮殿のような高い建物が建っていた。


 見る限りだいたい3階から5階はありそうな高さ。


「みえてきたな」


 建物には【新ロシア軍事基地】と書かれた札が掲げられていた。ロシア語で書かれているが、日本人に分かりやすいよう真上には日本語翻訳で書いてある。


 一向は、その場で足を止めて基地を見上げ一呼吸おいたあと、入り口の門番に話をする。


「なるほど、ノヴァのみな様ですか長旅お疲れ様です。首相がお待ちですどうぞ中へお入りください」


 塀の庭の方に入り、さらにその基地外の大通りを真っ直ぐ進んだ。建物入り口には重厚感あるドアがありそれを手にとって扉を開いて私達は中へと入った。


 基地内の面会室に入ると、ロシア兵の人に少し待つよう言われ、長テーブルにある椅子に腰掛けた。


 周りを見渡せば高価なものばかりだった。


「……立派ですねここは」


「礼名は初めてだっけ。ここは豪華なものがたくさんあるからね。聞けば初めてここに来る人はみんな礼名みたいな反応するみたいよ」


「ふうん」


「一部を除いて」


 1人、恵美と礼名、美咲の新米3人の中で唯一驚いていない人が1人そう美咲だ。


 こういうのには恐らく慣れているようだから、このような反応だろうけど。


「……美咲さんは仕方ないですよ。こういうのにきっと慣れているでしょうし」


「私もそう思います。だってお嬢様なんですよね?」


「そ、そうだよ。こういうの慣れているのかな。……どうなの美咲?」


 5人横に整列するように一番右が私で、そこから礼名、恵美、政希さん、美咲と並んでいるが一番向こうに周りを眺める美咲に声をかけると。


「そうね、至って普通ね」


 案の定普通だという答えが返ってきた。私達と住んでいる世界がやはり1人だけ違うような気がする。筋に合っているのだろうか彼女は。


 ……そしてしばらくして、兵が中に入ってくるとヴェナルドさんが入ってくると言ってきた。そう言い外へと出て行ったのち、今度は小柄な女の子が入ってきた。そうヴェナルドさんが。


「ようこそいらっしゃいましたねみなさん。あと蒼衣さんお久しぶりです」


 こちらに近づいて向かえの椅子に腰掛けるヴェナルドさん。


「ヴェナルド総理……」


 政希さんは急かすように話を切り出そうとすると、ヴェナルドさんは手の平を私達に向け。


「まあまあそんなに焦らなくても時間はたっぷりとありますよ。…………紅茶とお菓子を配ったのちに話しましょうか」


 こうしてヴェナルドさんと私達は対談するのであった。




「……これを見て下さい」


 ヴェナルドさんは1枚の地図を差し出した。


「今回は地図なんですね」


 写真の地図は砂漠に面していて、一箇所だけバツ印が付いている。


「……ここより南に位置する砂漠なのですがそこで最近なにやら小規模な基地を兵が見つけたらしいんですよ」


 ヴェナルドさんは、バツ印のところを人差し指でとんとんと突いた。


 そこは通称傷痕の地と呼ばれ、ロシアでは『ゼリア・シャラモ』と呼ばれる砂漠である。


 数百年前戦乱によって国々が争い、戦いの果てに争った全ての国は滅亡した。そして跡形もなく今は何もない砂漠地帯に。


 砂漠にはいくつかの武器が散乱していたことから、その傷痕をのちの世に知ってもらおうとこの名前がつけられたらしい。


 今でも夜そこに踏みしめると、亡霊が出るとかでないとか変な噂も耳にするけれど。


「思いもしなかったのですがどうですか? 行かれますか」


 一呼吸おいて政希さんは左右にいる仲間を見て。


「どうするみんな?」


 さらに一呼吸おいてそれぞれ答える。


「……私は反ロシアが何者か存じ上げませんが、この世を脅かす集団に変わりないんですよね? なら私は行きますよ」


「礼名に同意します。どんな強敵が待ち受けているかわかりませんが、みんながいますし大丈夫ですよ」


 礼名と恵美に戸惑いはないようだ。


「ふん、これまでに散々反ロシアの人達にはいいように振り回されてきたから、丁度その仕返しをしたくなったころよ、2人がそういうなら私はいくわよ。それにどうせ私がいないとあなた達色々とヘマしそうだし」


 文句を垂らしながらも力を貸す美咲。


「で、蒼衣あなたはどうなの?」


 そんなの答えるまでもなかった。もう私は1人なんかじゃないみんながいるから。


 みんなに向かって誠意のこもった声で答える。


「言わなくても分かるでしょ? 当然いくよそれで反ロシアの足取りが掴めるかもしれないから。……政希さんとっくに私達の覚悟はできていますよ」


 政希さんは頭を片手で掻きむしり。


「あぁわかったよ。お前達の覚悟確かに受け取ったぜ。……でもヴェナルド総理そこに当然殺人者やマダロイドがたくさんひしめいていたりしているんですよね?」


「カニェーシナ(もちろん)。何せ場所は無の場所ですから。戦の傷痕が残っている地帯ですからねお気を付けて」


「それじゃみんな早速いくか?」


 なんか動き出すの早すぎる気がする。


 行くとはみんな言ったけれどもすぐに行くとは言っていない。


 まったく政希さんはどれだけ急ぎたいのだろう。


 とヴェナルドさんが。


「政希さん、気持ちはわかりますが急がなくてもいいんですよ。少し休憩してから行かれては?」


「…………それもそうっすね」


 苦笑いするリーダー。


「じゃあお言葉に甘えさせてもらって…………みんな3日後向かうぞ。学校の先生には各自連絡するように」


 補習時間が増えそうな気がするが仕方ないか。


 私はみんなの方を見て様子をうかがう。


「……大丈夫ですよ蒼衣さん。ピンチな時は私達2人がフォローしますからね。だよね恵美」


「オフコース」


「蒼衣、くれぐれも無茶しないでよね。急に倒れられたらこっちが困るんだから」


「言っちゃって、その言葉そっくりそのまま返すよ美咲こそ無茶しないでよね」


「さてとみんなこの3日はゆっくりと体を休めて、任務に取り組もうぜ」


 かくして、ヴェナルドさんに砂漠地帯にあるとみられる謎の基地を偵察するよう任務をもらった。


 どんな敵がこの先待ち受けるかはわからない。


 殺されそうになるかも知れない、倒れそうになるかも知れないでも私達5人がいれば。


 私達は3日後の任務に備えてひとときの休息を取るのであった。

夜分失礼します。

時間があまりなく、今日中に急いで書いてしまおうと思い仕上げて参りました。

深夜テンションでところどころ地の文が少なかったり変な箇所もありますが、そこは多めに見て下さると嬉しいです。

さて都市編はこれにて閉めるとして次回は新章へと突入です。

果たして謎の基地の正体は一体。反ロシアの動きを5人は掴むことは果たしてできるのだろうか。

次回に続く。

ではまた来週お願いしますそれでは。

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