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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第4章【都市部編】
123/139

【掴むべき鍵】

 真夏の酷暑。


 夏休みもあとわずかにさしかかった。


 急な任務も特に入らず私は暇を持て余している。


 街を出歩けば入り交う人々で町通りは埋め尽くされ、人々の騒音で溢れかえる様子がみえる。


 少しは静かにならないのだろうかと常々思うけど、これが普通。


 それでも私は好きな本屋で立ち読みして、時間を有効活用しようと足を踏み入れたりもした。


「へえ。小さい時にお母さんが聞かせてくれた童話の話だけど、大きくなって今一度自分で読んでみると興味がそそられる話ねこれは」


 図書館でとある童話の本を読んでいた。


 それは冥界の邪竜を導かれしある5人が、強大な困難に立ち向かいながらその打倒邪竜を倒し、世界に平和を取り戻すという王道風な話の内容だ。


 実話を題材とされている話であり近年までに世界で一番よく知れ渡り、大人から子供まで大人気の童話で、それは学校の教科書にも載っているくらいの知名度である。


 本当にあった話かの真偽はわからないけど、その点に関しては触れないことにする。


「さてとそろそろ帰るか」


 開いていた本をポンと閉じて、元にあった位置の本棚へと戻す。


 間隣にあった本だから、戻すのにそんなに時間はかからない。


 室内に掲げられていた電波時計をみると正午を回っていた。


 このまま外食で腹ごしらえをすませるのが得策かもしれないけど、今日は気分的にそうじゃない。


 たまには組織のみんなと一緒に食べるのもいいだろう。


「ただいま」


 数十分後、みんなの待つ家に着く。


 ただいまを言い延べて、靴を脱ぐ。


 私がリビングの方をのぞき見ると、黙々と各々の仕事をする仲間の姿があった。


 無口で素早い動作で資料を片付けたり、依頼票をみる後輩。


「………………」


 街の電子地図をひたすら眺め、異常がないか確認するその相方の後輩。


「ふう……」


 頭を掻きむしりながら、事を悩ませているウチのリーダー。


 おや、こちらが一番余裕がなさそう。


「はあ、やべおわらねえ……」


「少し頭でも冷やしたらどうなんです政希さん……それでは美しさも微塵も感じられないですよ」


「うるせえ。というか美咲、お前はただのんきに紅茶をすすっているだけだろ」


 1人おかしい人がいる。


 彼女ならこうしているであろうと思っていた。


 いつもこの様子なんだけどね。


 特にやることがないときはいつもこうして紅茶をすすりながらリラックスしているのだ。


 私がいる時は、「紅茶がなくなったから汲んできて」とか、「家の外に植えてある私の花に水やりでもして」などと正直雑用係を押しつけられてばかりだ。


 お嬢様なのはいたしかたないとはいえ、貴族の人はみんなこんな人ばかりなのかと不安になる一方である。


 ……私は政希さんに『特に気難しいことはやらなくていいから、外出中できれば怪しい動きの1つでもあればその捜査にあたってくれ』と頼まれている。


 ようは見回りの立場。私が政希さんに『難しい機械とか使えないですけど』と言ったらすんなりとこの立場を与えてくれた。


 これを素直に受け入れていいのかあやしいところだけど。


 けれどおかげで楽な役割なせいか気が楽に感じる。


「私はですね、ちゃんとした見張り役ですよ? この上ない仕事をこなしているじゃないですか」

「お前なあ」


 悔しそうな顔で美咲を睨み付ける政希さん。美咲も美咲で少々言い過ぎな感じではあるのだけれどはてさて。


「蒼衣は外出したうえで街の見回りを両立として行っているんだぞ。お前ときたら……。 俺は『礼名と恵美の手伝いをしてくれ』って言ったはずなんだが」


「それに関しては2人は途中から『1人でもう大丈夫なので美咲さんは他に当たって下さい』と言われたんですよね」


 政希さんが「本当か?」と礼名の方へと向く。


 礼名は政希さんの方に顔を合わせると、首をゆっくり縦にに振り。


「…………なんかそうですね大して苦戦するような内容ではなかったんで」


「…………お前もか」


 恵美の方にも向く。


「えぇ。なんか私のところに立たせちゃ悪いかなって」


「くっ」


 観念したせいか政希さんは頭に手を置いて。


「それじゃ美咲、俺の仕事を……」


「…………」


 一滴すする。


 当のお嬢様はこういうのに興味が全くないらしい。


 いや、単に億劫なだけだと思う。


「わかったよ、1人でやるよ」


 美咲にかなわないと悟り彼は続きの作業へと溶け込んだ。


 見張りと見回りでこうも立場が左右するとは。


 もし私が美咲のような性格を持っていたら、あんな態度を政希さんに向けていたのかも知れない。


 いくら私でもあそこまで人を、見下したりするのはしたくないんだけど。


 と切りがいいのでとリビングに顔を出す。


「作業どうです?」


 一斉に私の方を向き。


「お、蒼衣帰っていたのか。……どうだった? なんかあったか」


「いえ、特に何も。……というか相当悪戦しているようにみえるんですけど」


「ふん、そんなわけないじゃないか。これぐらい楽勝だぜ」


 さっき美咲と口喧嘩していたのに、相変わらず堂々としているな政希さん。


 やはりいいところみせたいのかな。……それはとりあえず置いといて。


「……お昼食べません? 長時間やり過ぎはよくないですよ」


 少々の間が空き。


「…………そ、そうだな。よしみんな、とりあえず昼ご飯だ。俺が作り置きしておいた"政希スペシャル"を持ってきてくれ」


 なにそのネーミングセンスもない、自分の名前を適当に付けました的な名前は。


 聞くからにして、いろんなものがたくさん盛られているような気がする。


「ぷ」

「ぷ」

「ぷ」


 3人が鼻で笑った。


 そして礼名が小さな声で笑いそうな声で言った。


「……あ、あの……ま、ま、政希さん。 これ、言うの悪いかも知れませんが…………その名前なんとかならないんですか。……っぷ」


「…………れ、礼名まで…………ってみんな笑うな名前はどうであろうと味はちゃんとしてるからな」


 一体政希さんはどんな名前を料理につけているのだろうか。


 名前のことはさておき味はちゃんとした料理をみんなで美味しく食べた。





「それで蒼衣、夏休み中に任務色々させたけど、なんか反ロシアの動き何かわかったか?」


 食事中に政希さんが聞いてくる。


「いえ、特になにも。……旧東京都に行った時にそれらしき物を見かけましたが、現状関係があるような事は特に収集できなかったですね」


「そうか」


 これといって反ロシアの動きに直結するようなものは特になかった。


 新東京都(まち)にも。いやどこにも何一つ。


 やはり反ロシアは何一つ自らの行動を漏らさないよう隠し通しているのだろうか。


「…………さすが、反ロシアと言ったところですね。彼らの隠蔽工作はお手なものですよ」


「そう思う?」


「礼名は鋭いからねこういうのに」


「……恵美」


 恵美が礼名の方をみて、そう言う。


 でも情報収集を得意とする礼名でも情報を収集できない、反ロシアって一体。


「私も色んな任務やったけど、一切なかったわそういう大がかりな情報は」


 美咲も収穫なかったみたい。


 1人ずつ、近況報告しあうが何一つ有力な情報はなかった。


「美咲はなにか知っているんじゃないの?」


「悪いけど、詳しいところまでの情報は持ってないの。まあ機密に何かをしていたってことだけは聞いた覚えはあるけれど」


 あくまで噂程度の情報しか知らないらしい。


「うーん、まだ手がかりが掴めないままか」


 政希さんは額に手を当て考える。


 うなり声を上げなら模索し始めるのだった。


 だがそこまで彼の思考時間は長くなかった。


「……国内だけじゃ無理かもなこれは。…………一回ロシアに連絡をとって、ヴェナルドさんに聞いてみるか」


 後日、夏休み最終日にロシアに連絡を取ることとなった。


 政希さんは大型電子画面をリビングの壁紙に映し出し、通話の準備をした。


「あとは発信するだけだな」


 政希さんは画面上に表示された発信するボタンを押す。


 すると機械的な電子の呼び出し音が鳴る。


 そして、しばらくして誰かが電話に出る声が聞こえた。


「はい」


 電話に出たのは、ヴェナルドさん…………ではなく、高い麗しい声質をしたそれは女性だった。


 画面上には肩までまでかかった紺色の長髪と、目を細めている白いロシアの軍服をきた女性が映った。


 見た感じ、私より少し若いような感じだけど、その顔立ちが誰かに似ていた。


 うーん誰だろう。


 思い出そうにもぱっと名前がでてこなかった。


 仕方ないので今は置いておく。


「君は? ……ヴェナルドさんはいるかな」


「ヴェナルドさ……首相ですか?」


 今明らかに『ヴェナルドさん』って言おうとしたよね。


 普段はそういうように言われているのかな。


「生憎ですが、今は会議に出ておりまして……あなた様は……政希様の組織ではありませんか。首相がいつも話してくれるので存じております。して……どのような要件で。私でよければ話を伺いますが」


 顔ぶれで察しがついたのかすぐに私達を認知してくれた。


「じゃあ、単刀直入に聞くぞ。反ロシアに関する出どころ情報何かないか?」


 しかし、彼女は少し答えづらそうに口を開き。


「申し訳ありません。私にはそのような情報行き届いていませんので詳しい事はわかりません……」


「そうか悪かったな。じゃあどこか都合が合う日は……」


「でしたらまた我が国に来られませんか? 泊まりがけという形で話の場を設けるというのは?」


 なんとも気配りのいい返答な事。


 唐突に来るように話をつけられるとは到底思えないんだけど。


「俺たち明日から学校なんだが」


「それは心配ございませんよ。ヴェナルド総理がそこは上手い具合に日程を調整してくれますし」


「…………頼めるか?」


「はい喜んで」


 深々と考えを募らせる政希さんだったが、答えはすぐに出した。


「分かりました。それでは日程は後ほど。首相と話がつけられた次第、即ご連絡しますではでは」


「よろしく頼むよ」


 そう言い通話は途切れた。


「…………また行く羽目になっちまったな」


「私は別にいいですよ。それにこの前はゆっくりする暇もありませんでしたし、この機会が一番のチャンスですよ…………ね?」


 正直立て続けの任務に疲れているのもある。


 これを機に一休みでもしよう……なんて。


「ウィンクされてもな…………月神先生に残された宿題まだ残っているんだけど」


 だから頭をさっき抱えていたんだね。


 すると美咲が提案する。


「みんなで片付けましょ」


「問題結構壁が高いぞ?」


 と張り切りだす頼もしい私の仲間達。


 まあ結束力に関しては誰にも負けてないと思う。


「……なんとかなりますよ」


「そうですよ、諦めるのはまだ早いですよ政希さん」


 と握りこぶしを彼に差し出して元気付ける。


「それに政希さん、こういう時こそ仲間同士で助け合うべきなのでは?」


「…………それもそうだな」


 結局この日徹夜で、その宿題を手分けしてみんなと終わらせた。


 そして数週間後に控えた、ヴェナルドさんとの対談を待ち望むのであった。

こんばんはいかがお過ごしでしょうか。

世間今日は節分らしいですが私は構わずひたすら執筆です。

そもそもウチは恵方巻きなんて早々たべることはありませんが。(大人しく普段の食事で済ませました)

スーパーやコンビニ等に出向けば節分節分……と。早く終わらないかなと心の中で呟いていました。まあ単なる他人事ですし、……あでももう少しでバレンタインという心苦しい私にとって苦痛のイベントが後を控えてますね。(どうせ今年も0チョコです)

さて次の次辺りで都市部編は最後にしたいと思います。大方プロットも埋まってきたのでそろそろと思いまして。

まあロシア関係の話が出てこないとこの物語が進行しないのでしかたないですね。汗汗汗

今日通話に出ていた方実は……まだ名前は伏せておきますが、後々明らかに。

一体誰なのか。

もしかしたら伏せんがあるかもです(お楽しみに)

それでは皆さん次回またお願いしますではでは。

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