表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第4章【都市部編】
119/139

【立ち向かう意思の形 その2】

 とあるマンションへとやってきた。


 10階以上はあるであろう高層ビル。外灯が周囲にあちらこちらと建っており、見る限り高そうな物件であった。


 芽依ちゃんの話によれば、ここに待っている友達がいるらしい。


 名前はサキ君という男の子だ。芽依とは仲が良いい関係みたいで、日頃いつも一緒に遊んでいるみたい。


 私は小さい頃、あまり友達と遊んだことはないからいつも遊んでいて飽きはしないのかと思うところはあるのだが。


 でも2人にとって大切な関係なのだとそれだけはわかる。


「ここがそのサキ君が住んでいるマンションみたいだね」


「見た感じ、とても立派なところに住んでおられるみたいですね」


「でもまあこれぐらい普通ね。立派というかごく普通の場所よ」


「そうなんですか?」


「ええ。新東京都に住んでいる人達ってね、こういう高層ビルに住んでいる人が多いのよ。逆にボロボロな家に住んでいる方が不思議って思われるらしいわよ」


 因みに私達が居候している家も一応普通の家に分類されるらしい。正直建物の価値感は良く分からないけど。


「なんか良く分かんないけど、高い家と安っぽい家があるんだね。どれがどうなのかさっぱりだけど」


「そんなことよりも早く向かえにいきましょ」


「ですね。サキ君を迎えに行って、芽依さんに会わせてあげましょう」


 2人はさっさと用事を済ませたいみたいなので、早々にマンションの中へと入っていった。


 マンションに入り、入ってすぐにおいてある住居人のポストを確認する。各ポストには3桁の番号と姓名が書かれているネームプレートが貼られている。


 サキ君の部屋番号は……708番か。


「708番、7階登って左に進めばすぐ行けるみたいよ」


「なら簡単だね」


 自動ドアを潜り抜け、エレベーターに乗り7階まで上る。


 7階に着くと、見晴らしの良い景色が外に広がっていた。まだ昼過ぎのため町の街灯は全然見えないが、夜に景色眺めると風通しが良さそうだ。


 遠くを凝視すると、殺人者本部が薄らと小さく確認できた。これまでに何回か訪れはしたが、立派なあの建物もここからだとその迫力すら感じない。


 未だに殺人者の気になることは沢山あるのだが、今は触れないでおこう。……708は。


 一方通行の道をひたすら真っ直ぐ進むと、708の部屋が見えてきた。ここにサキ君が。


「ここみたいですね」


「それじゃ押すよ」


 ドアの隣にインターホンが付けてあったので、ボタンを押して音を鳴らした。


 ピンポーン。


 少し間を置いて待っていると、中から足音が近づく音が聞こえてきた。


「……こんにちは。どなたですか」


 若々しく幼げな男の子の声だった。


 間もなく目の前のドアが開く。見下ろすとそこには1人の男の子が不安な表情をしながらこちらを見つめていた。


 短髪に短パン、半ズボンとどこでもいそうな男の子の格好だった。少し照れくさいのかドアを壁代わりにして様子をみている。


 この歳の男の子というものは、あまり目上の人とは話したくないのだろうか。でもなにはともあれ要件を話さないと。じゃないと不審者だって思われてしまうよ。


 中腰になって男の子との身長を合わせ話す。


「ええとね、私東城蒼衣。あなたの友達、芽依ちゃんに頼まれてあなたを連れてくるように言われたんだけど……あなたがサキ君?」


 恐る恐る答えるように口を開く。


 別に私達不良でも何でもないんだけどな。まあ自分より背の高い人が3人もいるんじゃ怖く感じるのも無理もないか。


「そ、そうだけど。……知らないおねえちゃん達がどうして芽依ちゃんのこと知っているの」


「偶然さっき私が芽依ちゃんと会ってね、転がってきたボールを返したらついでに頼まれたんだよ。今日、サキ君と遊ぶ約束していたのに中々来ないから迎えに行って欲しいって。だからここまできたんだよ」


 するとサキ君はそれを察するかのように目を丸くした。


「そうか芽依ちゃんが。……もちろん分かっているよ今日遊ぶって事。……でも」


 急にサキ君の表情が険しくなる。すると突然左右をキョロキョロと目で見回す。


「…………」


 それは誰かに狙われているかのような様子だった。落ち着いた感じではない。慌ただしさは感じ取れないが、私には微かに心の焦りが感じ取れた。


 何かあるのだろうか。


「何か訳ありなの?」


「う、うん」


「よかったら私達に話してごらん。私達こう見えても強い殺人者なんだよ」


 サキ君は、一安心したのかため息を漏らした。ようやく少し、こちらを信じてくれたみたい。


「実はね、つい最近このマンションで殺害事件が起きているんだ。一週間前から起きているんだけどね、正体も何もわからないんだ。勿論電話で助けを求めようとしたよ。でも全く繋がらなかった。だから連絡手段もなくなって僕は今日までに怯える日を送ってきたんだ。おまけにお母さんとお父さんも帰ってこないし」


 なるほど、つまりこのマンション何者かに支配されているようなそんな感じか。


 一般家庭にある電話は、無線で電波を飛ばす仕組みを持っている。それで通常は通話したりするんだけど。


「蒼衣さん、恐らく電波を送信したり受信する制御装置に問題があるのでは」


 確か電話機って制御装置で動いているんだっけ。管理人さんがいつもそれを取り締まっていたような。


「問題箇所がそこにあるのなら、まずはそこに向かうべきなんじゃない? でないと謎は解明できないままよ」


「ならそこに行こう。……でも3人で行くのは危険じゃない? サキ君が心配だし。誰が残るの」


 すると2人は首を傾げた。わかりきったことをと言わんばかりの様子をした。


「な、なによ」


「これを引き受けると言い出したのは他でもない蒼衣さんですよね」


「ええあなたが言い出したことよね。だから」


 扇動者が責任を取ってサキ君を守れってことか。なら私が引き受けるしかないねこれは。……わかってはいたけど。


「分かったよ。やればいいんでしょやれば」


「素直でよろしい。こっちは私と礼名ちゃんでやっておくから、あなたはサキ君の護衛をよろしくね」


 そして私はサキ君の護衛をすることになった。


 こういうことは美咲、礼名に軍配があがるような気がするから、2人のどちらかに頼もうとしたんだけど無理だねこれは。





 2人に頼まれたのは2つ。


 それは、殺された人の室内を調べて謎を突き止めるように言われた。


 間違いなくこれは新手の殺人者が関与しているだろうけど、億劫でない相手だと願いたい。


「それでサキ君、その殺人者ってどんな特徴があるの? あと殺された人の人数は」


「うーん、大体10人くらいかな、でもどんな武器を使っている殺人者かはわからないや」


「そっか」


 マンションの外廊下を歩きながらサキ君に聞く。どうやら直接目撃したわけではなく、耳にしたくらいらしい。


 すると怪しい部屋を1つ見つける。閉まっているドアが付いているのにも関わらず、手前には勢いよく飛び散った血の飛沫が露出していた。それは明らかにここで何かがあったような。


「ここでなにがあったの?」


 私の後ろに隠れるサキ君。彼は怯えながら手を震わせていた。


「大丈夫? 怖いなら私の傍を離れちゃだめだよ」


「こ、怖いよ」


力強く彼は私の衣服を握る。それは恐怖そのものをあらわしていた。


「中に入るよ。準備はいい?」


 ドアノブに手をかけ、後ろにいるサキ君に問いかける。


「……怖いけど、入るよ」


「それでこそ男の子だね。大丈夫、いざという時は私が守るから」


 私はそう言いながら扉を開いて中へと入った。


 案の定部屋の中は血まみれだった。


 あたり一面が真っ赤な水たまりの後作っており、部屋中からはとてつもない悪臭が充満していた。


 それは耐えがたい臭いであった。


 出窓の方には壁にもたれている人影があった。しかしその人の首は既になかった。そう首を刎ねられていたのだ。


「……サキ君私の傍を絶対離れないで」


「う、うん」


 もしかしたら既に敵の罠に引っかかっているのかも知れない。いやもしかしたら踊らされている可能性も。


 だとしたら、その殺人者は今どこにいる。どこで私達の行動を観察している。そんな不安な気持ちが脳裏を過った。


 ……死体の手元に、血で何か書いてある。死ぬ直前に残したものだろうか。


 汚くてよく読み取れないが。


「穴、水……滴た」


 そこから先は読み取れない。


「どういう意味?」


 そしてその部屋を出て、各個の違う殺害された人の部屋に入る。くまなく虱潰しに。


 しかし他の部屋は手がかりらしき物はなく、死体だけが各部屋に転がっていた。


「これだけ探しても何も無し。最初の部屋が唯一の手がかりか」


「思い当たるところはこれは全部だけど、何か分かるおねえちゃん」


「うーんそうだねえ」


 と言われても、直ぐさま気になることが出てくることが…………うん? そういえば。


 部屋にあった死体、あの共通点が1つあった。

 

 疑問に思ったこと、ふと違和感を抱いたことだ。


「…………どうして死体はあるのに、刎ねられた首はどこにもないんだろう」


 それは各部屋のどこにも、死体はあるのに死体の頭部はどこにもなかった。……一体どうして。


「確かになかったね。それがどうかしたの?」


 私が考えに思い耽っていると、美咲と礼名からの通話が掛かってくる。


『蒼衣、制御装置のある部屋見つけたわよ』


 一体何がどうなっていたのだろう。


『それがですね、機械が破壊されていました。……それに入るときにですね全く開かなくて』


『苦労したわよ、だってビクともしないんですもの。だから私と礼名ちゃんの力で無理矢理ドアを破壊して、中を確認したら制御装置が破壊されていたってわけ。どうりで電話が繋がらないわけだわ』


 恐らく鍵かなにかが掛かっていたのだろう。


 だがこれでも一向に敵の居場所は分からない。


『それで蒼衣さん、何か分かりましたか?』


『殺害があった部屋には死体が転がっていた。でも死体はあったのに、死体の頭はどこにも見当たらなかったの』


『…………どういうことでしょう。……取り敢えず合流しましょうか。蒼衣さんそこでま……………………』


 パリン。


 何かが反射してマダラースコープが破壊された。直ぐさま目で追おうとしたが、早すぎるあまりか目視することはできなかった。


「なっ」


「おねえちゃん!」


「大丈夫、ただのかすり傷だから」


 通信手段を妨害してくるなんて何者?


「おやおや、過敏反応できるとは、とんでもない殺人者がいるものだ」


 部屋から見知らぬ男の声が木霊してきた。

皆さんこんばんは。寒い日が続いていますね。

それと明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

最近ペース落とし気味ですが、今年は頑張って書いていきます。

いや今年こそはペースを落とさずに頑張って書き続け、自分なりのペースで仕上げられればいいと思っています(遅くならない程度に)

実はここだけの話、現状このシリーズの一世代の話を今書いているんですよ。

キャラ設定だとか、名前をどうしようだとか、色々と悪戦苦闘を強いられながら今書いております。

ならなんで6から書き始めたって話なんですけどもね、中間区分の話なんですよこのシリーズ。なので最初6を途中まで書いてそれから1~5シリーズを書いていこうかなと考えていましたが、ところがどっこいでなんか理解に苦しくなりそうな傾向だと感じたので1を書き始めることにしました。

いつ出せるかはまだ未定ですが、出せるようになったら近々報告したいと思います。

話が脱線しましたが、そういうわけで今年の目標は小説の更新頻度を積極的に上げていく所存です。あと、シリーズを綺麗にまとめていくというのが今年というか、今後の課題ですね。

なので、よろしければ応援のほどよろしくお願いします。

さて、次またお会いしましょう。ではでは~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ