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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第4章【都市部編】
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【立ち向かう意思の形 その1】

 行くあてもなく、私達は時間つぶしに町中を歩いていた。


 でも一行に行きたい場所はなかなか定まらない。


 現在の時刻は10時。少し休もうと近くにあった喫茶店で一休みすることにした。


 チャリン。


 扉を開けると、ベルの音がなると同時に視線を前に向けると、洋風で穏やかな雰囲気が広がる喫茶店が広がっていた。


 カウンターには長いテーブルが置かれており、その列には丸いお客さんが腰を掛けるであろう丸い椅子がずらりと並んでいた。


 空を仰げばシャンデリアとゆっくりと回るプロペラが付いている。あれはたしかシーリングファンというものだったような。下の床には丸いテーブルと椅子が何カ所か置かれており、時間を持て余したお客さん達は楽しそうに、紅茶やコーヒーを啜ったり、お菓子などを口に運びながらご機嫌そうに会話をしている。


「ご注文はなににされますか?」


 ウェイトレスさんにテーブルに案内され、私達は椅子に腰掛けた。


 テーブルに置いてあるメニュー表を卓上に広げ、注文を眺めながら決める。


 たいした物はないのだが、どれも高いメニューばかりだった。一通りメニューをみたのだが、どれも4桁数値のいくものしかなかった。しかしそれは固形物限定であった。飲み物の一覧をみると、3桁の物も一部ある。中に4桁以上の値段が張るものもみえたりもしたが、私はそれに関して見なかったことにした。


 ここは普通な物を選んで。


「じゃあ紅茶で」


「私は麦茶でいいです」


「なら私はこのロイヤルブラッドローズティーを」


 私は紅茶、礼名は麦茶、美咲はロイヤルブラッドローズティーを選んだ。


 ……うん。ちょっと待った。美咲が凡人は決して頼まなそうな名前をした飲み物を頼んだような。


「じゃあそれでお願いしま……って」


 私はお願いしますと言う前に、その美咲の注文した『ロイヤルブラッドローズティー』に目がとまった。


 『ロイヤルブラッドローズティー ¥3900』


 ……あのなんか凄い物を注文しているんですが。


 案の定それは非常に高価なものであった。


 「ちょっと美咲! あの店員さん……って」


「分かりました。それでは少々お待ちください」


 ウェイトレスさんに声をかけ、注文を取り消そうとしたが時はすでに遅かった。


 美咲はどうしたんだと目を丸くしながらこちらを見つめる。


「なんか変な注文しちゃった? 普通に好きなもの注文したんだけど」


 これだから金持ちのお嬢様は。


 世間知らずの美咲が値段の高い低いの区別も付けられないのだろうか。 


 改めて再認識する。富豪人は末恐ろしい存在であると。


「いい美咲。一般人にこの値段の紅茶は高すぎるわ。今すぐ取り消して別のものにして」


 そして横でこくりと首肯する礼名。


「……はあ普通って難しいわね。分かったわそれじゃあなたと同じ紅茶でいいわよ」


 と肩をすくめる美咲。


 結局、再度ウェイトレスさんを呼んで、先ほど美咲が頼んだとても高い紅茶は取り消してもらい、美咲は私と同じ普通の紅茶を頼んだ。




 軽く紅茶を飲み始めてから10分ほどが経過した。


「それでどこ行くの」


 一滴飲んで聞いてくる美咲。


 でもさすがお嬢様と言ったところだろうか。飲み方がどこをどう見ても貴族っぽい飲み方なのだ。微動だにせず、目を瞑りながら紅茶を口に運ぶ。それは1枚絵にでもなりそうな風貌だった。


 とてもじゃないが、私には見様見真似でもできなさそうな領域だ。


「うーん」


「どうしたんですか? 深刻そうな顔なんかして」


 色々考え事をしていたら礼名が声をかけてきた。


 美咲のこと、まだ気になること沢山あるけど、今考えていてもしょうがないか。


「ううん、なんでもない。この間の任務の疲れが残っているだけ」


「蒼衣、ちゃんと疲れは取りなさいよ。夜更かしは女性の天敵よ。じゃないと私のようにはなれないわよ」


 ムカ。


 いつも思うんだけど、なんで美咲はこうも上から目線のだろう。偉そうなことばかり口走る所がまた若干腹が立つんだけど。


 私は怖い笑顔を作りながら、美咲に対抗しようと試みた。


「全然大丈夫よ~。ちゃんと疲れは取ってるから安心なさいませ美咲お嬢様」


 するとそのふざけた言動に釣られるように。


「蒼衣ふざけてるの? いくらあなたでもそんなことまたするなら容赦しないけど」


 当のお嬢様は軽蔑されたせいか多少苛立ちを見せ、怖い笑顔を作る。


 ……なんなんだろうこのどうでも良い戦いは。


「お二人共、ふざけないで静かにしてください」


 私と美咲がくだらない張り合いをしていると、礼名が間に入って戦いを終息させた。


 思わず私達は黙りとして、礼名に頭上がらず露骨に答える。

「は、はい」

「え、ええ」








  店を出て、路上を歩いていた。地図を3人でみていると近くに小さな公園があったのでそこに達寄ることにした。


「ふーんこんな所に公園があるなんてね。でも言い公園じゃない?」


 中心には大きな噴水が湧き上がっており、両隣には芝生や木々が設備されていた。


「前からある公園らしいです。子供達に大変人気がある場所らしいですよ」


 私は公園であまり遊んだことないんだけど、ここは子供にとって心地よい場所なのかな。


「芝生で転がって大の字に体を広げれば、気持ちよさそうだね」


「やってみれば?」


 美咲は空気読まずそんなこと言ってきた。


「やらないよ恥ずかしいし」


「そっか。それは残念ね」


 一体彼女は私に何を期待していたのだろう。


「? 蒼衣あれ……」


 前からボールが転がってきた。ゆっくりコロコロと私達の方へと。


 私にはそのボールが何処か誘って導いているかのようにもみえた。


 一体どこから?


 私がそのボールを拾い上げると、1人の少女が近づいてきた。


 セミロングの髪に、白いTシャツと学校によくありそうな黒いスカートを着た少女が。


「これはあなたのボール?」


「うんそうだよ、青髪のおねーちゃんありがと」


「はい、どうぞ」


 私はその少女にボールを手渡して返した。


「こんな所で何していたの?」


「"人"を待ってたの。私にとって大切な大切な人だよ」


 大切な人か。


「お嬢ちゃん、人を待つのはいいけどあまり人様に迷惑になるようなことはやっちゃだめよ」


 美咲は注意を示すかのように少女に言う。


「大丈夫だよ、平気平気」


 一体何の為注意したのやら。子供に安全保険でも付けたつもりなのだろうか。


「それよりお姉ちゃん達今暇?」


「暇……だけどどうしたの?」


「もしよかったらその私の大切な人……私の友達を探してきてくれない? 本当なら集合時間が今から1時間前だったんだけど全然来なくて」


「連絡……とかつかないの?」


「試してみたけど全然ダメだったよ。家にも行ったんだけど全員留守で」


 どういうことだろうか。この少女に何か引っかかる(ふし)がある。


 私は2人の方を見て相槌を打った。


「分かったよお姉ちゃん達があなたの友達を連れてきてあげる。それまでここで待っていて」


 もしかしたら危険な目に遭うかもしれない。これはその為の保険だ。


「うん分かった。私莢槻 芽依(さやつきめい)、それじゃよろしくね」


「でも1つでも危険と感じる事があればすぐに帰ってね。いい?」


「分かったよおねーちゃん」


 私は後ろにいる2人の方を振り返り歩き出すと。


「いいんですか? こういうの引き受けて。危険な橋渡るようなものですよ」


「あなたがそうしたいなら私は一切とめないわ。でも自己判断はよく考えてから行いなさい」


「危険な事があるかも知れない……それでもこの子をこのまま放っておくことなんて私にはできない」


「蒼衣」

「蒼衣さん」


「それに政希さんならこういうこと迷わず引き受けるでしょ? そうは思わない?」


「……」

「……」


 2人は少し間を空けてから、口を歪ませて答える。


「仕方ないですね。なら付き合ってあげますよ、その蒼衣さんの優しさに肖って」


「あなたならそういうと思ったわ。なら行こうかしらその場所へ」


「ありがとう2人共。じゃあ行こう。芽依の友達が居る場所へ」


 なにかとても嫌な予感を感じる――――。

久々の更新です。皆さんこんばんは。

今日で今年最後の日になりましたが、皆さんどうお過ごしでしょうか。

私は寒さにより中々指が早く動かず、今でも手元がブルブルと震えております。

こちらの講師遅れしてしまいましたが、中々ネタが思い浮かばずに時間を置いていたら年末に。「うわ、やばい。今年今日が最後だし、最後ぐらい1つ出してしまおう」という勢いで至急仕上げて参りました。

さて次回の流れは大方脳内で仕上がってはおりますが、上手く文にまとめられるかどうかが不安です。ですが頑張って書きます。はい。

これからも引き続き書いていきますので、いつも見てくださっている皆様応援の都度よろしくお願いします。それと今年も読んでくださりありがとうございました。来年度もよろしくお願いします。

それでは皆様良いお年を。(手が寒すぎて中々早く打てないです)

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