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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第4章【都市部編】
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【過ぎ去った街の後に】

 7月半ばに入った。


 新東京都に帰った私は、そのままみんなの待つ家へと帰りなんとか帰宅したのだが、疲労のせいかその日は帰ったらすぐその場で倒れ込み眠りについてしまった。


 帰り道で色々と混雑していた為遅くなってしまった。その結果家に帰ることができたのは丁度9時だった。


 今日の朝目覚めると、何故か自室で目覚めたのだが大方検討はついた。


 ベッドのすぐ横に手紙の巻かれたバラが置いてありそれを広げて読むと。


『部屋まで運んであげたわよ。あまり無茶するんじゃないわよ』


 書き方からして美咲だろう。こんな言い方するのは彼女他ならない。


「まったくお疲れって普通にかけばいいのに」


 ドアが開いて誰かが挨拶してくる。


「あ、蒼衣おはよう」


 挨拶しに入ってきたのは美咲だった。


 早朝だというのにいつもの平然な素顔を私に向けて喋る。


「どう調子は? 急に倒れていたものだから慌ててあなたを運んだのよ。……どうしたらそんな疲労で倒れるほどまで動けるのかしら」


「まあ色々あったんだよ。敵が結構強くてさ倒すのに手間がかかっちゃって」


「あなたのことだからその後すぐ倒したのでしょう? ……朝食はもうできているから早く蒼衣も来なさい待ってるわ」


 実のところ1人で倒したわけじゃないんだけどね。


「わかったわかったすぐ行くよ」


 美咲はそう言うと部屋を出て行った。


 なんのために私のところへ出向いたのか。彼女なりの生命確認なのだろうか。


 心配してくれるのはとても嬉しいけど。


「まあ久々にみんなとご飯だし、早く下に降りようと」


 お腹が空いて、今にでも食を満たしたい気持ちで一杯なので、早々にリビングへと向かうのだった。





~朝食後~


 朝食を済ませた後、政希さんと礼名がこちらに近づいてきた。


 恐らく任務の結果報告だろう。


「そうだ蒼衣、今回の旧東京都の任務はどうだった?」


 やっぱり。


 そんな気はしていたけど、起きてすぐにこんなこと聞いてくるなんて余程結果が気になるみたい。


 とりあえず、戦ったマダロイドのことを話すか。


「旧タイプのマダロイドが旧東京都の人々を殺していました。……ミスチという機体です。いくつか改修されていましたが、手強い相手でしたよあれは」


「ミスチ……。旧タイプのマダロイドですか。前の戦いでロシア残党が使っていた量産機の1体ですが一体何者の仕業で?」


「分からない。結局誰がやったのかそこの足取りは結局掴めなかったし」


「ふむふむ」


「ミスチか。懐かしい機体だな。旧東京都には稀に旧タイプが転がり込んでいるって聞くが」


 政希さんは前の戦いに出ていたんだっけ。


「でも再生機能を搭載してましたよ。何とか倒すことはできましたが」


「再生機能か。あれは最新の装置のはずだがひょっとすると……」


「反ロシア絡みですかね……政希さん」


礼名が話に対してそう言うと、政希さんは1回頷く。


「あり得そうだな、蒼衣これからもこんな任務を受けることになるかも知れない。反ロシアの動きに注意しつつ、任務をこなしていってくれ」


「了解です」


 正直これからも、あんな強敵達との連戦が控えているということを考えると先が思いやられてくる。


 マダロイドだけではない、それは殺人者も同様。もしかしたら私にも手が負えない敵だって出てくるか知れない。だとすると。


「常に1人で戦うということは非常に危険そうですね。……出歩く際は常に誰かと一緒に行くというのはどうでしょうか」


 連れさえいれば、何かと私の不足部分を補う、いわゆるサポートしてくれるはずだ。


 でも問題はみんなの予定が合うかが重要だけど。


「俺は役不足だぜ? だってXウェポンが不完全だからな。だとするとほかのみんなに頼んだ方がいいと思うが」


 政希さんはXウェポンがまだ不十分。指示を出すぐらいが精一杯だし、戦力になるとは言い切れないね。


「でも、政希さんなら生身でも十分戦っていけるようなイメージですけど」


「お前は俺を飼い主が飼っている犬か何かだと考えているのか? いいか人を勝手に自滅させるような事を言うな」


 彼は悩ましい顔で答えてきた。冗談で言ったんだけど言い過ぎたかな。


「……私は行ける時は、行けますけど」


 礼名はムードメーカー的なポジションだから、できればいつも傍にいてほしいんだけど。


「そうですね……恵美と役を交代しながらすると可能かも知れません」


「そこは心配いらない。最近礼名が着ているワッペン型の発信器が、改良されて外出先で仕事が行える機能が付いたし」


 直訳すると外出先でも仕事を行えるようになったということか。というか前から思ったけど礼名の服だけ特別な感じがする。


 礼名の制服に付いているワッペン型の発信器は、昔、マダラースコープがない時代、格上の者だけが持てた品物なんだとか。これもどうやら旧式タイプのものらしい。


 因みに旧式タイプというのは、昔使われていたもの(マダロイド、Xウェポン、機器)を指す言葉。


 例えば100年前使用されていた品物は、殺人者の中では旧タイプと呼称する。


 つまり昔使われていたものの呼び名だ。


 そしてこのワッペン型の発信器は、今から約500年前の物らしい。


 何故それが政希さんの手にあるのかというと、政希さんの姉が上官から譲り受けたものらしい。


 なぜもらったのかは政希さん本人も分からないらしいけど。


「旧タイプでも未だに改良され続けているんですね」


「まあなでもほかの物もよく見るぞ。旧タイプの物を開発部に送って最新の機器に改造してもらっているって話。この間俺はそうしたんだが」


「……あぁだからこの前この発信器貸してくれなんて言ってきたんですか」


「そうなるな。で結果的に戦力の足しに多少なった感じかな。わからないけど」


 たとえ昔作られた物でもなにかしらの形で再利用する。それが政希さんの考え方らしい。


 そのまま捨てるなんて勿体ない、なんて考えをしているだけかもしれないが。


「とりあえずお礼を言っておきます。ありがとうございます」


「いやたいしたことはねえよ。だからこれからは自由に外出してもいいぞ。それで蒼衣達をサポートしてやってくれ」


「承知しました」


「それじゃ俺部屋戻るから」


「なんでですか。一緒に行けばいいのに。礼名はいつでもいるような物ですよ」


「蒼衣さん実は……」


 すると政希さんは急に大声で言葉をかき消すように叫ぶ。


「だあああああああッ! なっなっな……なんでもない! なんでもないったらなんでもない!」


 怪しいなあ。


「な、なんだその目は? ……わ、分かったよ言うよ」


 隠し事を疑うような目線で、政希さんをにらみつけると、彼は不味い感じがしたのか結局その場で訳を言い晒した。


「宿題がめっちゃ溜まっているんだよ。それで今急ぎなんだ」


 ただの宿題サボりの理由でした。


「ちゃんと宿題はやりましょうね」


「はい、やります」


 私が怖い笑顔でそう言うと、彼は怯えながら早々にその場を去っていた。


「礼名、政希さんっていつもあんな感じだっけ」


「……そういえばこんなこと言っていましたよ。補習で疲れ切った体を癒やした結果、夏休みの宿題が山ほど溜まってしまったって」


「…………ちゃんと勉強はするべきだね、あはは……」


 政希さんの本格的な休みはまだ先の話になりそうだ。 





「それで礼名今日一緒に行く?」


「もちろん大丈夫ですよ」


 すると偶然通りかかった美咲が。


「あら、あなた達出かけるの? 私も混ぜてくれない」


 どうやらお嬢様もずっと家にいるのは退屈になるそうだ。


「行く当て全然決めてないけど」


「大丈夫よぶらぶら歩くなり、あなたがどこかで遊ぼうが私はついていくわ」


「私は全然賛成ですよ、それに蒼衣さん。彼女なら」


「分かったよ。今日は3人で出ようか」


 多少苦い顔をしながらも、私達は外へと赴くのであった。




「それで美咲、あなた出歩いて問題ないの? 一応お嬢様なんでしょ」


 すると美咲はクスと笑い。


「私の顔を覚えている人は少ないと思うわよ。だから他の人の目にとまることはまずないわ」


「……戦いに巻き込まれたらちゃんと加勢してよ?」


 すると美咲は答える。


「なあに任せて起きなさい。私はあなたの素晴らしい親友なのだから」



なんとか今日中に仕上げることができました。と言っても暑すぎるあまりに少々文が変になっていますが、そこは暖かい目で見守ってくれるとありがたいです。後日訂正はちゃんと行うので。

旧タイプという言葉が出てきましたが、改めて説明するとこの世界でいう中古品みたいな物です。

最初に書いた話の中で、『メタラリア』という武器が会話中登場しましたがあれも旧タイプの部類に入りますね。

今回は、蒼衣が新東京都に帰った後の話を描きましたが、次回はまた新しい殺人者を登場させる予定です。

少し、帰ったばかりの蒼衣を働かせるのは可哀想な気もしますが、そこは許してね蒼衣ちゃん。


次回のタイトルは

【連鎖する悲劇】


――たとえ過酷な世界でも、絶対生き抜いていてみせる。


それでは!

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