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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【両親の願い その2】

誤字等含むかも知れません。

長机に座っている私達4人。


話に誘ってはみたものの、何か喋りづらい様子。


 私の向かえに座っている美咲は、先ほどから気難しそうな表情を浮かべながら、何を最初に切り出そうか迷っている顔をしていた。


 そんなに無理しなくてもいいのにと、首を突っ込みたくなる気持ちは山々なのだが美咲の尺に障りそうなので、敢えて言わないことにした。


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


 沈黙する状態が続く。誰が最初にしゃべり出すか見物ではある。うーんでもこの状況は。……私も何か話したいことはあるかと尋ねられればすぐに首を縦に振られない。


 考え込んでいると、由美さんがその場の席を立ち――――。


「皆さん落ち着きない感じですね。でしたら私皆さん分の紅茶入れてきますね」


 そう言いながら由美さんは、一旦部屋から姿を消すと暫くするとお盆を片手に乗せながらこちらへと向かってくる。


 お盆に乗っていたティーカップを1つずつ配ると椅子を引いて再び席に着いた。


 ティーカップの数は私達分の数ある。即ち4つが私達の前に配られた。……中に入っているのは茶色みた液体。普通の紅茶だろうか。だが感じ的に一般的に飲まれる紅茶と少し違うように思えた。


 なんというかリッチ過ぎるような、でも富豪な人にとってこれはごく普通の品物かも知れない。


 それぞれ一口紅茶を同時にすすると。


「ひとまず落ち着かれた感じですかね、美咲お嬢様もそうですけど、瑛一様や蒼衣様も随分疲れた様子をしているように見えましたが」


 由美さん以外ビクッと反応する。


 どうやら皆疲れているのは一緒らしい。でも由美さん意外と見た目とは裏腹にとても鋭い。


「由美さんお気遣い感謝しますが、この瑛一まだまだ動けますぞ」


「そうですか。これはこれは……失礼しました」


 瑛一さんの言葉口を隠しながらうふふと笑う由美さん。その微笑みはアイドルにも引けを取らないくらいの笑顔だった。


「……私が居ない間に随分と表情が豊かになったわね」


 困惑した様子を見せる美咲は、眉をひそめながら言う。


「え、由美さんって元々こんな朗らかなせいかくじゃなかったの?」


「蒼衣、正直私も驚いているわ。瑛一は前と変わらないんだけど、由美に至っては……明るすぎなのよ」


「すみません、お嬢様。元気に毎日振る舞っていたらこんな感じに」


 由美さんは申し訳なさそうに頭を下げた。


「いや、そこまでしなくていいから。寧ろ嬉しいくらいよ」


 美咲は焦りながら喋る。


「ふむ、ですがお二方が無事で安心しました。由美さんが戻られてからお二人方のことを聞いて心配で心配でなかなか寝付けませんでした」


 瑛一さんって結構心配性だったりするのかな。


「私も美咲お嬢様から言われて帰った後、心配で仕方ありませんでした」


「二人とも私達のこと、とても心配だったんですね。あはは」


「当然ですとも。特に蒼衣さんにはとても感謝しています」


「瑛一、無理して頭下げなくても……」


 申し分ない様子で頭を下ろす瑛一さん。


 でもこれと言って私はそんなに目立つようなことは、あまりしていない。


 どちらかというと、礼名が率先して指揮をとってくれたんだけど。でも折角頭下げてくれているんだし、ここはその素直な気持ちを受け取っておこう。


「ですが美咲お嬢様、一緒に居られたその柚木礼名様は一緒にいらしていないのですね。できれば一緒にお食事でもしたかったのですが」


 由美さんごめんなさい。実は私のせいなんです。……帰ったら一言礼名に謝っておこう。


 正直なことを言うと私も今の由美さんと同じ気持ちだ。


「すみません由美さん。礼名には帰ったら土産話として伝えておきますので」


 取り敢えずはこれでいいのかな。


「そろそろ話戻す……わよ。二人ともここをよく守ってくれたわね。本当に…………無事でよかった」


 美咲は一瞬だけ視線を落としながら口にする。美咲の中では申し訳ない気持ちが沢山なのだろうか。細めた視線の先からそんな感じがする。


「私はね、大切な人また失っちゃったけどね、それでもここまで生きて帰ってこれた。共に戦ってくれた隣にいる仲間とね」


 目を瞑りながら苦笑いし眉をひそめる美咲。その目からは涙が彼女の頬を伝ってテーブルの上に僅かに滴る。


「悲しいからかしら。それともまだ実感が持てないのかしら……。喋る度に声がかすれて……」


 必死に涙を堪えながら喋り続ける、その彼女の逞しい姿は偉大だと思った。気に留めようと瑛一さんが喋ろうとするが由美さんはそれを止めた。その由美さんの目は先ほどの可愛らしい視線ではなく、とても真剣な眼差しだった。


「私は皆と一緒に戦っていく中、分かったことがあるの。人は決して一人じゃないって。必ず傍には私の背中を押してくれる頼もしい仲間が居るということを。……それで私は戦いの中、気づかされたかも知れないわ。その仲間の優しさにね。……。そして気づいたの。これが"仲間"なんだってね」


 津々とした、勇ましいその美咲の決意の込もったその視線は、確信の持った目線だった。ぶれも感じさせず敢えて言うのなら、勇ましい精神力をその視線から感じた。


「…………変だったかしら、私」


 美咲が首を傾げると、それを聞いた二人は満足そうに、笑みを浮かべながら拍手をする。


「由美、瑛一?」


「私は信じていましたよ美咲お嬢様。必ず私達の元へ帰ってきて元気な姿をまた見せてくれるということを」


「お嬢様、誰も貴女様を恨んでいる方はおりませんよ。何故なら今のお嬢様にはあなたを元気付けてくれる頼もしい仲間がいるじゃないですか」


「二人とも……でも私、二人を……二人にこんな苦労をかけて……」


「大丈夫ですよ、瑛一様が言ったじゃないですか……『誰も貴女を恨んでなんかいない』って。日が何日経っても、私達は全て受け入れます。…………寧ろとても会いたかったくらいですよ」


 そう言うと、二人は席を立ち、美咲の方に寄ると優しく彼女を抱きしめた。


 嗚咽しながら、美咲は目を瞑り嬉しそうに――――。


「ありがとう2人とも」


 長い間、留守にしていたそのとある屋敷の主の娘が、苦悩を乗り越えて、ようやく華崎邸へ帰ってきた。




















 お風呂から上がったあと私は再びあの大間に招かれ、そのまま夕食を頂くことになった。


 お風呂は言われるがままに、勧められ結局入ってしまい、夕飯もそのままのノリで流されるままに頂くことになった。


 食事に私は美咲と一緒に大間に喋りながら向かっていた。すると――――――。


 マダラースコープが鳴り出す。慌てて起動させて開くと一通の着信が来ている。宛ては……政希さんだった。案の定こんなにも時間がかかる買い物なんてない。


 いよいよまずいなと感じた私は――――――。


「ごめん、美咲先に行っていて」


「……そう、なら先行っているわね」


 文句の1つも無しに華麗に先に行った。


 そして画面上に表示された電話のマークをタッチする。


 するとなじみ深くなった、ウチのリーダーが寂しそうな顔が、開始早々映り込んだ。


『よう蒼衣。元気だったか? ……たくこんな時間までかかる買い物がどこにあるんだよ』


「すみません。買い物っていうは嘘です。本当は」


『礼名の顔見るからして、あまり察しがつかなかったが、お前殺人者とまた戦ったのか?』


「…………はい」


『お前がどんな状況に追われたかは知らない。でもその顔を見るからして………………誰かの為に力を貸したって顔だな』


「ッ!」


 顔に何か書いてあるのだろうか。


『ったくお前のその頑張りを少しは見習わなくちゃな』


「あまり咎めないんですね。政希さんのくせに」


『く……くせってなんだよ。……でも少なくともお前は優しい女の子だ。誰かの為に仲間に手を貸すそんなとても優しいやつだ。……だからお前のことは疑わないし、怒らない。生きているってことはやり遂げたって証拠だな。でも早く帰って来いよみんな待っているから』


 彼は目を瞑りながら私に淡々と言う。こういう時に限ってこの人は別人みたいに変貌する。普段はひ弱な人がだ。そんな政希さんでも悪くないと私は思う。


 この人の優しさは異常なほどの優しさだから。


「でも今日は帰れそうにないです。人の家に泊まることになって」


『そうか、でも明日には帰ってくるだろ。その時は奢りでなんか買ってやるよ』


 不安そうな顔をしながらも素直にその私の言葉を受け止めて、開き直ったかの様子を見せながら、笑みを浮かべた。


 ……奢りか。私が今無性に欲しいもの。……そんなの決まっているじゃないか。


「ポリキーがいいです。えぇ……勿論拒否権なんてありませんよ?」


『ほんとお前あの菓子好きだな。……でも分かった買ってやるよそれじゃあな』


 そう告げると通信が切れ、通話が終了した。



































 美咲の後を追いかけ、大間前の扉を開ける。


 中へ入ると、長いテーブルに沢山の料理が陳列されていた。回りにはここで働いているト見られるメイドさん達が並べられた料理を取りながら楽しく談笑している。先ほどとは比べものにならないくらいに周りから賑わいの声があがっていた。


「お嬢様が帰ってきてとても嬉しいです」


「私も……というかこれからとても忙しくなるんじゃないですか?」


「立派になられましたねお嬢様」


 と美咲に対する褒めの言葉ばかりだった。


 前の方へと足を運ぶと先ほどの席に、美咲達が座り既に食べている真っ最中だった。


 こちらの視線に気づいた美咲はこちらの方を振り向いて、ふと鼻で笑い私に話しかけてきた。 


「あら遅かったわね、蒼衣いいわけに随分と時間がかかったのかしら?」


「いやそんなことはないよ。ただ話が長引いただけだし」


「まあまあ蒼衣さん。立っているのも何ですから腰に掛けて夕食でもご一緒に」


「私も蒼衣様と一緒にお食事したいです」


 あとで聞いたのだが、これは全て由美さんが全て作ったらしい。お風呂に入っている最中に全て1人で。


 私は由美さんの凄みに驚愕を覚えた。露骨なことを言うと、ここまでちゃんとできるくらいなら由美さんをウチで雇いたい。


 そうして言われるがままに、そのまま私も間に混ざって無我夢中に食べ続けた。


 そしてメイドさん達との食事会が終わった頃。


「これは?」


 美咲に手渡された一通の手紙そしてDVD。なんの映像だろうか。


 手紙の内容も気になるが。


「ご自身の目で確認してはどうですか。美咲お嬢様にとって一番大切な物ですよ」


「? 取り敢えず手紙から読んでみるわね」


 美咲はその手紙を目で追いながら読み始める。


『拝啓 私の大切な自慢の娘へ。この手紙を読んでいると言うことは私達はこの世にもういないでしょう。これはあなたの元からたつ前に瑛一に予め渡したものです。美咲、大切な人はできましたか? きっと素晴らしい仲間ができたんですよね? この手紙は瑛一にあなたに友ができたら渡すよう言い残し託した大切な手紙です。あなたが今どれだけの苦しんでいるのか残念ながら分かりません。でも今の美咲には私のような頼れる友が居ると思います。苦しんでいるのなら、その人を頼りなさい。そうすればきっとあなたの心の支えになってくれるはずです。美咲生きていれば辛いことは沢山あります。当然出会いも別れも。ですが母さん、そして父さんはあなたをいつまでもずっと貴女の心の中で応援していますよ。こんな情けないお母さんでごめんなさい。最後に1つ。今までありがとう美咲。できればもっと一緒に居たかった。 母より』


「これは? ……母さんの手紙?」


 母の遺言状を読んだ美咲は、最後に残されたDVDを由美さんにDVDレコーダーとテレビを持ってこさせるとそれをデッキの中に入れて映像を再生させる。


 そこには――――――。


「母さん? それに父さん?」


『『美咲』』


 映像には左に美人な美咲の母と思われる女性が椅子に腰掛け、その横には美咲の父とみられる男性が座っていた。


 最初に美咲の父が語りを始める。


『美咲。父さんだ。本当にこんな形で申し訳ない。正直今のお前を見られないのが少し悔いがある。でも父さんは思うんだ。お前が立派な殺人者になってくれるということを。だから前を向いて仲間と共に道を歩け。美咲。私からは以上だ。これでいいのか?』


『それでいいですよあなた。でもそんな気難しい顔を未来の美咲が見たらまた泣いてしまうんじゃないですか? ……まあいいですよ。大事なのは想いですからね』


 すると美咲の母が、美咲に向けた言葉を語り始めた。


『美咲、私達はあなたが一番大切だと思っています。今もそれとこれからも。きっとあなたは私達がいなくてとても悲しんでいると思います。でも美咲先ほどの手紙にも書いたはずです。その人を頼りなさいって。会えなくなるのは悲しいことです。でも完全に消えるわけではないです。あなたとは心と心で繋がっているようなそんな感じがして。……美咲明るい未来を仲間と共に築き上げなさい。信じていますよ。何故ならあなたをずっと愛していますから。……私達は』


 映像が切れ画面が真っ暗になった。


 すると美咲はすすり泣きながら。


「母様……父様……うぅ」


「美咲お嬢様、旦那様と奥様は美咲お嬢様を悲しませないためにこれを残したんです。大切な人……つまりそこにおられる蒼衣さんこそあなたの頼りがいのある友なのではないですか?」


「お嬢様。本当はいままでこれをお渡ししたかったのです。ですが決してその日が来るまで渡すなと言われていまして。すみません」


「……ううん。ありがとうでも嬉しいの。久々にあの優しい声が聞けて。そして決めたわ。私は殺人者としてここでずっと戦い続けるって。……蒼衣と一緒にね」


「美咲」


 どうやらあの両親の残した物は、彼女を前向きにさせる薬となったようだ。


「今日はもう遅いです。寝ましょう美咲お嬢様。……瑛一様美咲お嬢様は私が自室へ連れて行きますね」


「お願いします」


 私と美咲は由美さんに案内され、美咲の部屋に連れて行かれた。そこは大きなガラス張りが特徴的な部屋で下には高価な絨毯が敷いてあり、向こうには大きなベッドが置いてあった。正にお嬢様って感じ。


「蒼衣さん。……お嬢様はもう寝られたみたいですね。それではおやすみなさい」


「あの、由美さん」


 部屋を出て行こうとする由美さんを呼び止める。


「由美さんはなんでそんなに明るく振る舞えるんですか?」


「理由は簡単ですよ。美咲お嬢様が大好きですから」


 そう言うとドアを開けて出て行く。


 ……2人ベッドで寝る私達。


 私は美咲の視線をジーと見つめた。


 次第に私は美咲との距離を詰めて――――。


「美咲1人なんかにしないよ。だって私達はかけがえのない仲間だから」


 私はそのままそっと目を閉じた。

こんばんは。少し多めに書いてみましたがいかがだったでしょうか。描写につまずく場面もありましたがなんとか仕上げられたという感じです。

これから少し文字数増やしていくかも知れません。理由は一つ一つの話が長引いてラグが付いてしまうため。それでも短く終わらせられるものなら短く書くかも知れませんが。

少しは進んだような気がしますがまだまだという感じです。

先駆者の書かれたライトノベル等を読みながら日々語彙力強化中なので試行錯誤の上色んな言葉を組み合わせながら文法を研究しています。

今日はここまでとなりますが、また読んで下さると嬉しいです。それでは。

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