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Murder World VI.Generation  作者: 萌えがみ☆
第3章【戦火に舞う薔薇】
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【私の思い描く美学】

遅れましたがようやくの投稿です。

誤字や矛盾もありかも知れませんが何卒よろしくお願いします

 風が私の横を直通し過ぎ去っていく。その風はまるで話の終始を表すような感じがした。


 人が進む道は決して一本道ではない。そのことそれぐらい重々承知だ。


 彼女の追憶を聞いてみて思ったことそれは避けたくても避けられない道だったのだろう。


 美咲は残された家族を守るために最善の選択をしたのだと。


 両親の敵討ちとはいえ、曖昧な手がかり、そして両親に関して相手は大雑把な扱いをしたことに悲しみの怒りを感じたのだろう。


 だが私はそんな彼女を――――私は。


「大変だったね。まさかあなたの身にそんなことがあっただなんて」


「反ロシアのやり方は外道よ。戦力を引き上げるがために、年層問わず各地の殺人者を無理矢理かき集めようとするんだから。従わなければ汚い交渉で連れて行く、私にしたのがそのパターンね」


「瑛一さんや由美さんは大丈夫なの?」


「えぇ……。あの場所で大人しく従ったからあの2人は今無事でいるのよ」


「…………美咲は十分に頑張ったじゃない。あなたは2人の為に自己犠牲してまでも守り切った、それは何? 誰かに命じられたから? ……いや違う――あなたが2人を心の底から"守りたい"って思ったからでしょ」


 すると美咲は、私の方に振り返り近づくと私を抱き寄せてきた。


 それに応じるように私は彼女を抱き寄せた。


「こうやって昔――母様に優しく抱きしめてもらったわ。そして私に沢山の勇気をくれた」


「美咲、あなたの両親に会ったことがない私が言うのもなんだけど、貴女の両親は決して"復讐"なんて望んでなんかいないんだよ。とても憎い事だって泣きたくなるくらい辛いってこと分かるよ…… 痛いほどにね」


「私は……私は」


 美咲は溜まっていた悲しみの感情を露わとした。すると強く私の服を掴みながら涙を流し始めた。


 そんな私は顔をほころばせて答えた。


「――もう1人で抱え込むのはやめよう。だから一緒に家に行こう? 美咲(あなた)の家に」


 美咲は小さく首肯すると小さな囁く声で答えた。


「蒼衣ありがとう」




















 公園を後にして家屋に続く一筋道を進む。


 全貌を見渡す限り値が張りそうな建物がズラリと建ち並んでいた。到底私達のような者に手が届きそうな物とは到底思えない。


 美咲にとってここが馴染みある場所なのだろうか。彼女の表情を見ても飄々として、よく分かんないけどそれは確かなことだとは思う。


「……どうしたの? 私の顔をみてなんか深刻そうな顔してるけど」


「あぁいや、ここが美咲がいつも通ってきた道なんだろうなって想像してさ、でもなんか凄く無表情で歩いているからどうしたんだろうなって」


 美咲が「あぁ」と理解した様子を見せると表情を緩ませ笑みを浮かばせると「ごめんごめん」と言ってきた。


「随分悪い環境にいたかしら。「こういうの久しぶりだな」って思っていたら、自然と無表情になっていたみたいね。要するに癖ってやつよ」


「でも悪くはないから落ち着いている感じでしょ?」


「そうね、久しぶりだからちょっと落ち着いているわ」


 と手を合わせながら答えてくれた。


 感じ的には、久々に故郷に帰ってきた旅人のような感覚なのだろうか。私も訓練棟での訓練を終えて家に帰る途中、今の美咲ほどではないが、そんなこと感じたことある気がする。


 家に帰って、母に、ただいまの挨拶したら「蒼衣どうしたの? その顔」と驚いた顔で出迎えられた記憶がある。その時の私は青ざめて相当疲弊しきっていたのだろうか。記憶が曖昧だからあまり覚えてないけど。


 それと完全一致とは言い難いけど、似たような状況ではあるはず。


 よし、ここは少しでも美咲を元気付けようか。


「あ……あは。私も前に同じようなことあったから気持ち分かるよ」


「……蒼衣、眉がピクピク動いているわよ」


 ガッ!


 私ひょっとして滑っちゃった?


 どうやら場を和ませる道はとても険しいらしい。


「無理して、……フフ。でもやっぱりあなたって面白いわね」


 褒めているのか悪く言っているのかはっきりして欲しいですよ。美咲さん。






























 街並みを歩いていると、一際目立つ壁が白く青い屋根が特徴的な豪邸が見えてきた。


 前回来てから少し間が空いたけど、瑛一さんは元気だろうか。昨日会ったのが由美さんらしいけど、見た感じにとても華崎家の人間に対して強い矜持と誇りを持って接しているのだろうということがなんとなく分かった。


 となるとこの都市部にとって華崎家ってとんでもない財力と権力を持った富者なのでは? ……よくよく考えてみるとこの新東京都って色々と奥が深そうだけど。


「着いたよ。ほら美咲怯えてないでこっち来て」


「……大丈夫? 苔が生えて廃墟になっているんじゃないかしら」


「大丈夫! 滅んでないから。外装見ても全然綺麗だし」


「……分かったわよ。大人しく降参して入るわ」


 美咲は実際のところ、相当な照れ屋さんなのかも知れない。ついつい誤魔化しの言葉が先走ってしまい行くのを躊躇してしまう、意外な一面も持ち合わせているようだ。


 インターホンを鳴らすと瑛一さんの声が聞こえてきた。


「その声は蒼衣さんですか。約束通りお嬢様は………………おやおられないようですが」


 踵を返してみるとそこには美咲の姿はなかった。


「しまった、目を離した隙を計ってあの人は」


 怖気ついて逃げたのだろう。でもそんな私が逃がす訳もなく。


「ちょっと待っていて下さいね。襟掴んで連れてきますので」


「は、はい……」


 私は能力を使い超光速で走り逃げている美咲を見つけると一気に前に立った。


「ぐっ」


「蒼衣? ちょっと待ってちょっと……心の準備ぎゃああああああああ」


 応じる前に私は早々と彼女の襟を掴んで一気に駆け戻った。


 あれほど政希さんに迂闊に能力を使うなと言われたけれど、こればかりはしょうがない。


「と言うわけで連れてきましたよ、あなたの(あるじ)を」


 美咲は、私の後ろに中腰で隠れている。少ししてひょっこりと顔を出して美咲は勇気を振り絞って挨拶をする。


「…………やぁ瑛一」


 多少垂れ目になりつつ、はにかむ様子で挨拶をした。


 久々の鉢合わせでやはり緊張気味なのだろうか。気持ちは分からなくもないけど、そんなことされたらこっちが恥ずかしい。この姿勢は、この歳だと流石に気まずい。


「…………」


 モニターついてないことも……ってそういえばこの間礼名と来た時、瑛一さんが不審者対策用に入り口へ監視カメラが付いているとかどうとかって教えてくれたような。


 なら尚更だ。早く離れて欲しい。


「美咲お嬢様、お帰りなさいませ」


 少しの沈黙状態の後、瑛一さんは美咲にお帰りの挨拶をしてくれた。


 美咲を責めず、怒らずに。


「さて立ち話は何ですから、中にお入り下さい。由美さんとロズが待っていますよ。ではのちほど」


 会話が終わると、眼前の大門がゆっくりと開いていく。


「……と、とりあえず挨拶はしたわよ。これで何の文句もないはずよ」


「文句以前に早く離れて欲しいんだけど」


「し、仕方ないわね。ここはあなたの言うことに従いましょう」


 正直にありがとうって言えばいいのに。まあいいか。


 私達は華崎邸の庭の中へと入っていく。


 そこには相変わらずの美しい薔薇の花畑が広がっている。


「相変わらず綺麗ね。皆ちゃんと手入れしてくれたのね」


 回りを興味津々と見渡しながら美咲は言う。


 そして屋敷前の扉に2人が待っていた。


 1人は昨日会った由美さん、そして美咲の愛着溢れたロボット、ロズだ。


 2人は美咲が近くに来ると、一礼をした。


「「おかえりなさいませ。美咲お嬢様」」


「2人共ありがとうね、瑛一を待たせちゃいけないわ。行きましょう」


 扉を開け、中を踏みしめようとした美咲は、ふと思いとどまり私を振り返って言う。


「蒼衣あなたもよ」



 

遅れてしまいすみません。

いや2日という大失態ですが、粘り強く今日なんとか仕上げられました。

暗いムードだけでは心許ないと思い少し和むような話も挟みつつ話を進行させる方針で書いてみました。

実は美咲は意外な一面もあるんですよね。実際にそんな人も居るんだろうと思い少し後付けをしてみまして。(ちゃんと書けているか別として)

このあともう1話書いてみようかと思います。恐らく書けるかと思います。(2日サボったという罪滅ぼしで)

それでは皆さんありがとうございました。」

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