プロローグ
皆さん、こんにちは!はたまた、こんばんは!
初投稿ですのでまだまだな所もたっくさんありますが精進しますので、どうぞよろしくお願いしますm(__)m
誤字・脱字、文章的におかしな所、感想など遠慮なく言ってください。
※2017/06/04加筆、修正しました。
大筋は変わりませんので!
皆さんこんにちは。そして初めまして、私の名前はルカといいます。私は今、成分のよく分からない薄緑色の液体が、なみなみと注がれた円柱のシリンダーのような物の中にいます。口元には何もありませんが、息が苦しいということはありません。何故でしょうか?L◯Lの薄緑版ですか?腕や足には光沢が素晴らしいシルバーの、しかし私には少し大きすぎる無骨な太いブレスレットとアンクレットが嵌められています。勿論、その先にはこれまた太い、如何やっても切れることなんて無さそうな頑丈な鎖が繋がっています。まぁ、なんて素敵なの♡
………ってなるわけないだろぉぉぉぉぉぉおお!!!
いやいやいやいや、可笑しいよね?意味分かんないんだけど!!自分の置かれてる状況が余りにも非現実的すぎて冷静に実況的なことしてみたけど寧ろ逆効果!余計こんがらがった!!
え?なんでそんな所に居るかって?そんなの私が一番聞きないわっ!
やばい、まじで可笑しいよこの状況〜!!
よし、取り敢えず深呼吸、落ち着け、落ち着くんだ私…!ヒッヒッフー、ヒッヒッフー。…間違えた、これは妊婦さんがやるやつだ。…………ふぅ。オーケー、落ち着いた、よし!順を追って整理しよう。
まず、私は前世の記憶?を持ってる。……多分だけど。前世の私は大学生で、一人暮らしの彼氏いない歴=年齢の生娘です、はい。べっ、別に作ろうと思えば作れたし!!作らなかっただけだし!!…………ま、まぁ、それは置いといて、中学生の時に拗らせて以来、バッリバリのオタクでしたよ?乙女なゲームもやってたし、漫画とかアニメとか、ジャパニーズカルチャー万歳な奴ですよ。
これでも頭は良かったし、勉強だって遅れる事もなく、仲のいい親友だって居て、恋愛面もゲームで満たされてた(あぁ、目から汗が……)から、割と充実した毎日だったと思う。
私が死んだのは初夏あたりだったかな。三年生に進級して、少し慌ただしかった生活も落ち着き、やっと何時もの生活サイクルに戻ったくらい。その日は確か、前々から気になってた乙女ゲームの発売日だった。何時もだったら直ぐに買って家の中で、何をおいてもプレイするのに、その日は朝から忙しくて、発売日であることをすっかり忘れてた。それに気付いた時はもう夜だったけど、如何しても欲しくてケータイと財布だけを持って夜の街に繰り出した。
電器屋さんは割とすぐ近くにあって、それ程時間も掛からずに着いた。そのお店では、どうやら最後の一つだったらしく、あってよかった、と心の中で小躍りしながら手早く会計を済ませ帰路についた。行きと同じ道を歩きながら、プレイすることを考えて、口元をだらしなく緩ませていたことだろう。足取りも軽く、注意力が散漫になっていた。アパートの階段を上りながらも、足元が暗いことにすら気付かないくらいに。ウキウキと心が浮き足立つ中、頭の隅で隣に住んでるおばさんが、階段の電球が切れてて、夜は暗くて階段の上り下りが怖い、と言っていたのを、ふと思い出したけどあと一、二段しかなかったのをいい事に、気にせずそのまま駆け上ろうとした。
ーーそれが私の人生を左右する事も知らずに。
私は、案の定足を踏み外して真っ逆さまに転落した。打ち所が悪かったらしく、強い衝撃とともに意識がブラックアウトした。痛い、痛いと感じる暇もなかったのは今考えると、よかったのかもしれない。そんで気がつくと、いつの間にかあたり一面が真っ白で何もない空間に居た。突然のことに頭がついていけなくなりそうになりながら、冷静にあたりを見渡す。そこには本当に何も存在していないようで、果てまで『白』が続いていた。『精神と◯の部屋』という文字が頭の中を過ぎったけど、ある違和感に気がつく。
目の前に一冊の分厚い本が置いてあるのだ。さっきまで何もなかった世界にポツンと、ソレは存在していた。明らかに不自然で、怪しい、一冊の本。恐る恐る、しかし、自らの好奇心に促されるままに手にとってページをめくってみた。
そこには、地球とは似ても似つかない、ある一つの世界の事が書いてあった。おとぎ話の様に王族、貴族、平民に加え、奴隷なんかが居て、冒険者と呼ばれる人たちが、剣を振り回し、魔法を意のままに扱い、獣よりも数段危険な魔物を屠り、殺し、肉として食らい、はたまた、精霊などを崇め奉り、お祭りをしている様子など様々な事が書いてあった。生態や種類など、多種多様な事が書いてあったけど、精霊のことについて重点的に説明されている、という印象を受けた。RPGみたいだなぁ、と半ばうわの空になりながらも読み進めていくと、一番最後のページだろうか、『名前を入力して下さい』という文字。まだ、自分の死を完全に受け入れられていなかった私は困惑しながら、生前のゲーム感覚で、よく使っていたプレイヤー名のルカという名前を入力した。
その次の瞬間、とてつもない力で引っ張られ、気がつくと、所変わって森の中。状況が読み込めない中、運良く第一村人を発見し、ここはどこかと尋ねようと思ったら、ものすっごく目を見開いて驚かれた挙句、為す術なく捕獲され、何かの液体に漬け込まれてる←今ココね。
まぁ、こんなとこかなぁ。え?全然分かんない?フッ、大丈夫。なんてったって当事者である私が一番分かってないもの!
大雑把に振り返ってみたけど、有り体にぶっちゃけて言うと、転生っすね。そら確かに某小鳥のアプリで私の転生全裸待機とか呟いちゃったけどさぁ〜、まさか本当にそ〜なっちゃうとか思わないじゃん?てか、転生するなら巷で流行ってる乙女ゲーの悪役転生がよかった!そんで前世持ちヒロインを下克上して逆ハーとかそっち系を切望してたんだけど!!
…いやまぁ、実際にそうなったとして、私に逆ハーなんて器用なことが出来たかどうかは甚だ疑問が残る所だがね。前世で彼氏いない歴=年齢(笑)だった癖に何を言うか、ってね。あぁ、自分で言ってて目から鼻水が……
てか私の部屋とかってどうするんだろう……。やっぱお母さん達が整理してくれるのかなぁ……いやいやいや、まずいよ!私の性癖の全てがあの部屋に詰まってるってのに!う腐腐な奴とか見られたら居たたまれんわっ…!頼むっ!親友よ、察して片しといてくれ!頼んだぞー!
……え?なんでこの世界が乙女ゲーの世界じゃないって分かるかって?そら、あの本読んだからだよ。あの精神と◯の部屋風のとこにあったあの本!あれに、この世界の事が書いてあったって言ったよね?細かな歴史とかはなかったんだけど、この世界の設定?システム?が記してあったのよ。たがら、この世界の事をある程度知ってるってわけ。まぁ、ぶちゃけて言うと、この世界が乙女ゲーの世界かどうかはまだハッキリしてないのよね。ただ、確実に言えるのは、私は悪役令嬢ではないってこと。なんせ私、精霊らしいから。悪役令嬢どころがヒトですらない!詰んだ。世界残酷すぎかよ。もっと優しくあって欲しかった…ッ!……え?私が精霊である証拠?そう!それなのよ!私を捕まえた例の第一村人が私の事一目見て「精霊…ッ!?」って言ったんだもの!そんで抵抗できないまま、拘束されてるって事。リアル誘拐事件だわ。
私なんて誘拐したって鐚一文にもなんないよ!…ってか折角犯人が居ないんだからこの隙に逃げるしかなくない?とりまこの金具を外さねば……んん?無理っぽい?いや、きっと大丈夫なハズ!諦めるなルカ!よっしゃもういっぺん!
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もう一度鎖を引っ張ろうとした時、ガチャリと扉が開いた。思わず顔を上げると、そこには髪の毛や髭が伸び放題で、間違っても清潔感があるとは言い難い風貌の男がいた。
この男だ。私を捕まえたのはこいつだ。そう理解した瞬間、謂れのない酷い扱いに対する怒りと、これから何をされるのか皆目見当もつかず、得体の知れない男への恐怖が私を襲った。先ほどの余裕は崩れ落ち、それらの負の感情が心を占める。僅かに怒りの方が強かったのか、容れ物の内側からドンドンと拳を打ち付ける。こちらに歩いてくる男に向かって思いつく限りの罵詈雑言を言ってやった。しかし、ガボガボと泡になるだけで何の意味も為さなかった。
そうするうちにも男は容器の元へと来て、何やらブツブツと言っている。やがて容器の底が淡く光りだした。自らの与り知らぬ所でナニカが起きようとしている事を察知し、急に不安になって取り乱してしまう。さっきまで何ともなかった筈の液体が息苦しく感じ、無駄だと分かっていながら必死にもがく。
すると、ふと男と目があった。前髪の隙間からチラリと覗く男の瞳から、自責の念や悔恨など様々な感情が読み取れた。その時、自分でもなぜなのかは分からないけど、大丈夫だと思った。理由とか、そんな物はなくて、ただの直感。でも、この人は大丈夫なのだと根拠もなく思った。
身体の力を抜いて男を見据える。あぁ、なんだか眠たくなってきた。繭に、大切に大切に包まれているような、あったかい気分。瞼が重くなってきて、それに逆らわず閉じようとした時、男が「すまない」と口を動かした気がした。なんで謝ってんのよ、と思はない事もなかったけれど、それも億劫になってそのまま目を閉じたーーーーーーーーーーーーー