表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

糸と蝶

作者: 森山 花衣

初投稿の初作品です。


 気づけば今は8月の猛暑日が続くとても暑い日が続いている。

今は夜だけどね、と心の中で言いながら私は夜の帰り道のジメッとした感覚の中歩いていた。


「やぁ、こんばんわ」


びっくりした、なんで彼がこんな所に、とも思った


「もう4年も過ぎたんだね」


彼はそう言って、遠くを見た、私も



「そう、もう4年もたったのね」


そう言った



 



――――――――――――――――――――――――


私こと、上村 愛海は4年前までは隣に恋人といえる人がいた。

彼と私はアルバイトとお客という出会いで、たまに話す時間の時に意気投合し、その後何度も会い、付き合うことになった、彼といる時はとっても楽しくてこれから彼と生きていきたい、そう思うほどにのめり込んでいた。


 でも、見てしまったのだ彼が知らない女の人とデートの時言っていた言葉をそのまま使っていたところを。


いつも私に言うように「好きだよ」と。


 最初は何がどうなっているのか分からなかった、色んなふうに自分がグルグル回っている感覚になり、親や友人が心配するほど食べなくなった

 その後実家に帰りしばらく何もしない生活をしているといきなり扉が開いた、びっくりして振り返ると親友の美希がいた、泣きそうな顔で。


「なんで愛海がこんなことしてるのよ!!いつものヘラヘラしてる愛海はどこいった!何が浮気よ、そんなのする男の方が悪いんじゃない」


「美希…知って、たの?」


「当たり前じゃない!愛海と恋人関係になる前からあいつはそういう噂が流れてたのよ。…知らなかったの?」


私は知らなかった、、そんな噂があるのは

いつもいつも優しかった彼がそんな事しないとも思っていたのもあるのかもしれないが。


美希はなんだか呆れたような顔をしてこう言った

「あんたね…恋愛に疎いのにあんな男と付き合うことにしたって聞いた時、肝を冷やしたんだよ?こっちは」

「ご、ごめんね?」

「はぁ…んで、どうするの?あの男のことまだ未練がましくまだ想ってるの?」

「ううん」

その言葉が口から出てきた

それを聞いて美希は嬉しそうな顔をした。

「よし愛海、よく言った!それで、あの男とはもう連絡取ってないの?」

「うん、流石にあんな場面見たら」

「そう、ならそのまま連絡しなくていいと思うわ」

「了解、いつも美希に迷惑かけてごめんね?ありがとう、自慢の親友だよ」

「何言ってんのよ、こんなのいつものやつに比べたら迷惑でもなんでもないわよ」

美希は優しく私を見ながら笑ってくれた。


――――――――――――――――――――――――


「なんで急に連絡しなくなったの?」

彼はそう言った。まるであの時のことを怒るように

「なんでって…私の知らない女の人と一緒にいたんだもの。だから連絡しなかったわ」


「あぁ、あの時見てたのかい?」

ニヤニヤしながらこちらを見た

「えぇ、見てたわ私と一緒にいたときと同じ言葉を使っているとこも見てたわ、だから私のこと嫌いになったのかと思って連絡しなかった」


「そっか」

なんだか悲しそうな顔をした彼はなにか言いたげだった。でも、その後何も言わなかった。


「じゃあ、私帰りますね。」


「あぁ」


翌日も翌々日もその後も彼は私の前に現れた、何がどうしたいのか私には全く分からなかった。


「なんで最近ここにいるんですか?」

思い切って聞いた、彼からは意外な言葉が出てきた


「なんでって…君が好きだからじゃダメ?」


「え」


「僕はね君に出会った後ずっと君のことしか考えられなかった、だが君はそうじゃなかったみたいだからね、そして試してしまった、それがこんな結果になるとは思いもしなかったけどね」


そう苦笑いした彼に愕然とした。そんな風に思っていると思わなかった、いつだってあの時は彼に尽くしていたはずだった。


「い、いいえ私はあの時ずっとあなたに尽くしていたはずよ?それにあなたには好意を示してたはず」


彼は目を見開いて驚いていた。


「それは、本当なのか?」


「今は違うけれど、そうだったわ」


それから彼は来なくなった。


急に現れてまた去っていった彼について私は本当に私のことが好きなのかわからない言動ばかりしていた、気がすると思った。

気がするとしか言えないのだ、あの時の彼の優しくしてくれた部分しか覚えていないから…


また一ヶ月が経った、私は仕事の帰り道いつもの様に歩いていた。ふと近くの公園を見てみると


彼がいた、あの頃の優しい笑顔で


「…何がしたいの?」


「何ってプロポーズ」

「は」


「だって僕、愛海の事好きだから」

「私は好きではないわ」

「だったら好きにしてみせる」


彼はまた優しそうな、そして何かを絡みとるような顔で笑った





結局私は彼の糸に引っかかった






《了》








お読みくださりありがとうございました!

また機会あったらよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 読ませていただきました。 気持ちがすれ違っていたみたいですが、幸せになれるといいですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ