転生?
かくかくしかじかというわけで、申し訳ないんだけど別の人生を歩んでもらうことになりました。
よろしいでしょうか?
「え、あ、はい。何も問題ありません。それでお願いします」
(やべぇ、何言ってたか聞いてなかった。というかここどこだ)
では、じきに転生が始まります。あなたの失われた今世での寿命を計算してレベルを調整しました。融通が利くようになっていますが、レベルが0になると死んでしまうのできをつけてください。
通常は敵を倒すことで得た経験値でレベルが上がりますが、あなたの場合は敵を倒すことで経験値を失います。くれぐれも倒しすぎないように。平穏な日々をおくる方が長生きできるはずです。
「え??れべる?何を倒すの?」
え・・・まさか聞いてなかった・・・・・・?
は!!
そういえば死んだ直後は頭が混乱しているとかなんとか聞いたことが・・・。
でももう時間が・・・あぁ・・・どうしよう・・・また怒られる・・・。えぇと・・・あの、そのぅ・・・GOOD LUCK?あはは・・・。
「えぇ・・・」
こうしてよくわからないまま第二の人生が幕を開けた
っぽい。
―――――――――
数分後
「やべーここどこだ。こんな森に来た覚えないぞ」
今の状況を説明すると
今いるのは森の中?周りは木に囲まれている。
それ+なにか茂みでガサゴソいってる。
あとおなかすいた。
あとすごくどうでもいいけど俺の名前はジン。
20歳
身長175cm
体重65kg
彼女なし
よろしく
(目が覚めて数分、歩き回っているがこんな森に来た記憶が無い。
もしかしなくても本当に転生したのか)
実際来たことがあったとしても森なんて見分けがつかないのだがそんなことは今は頭から抜けている。
(そもそもなぜ転生したかとか全くわからないけど、とりあえず腹ごしらえがしたいな。コンビニないかな・・・)
そのとき茂みから何かが飛び出す
「な、なんだこの汚らしい生き物は・・・。くっさ!ぜったい風呂入ってないだろ!」
よくみると頭の上に文字が浮かんでいる
ゴブリンLv.6
・最近お風呂に入っていない
現れたゴブリンは薄い布を腰にまいただけの服と太い木を持っている。
背丈はジンの腰の高さほど。
「ほー、やっぱり入ってないんか・・・じゃない!いらないからそんな情報。てかゴブリンってなんだ、もしかしてここそんな世界観なの?コンビニないじゃん」
日本人のゴブリンとの初遭遇のはずなのだが・・・コンビニの心配をしているようである。
(いや、コンビニ大事だよ?大体なんでも売ってるし。弁当飲み物剣盾槍とか大体揃ってるでしょ?あれ、ちがう?)
「という一人芝居をやっている間もゴブリンは襲ってこない。もしかしなくてもチュートリアルだな、これは。」
(ならゴブリンを調べてみるかな)
そう思いゴブリンに近づくジン。だが。
「くっさ!!やっぱくさい!伊達に最近風呂に入ってないだけはあるな!」
ひどいいいようであるがこの世界の魔物は勿論風呂になど入らない。
この匂いが普通である。慣れるしかない。
「ギギギ・・・」
「うわ、喋った?鳴き声?」
ジンの罵詈雑言に反応するかのように声を漏らすゴブリン、そして。
「ギギギーー!!」
「痛!なに!痛い!チュートリアルじゃないの!?」
もちろんここはゲームの世界ではないのでチュートリアルなどない。今まで襲ってこなかったのは自分を見て全く動揺しない人間を不思議に思いゴブリンごジンを観察していたからである。
興味を失ったのかゴブリンは持っている木でジンを殴りつける。
「痛いって!やめろ!おりゃ!」
ジンはたまらずゴブリンに押し出すように蹴りを入れる。
ブォン!ブチャ!
「ギギ・・・」
しかし到底押し出すような蹴りでは出ないような音が森に響く。そしてジンがゴブリンを見てみると。
「ご、ゴブリンの背中から俺の足が生えている・・・。汚い・・・。なんか、ごめん、ゴブリン・・・。」
(ゴブリン弱すぎるよな・・・)
まだジンは自分のレベルを知らないがジンのレベルは150である。所詮Lv.6のゴブリンのかなう相手ではない。
この世界でもゴブリンは害のある存在なので、感謝されることはあれ非難されることなどない。しかしそれを知らないジンはゴブリンを殺したことの罪悪感を背負いながら歩むことになるのであった。
――――――
ゴブリン遭遇から1時間、あれからほかの魔物には出会っていない。
「そろそろ本格的にお腹がすいてきたなー。やっぱゴブリン食べるべきだったかなぁ」
(・・・いやいや、あれは臭すぎて食べれたもんじゃないはず。・・・もしかして肉はうまいのかな?・・・いやいやそんなはず。・・・いやいや・・・)
日本人であるジンがあのゴブリンを食べ物として見てしまっている時点でどれだけ空腹なのか察してもらえると思うが、あえていうなら1週間何も食べていないのと同じ状態である。転生はエネルギーを大量に使うのである。
そんなこんなでさらに30分間歩き続け、ジンは小さな村にでた。
「やっと人がいそうなところに出た。なにか食べ物をもらえないかな」