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ローテンション・プロローグ

『俺はなぜこんな力を手に入れたのだろう。』


今までずっと思っていた。鉛すら握り潰してしまうこの拳を、何度自ら切りはなそうと考えたろう。だけど今やっとその意味がわかったんだ――










「――高校から転入してきました、冴木裕生さえきひろなりです。よろしく」


季節は7月の半ば、夏も猛暑に近づいた頃俺はここ『角川高校』に転入してきた。以前いた高校でちょっとした騒動を起こしたのが原因である。その騒動とは――


「ねぇ、あの人が高校の生徒を何人も病院送りにした人?」


「静かにしなよ!もし聞こえたら私たちまでそうなるかもしれないじゃない!?」


いやいやそこの右後ろの女子生徒達よ、ばっちり聞こえてますが?とまあ、こんなわけだわ。ちなみに彼女達が言ってることは嘘ではない。まぎれもない事実なのである。しかし全てではない。そこにはある少女の悲しみに満ちた出来事があった。純粋な恋心を傷つけたことに対する、俺の怒りがあったのだから……。






転入してから1ヶ月、もちろん友達など出来ずにいた。屋上は誰も近づかないから、授業の時間以外ではほとんど屋上で過ごしている。掃除当番も最初の頃は同じ班のやつらと行っていたが、コソコソ悪口を言われるのが苛ついたからもうやってない。




「……ふうっ」


今は俺はまさに屋上にいる。来客がいないこの場所だけが、俺の安らげる唯一の場所だった。


柵に背を預けながら携帯を開いた。『あの日』から絶えず毎日『あの少女』からのメールが来る。恐らく『アイツ』が心配で連絡させてるんだろうな。


『アイツ』とは小さい頃からずっと親友だった。だから『あの日』から『アイツ』と『あの少女』との恋愛が続いていることがなによりも今の俺にとっての支えになっている。だが、まだ一度も返事は出していなかった。『あの約束』をまだ果たせずにいたから。




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