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始まり

2xxx年、世界は祖先たちが想像していた以上に、科学が進歩し

自殺者が0の数字だけみれば素晴らしい世界が作り上げられた。


「怜、早くのまないと遅刻するわよ」


母親がいつものように、てきぱきとテーブルに

色とりどりのサプリメントをならべていく。


これがぼくらの今の食事だ。


最低限生きるために必要な栄養と、カロリーが詰まっている。

僕の家はそこまで裕福ではない。

政府から配布されるサプリメントをのむしかないのだが

舌に触れると鳥肌がたつほど不味いものもあり、

正直、文明がもっと発達して、口から栄養を摂取しなくてよい時代が

早く来ればいいのにと思ってしまう。


「あんた、まさかサプリを飲まないつもり?それがどういうことか分かってるの?」


いつまでたっても飲もうとしない僕に対して、母がいらだったような声をあげた。


「わかってるよ」


無理やり飲み込むと、母は安心したようにほほえんだ。


「昼のサプリも鞄の中にいれたからね、いってらっしゃい」


栄養を摂取しないと生きていけないのは、今も昔も変わらない。

サプリメントを飲むのを1週間さぼれば、あっという間にあの世に行くことができるだろう。


まあ、そんなことは不可能なのだが・・・。


家族を自殺で亡くしたとある研究者が見つけてしまったとあるホルモン物質。

それは本当に自殺を決意した時のみ分泌される。

その性質を利用したとある機械が、実は僕らの体内に埋め込まれている。

そのホルモンが機械に検知された途端、

命を奪わない程度の劇薬が体中にながれるため、

自ら命を落とす前に強制的に体の自由を奪われてしまうのだ。


そして自由を奪われた自殺願望者は、

どこかに連れて行かれてしまうらしい。


そこがどんな場所なのか、どんな目にあうのか誰も詳しくは知らない。


なぜならば、誰も生きて帰ってきたことがないからだ。


ただ、遺体はかならず遺族に返されるため、

恐ろしさは皆に伝わっている。


だから僕は、たとえどんなにつらくても死のうとなんて・・・



『ピー、○△ホルモンヲ検知シマシタ。薬ヲ流シマス。

自殺願望者ノ周リニイル方ハ離レテクダサイ。直ニ回収車ガ参リマス。』


死のうなんて思っていないのに・・・


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