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第五話:R18の世界 後編

「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」


 俺はあまりに残酷すぎる現実に、情けない大声を上げてしまう。


「まさか……! まさか……! こんなことになるなんて!」


 俺は絶望と嫌悪感により胃の中にあるものすべてを吐き出してしまいそうになる。


「お、おい! どうしたの!? 」


 一二三が心配そうな顔で俺に声をかける。


「はぁ……はぁ……はぁ~! 」


 俺は深呼吸をし自らの荒波に飲まれかけている船のごとく掻き乱される心に仮初とは言え平安を取り戻した。


「俺は……! 俺は……! クッソォォォ! 」


 俺は自らの精神の器が耐え切れなかったかのように、目から涙がこぼれ落ちる。


「お……一体どうしたの? 」


 一二三は心配そうに俺の顔を覗き込む。俺は少し恥ずかしかった。


「聞いいてくれるか? 」


 俺はか細い消えそうな声を震わしてそう言う


「うん……もちろん」


 一二三は真剣そうに頷く。


「まずはこいつを見てくれ」


 俺はPCの画面を一二三に見せる。


「これが一体……? 」


 色とりどりの髪の美少女達のイラストがたくさん写っている、画面を見せられ一二三は困惑した顔になる。


「ああ……問題はコイツだ」


 俺は金色の長い髪の女の子のイラストを指でさす。


「コイツには……昔好きな人がいたんだ」


 俺は口に出すのもおぞましい事実を口にする。


「どういう……ことだ……? 」


 一二三の顔がさらに困惑の色に染められる。


「順を追って説明しよう……この娘の名前は イズムルト=氷翠みどり エメラルド色の瞳が特徴的なロシアと日本人とのハーフだ。そしてコイツには幼い頃、主人公()以外に、まぁ、囲郭いかくと言うおっさんなんだけど、まぁ、とにかく主人公()以外に好きな奴がいたんだ……! 」


 俺は血涙を流しそうになるがなんとかこらえる。


「へ!? ……そんだけ? 」


 一二三は目を丸くする


「ああ!? お前さ~もうさ~ありえねーよコイツ、糞ビッチだからな、マジで、この俺様がこんな糞女を攻略するために長い時間と高い金を無駄にしたかと思うと、も~、怒りを通り越して泣きたくなるよ~、マジで」


 いやもうさ~、俺さ~、途中からきな臭い雰囲気あったのよ、でさこの話聞いたとき勘違いでありますよーにって神に祈ちゃったよマジで、そしたら結局最後まで勘違いじゃないとかありえないからね、マジで。


「えー……まぁ、程度によるね、どんな感じだった? 」


 一二三は引きつった笑みを浮かべながらそう聞く


「いや、どんな感じって……タダの片思いで終わったよ、結局何も出来なかったたんだってさ」


 俺がそう言うと


「いや~、そんぐらいなら別にいんじゃね? 」


 一二三がそう返す


「ああ!? よくねーよ!! なんでこの俺がおっさんのお下がりを必死こいて攻略しなきゃならねーんだよ、なんかさ~、主人公がこのこと知ったときさ~なんか昔の男が気になって~とか、まだそいつのこと好きで俺は妥協じゃないか~とか、こんなこと考えるなんて俺は最低じゃないか~とか、みたいなことさ~うだうだやって結局さ、“私は今のあなたが一番好き、ほかの誰に……たとえ囲郭いかくさんに好きって言われてもこの気持ちは変わらない! ”とか言ってきやがったわけよ」


「なら、よかったじゃん」


 俺の話に割り込んで一二三がそう言う


「いや、よくねーし! そんなん嘘に決まってからな、どーせその場の気分だけ、どーせ氷翠みどりとか言うクサレマンコは囲郭様に好意向けられたら手のひら返しするに決まってるからな、あ~もう! こんなんならハーフでいじめられているとき助けなきゃよかった、つか一生いじめられて自殺すりゃよかったんだよ、ていうかなんかブスに見えてきた、なんていうかコイツさツンデレとか言ってるけど単に性格悪いだけだろ、だいたい”貧乏だけどかんばってます~“とか“部活も勉強もがんばってます~”とか努力アピールうざかったし、ていうか貧乏人だけあって意地汚かったし、もうさこのキャラマジで死んでくれねーかな、マジで、つーかブスで性格悪くて金もなくてビッチとか最低なゴミ以下の糞だろコイツ、風俗嬢がお似合いの糞だったわ」


 俺が文句を言っていると


「はぁ~、そうだな」


 一二三は呆れた顔をして、どっかに行ってしまった。 


「あ~ムカつく!! 」


 このあと俺がインターネット掲示板でイズムルト=氷翠みどり罵倒したら、糞を信仰する糞信者と、非処女厨の負け犬の糞と自称男の糞マンコが湧いてきたが、俺は論破してやった(本当は一方的に論破したと言っていただけ、完全に頭おかしい奴扱いされていた)。やっぱ糞な奴は頭にも糞が詰まっているんだなと実感できた一日だった。


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